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  • Vol.13養育費を支払いたくない男たち

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「射精をしたら責任終了⁉︎」

6歳の時に両親が離婚し、母親に引きとられた。わたしの父親は4人の子どもの養育費を一切支払っていない。そのせいで、看護師の母親はしばらくダブルワークをしていた。国家資格を有していても、そうしなければ子どもを育てられなかった。父親とは10代の頃から会ってないし、今どこにいるのかも分からない。母親と離婚した後に、自分の家族に対しても不義理を繰り返したため疎遠になり、祖母の死に目にもあえなかったようだし、孫の存在すら知らないだろう。寂しい人生だが自業自得である。

養育費の支払いに被害者意識⁉︎
”おれの給料は生活費という名の下にすべて吸い取られて、嫁の給料(育休手当)はすべて嫁名義の口座に貯金だからね。いま離婚したら俺の手元には一切残らない上に慰謝料取られて向こう20年は養育費払うマシーンだよ。”

というツイートが概ね同情的に拡散されていた。離婚にまつわる愚痴自体は珍しくないし、慰謝料に不満があるのはまあ理解できるんだが、養育費の支払いは親として当然の義務なのに、なぜこんなにも被害者意識にまみれた別居親(主に父親)が多いのか、日頃から不思議に思っていたので、

”離婚するor離婚した男のアカウントが「これから養育費を10なん年も払わなきゃならない」みたいに愚痴ってるのたまに見るんだが、なんで降りかかった不幸みたいに言うのか意味不明だし、わりと同情されててまた意味不明。”

”養育費の平均って、ひとり月3〜4万なんだよな。ブルーになられても。で、被害者意識で8割が支払わないと。”

”子どもを妻の所有物と思っていて、その養育を親切心で手伝ってる、みたいなスタンスの男わりと多いと思う。”

と、いくつかのリアクションをしたところ、わたしと似たような環境で育った人や、シングルマザーから、多くの反応があった。

養育費の平均額については別居親の収入によるので、非常にざっくりしていたのだが、大きな誤差があるという指摘はほとんどなかった。

”元夫も支払わない”

”父親がずっと支払っていないのに会いたがる”

”うちなんてたった2万だが再婚するから支払いたくないと言ってきた”

養育費の支払い義務を課せられ、きちんと支払う別居親は2割に満たないので、共感のメッセージがたくさん届くのは当たり前の話だ。

射精しかしてない父親
いちばん解せないのは、養育費の支払いを惜しむ男が、子どもへの愛を語っていることだ。「数万が惜しいが子どもはかわいい」という理解しがたい価値観の人間がたくさんいることに、「うちの父親みたいな男はそう珍しくないのだな」と衝撃を受けた。

”子どもを連れ去られ、親権を奪いとられたのに、養育費をむしり取られたくない”

などと、「母親と言えども子どもを連れ去るのは誘拐」という言説をバラまいている人たちがいるのだが、母親が子どもを置いて家出したら、それはそれで「ネグレクトだ!」と大騒ぎしそうだ。うちの家族も父を残して家出したのだが、母親が4人の子どもを放置していたとしたら、大きな問題になったのは明らかだ。暴力を振るったり、頑なに離婚を拒む男からは逃げる以外の方法がないことが多い。
「子どもの連れ去り」と、親権を得られないことを、養育費を渋る理由としてあげる男がたくさんいたが、母親が親権を得ることがほとんどなのは、父親が子育てに参加しないことや、もしくはそれができない社会の問題であって、母親が悪意をもって親権を奪い取っているわけではないだろう。

”養育費を渡しても子どもに使われるか分からない”

と、自分のお金の使われ方を把握したがる男もたくさんいたが、ほんの数万渡されても「焼け石に水」でしかないのだが、離れて暮らす家庭に対し、「お金を何に使っているかを事細かに把握する権利がある」というスタンスからはモラハラ的に元妻と関わり続けたいという意図しか感じ取れない。

収入が低く、養育費を支払えないのは仕方がないが、「年収500万円以上の離別父親ですら、その74.1%は養育費を支払っていない」というデータがある。それを考えると、「子どもに対して責任感が薄い父親が多い」というのは事実だろう。

父親らしいことは、射精くらいしかしていない男がゴロゴロいるのだ。

養育費の未払いで苦しむ人がたくさんいる
養育費の支払い義務が生じても支払わない別居親が8割を超えている現状は、わたしの子どものころからちっとも改善されていないことに、絶望的な気持ちになった。

わたしの発言に共感しているアカウントの中には、暴力を受けて傷ついた自分の写真をアップし、

”旦那が子どもに金も払わず逃げている”

と訴えるギャルママや、それに類似する環境の人が多くいた。

衆議院選の真っ最中だが、彼女たちが「投票したい!」と思える政治家はいるだろうか。「もし離婚したら養育費は貰えないものだ」という「常識」はあまりに残酷だ。夫婦仲が未来永劫続くなんて誰も夢見ていない。「万が一、仲が悪くなっても子どもは大丈夫」とみんなが思える国にするのがいちばんの少子化対策ではないだろうか。

養育費が確実に徴収できるような法改正を切望する人がたくさんいる。

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阿部悠(あべ・ゆう)

兵庫県出身。ローティーンの頃からクラブに入り浸り過ぎて中卒。関西を拠点にクラブDJとして活躍。3.11後の原発事故にショックを受けて反原発活動をはじめ、社会運動に目覚める。最近は「女叩き」カルチャーに怒りを燃やして、ネット上に溢れるミソジニスト達と本名顔出しで日々格闘。ビヨンセを崇拝している。 

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