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おかしいことはおかしいと言い続けよう

深井恵2018.12.13

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生徒総会議案書審議のホームルーム活動の時間が苦痛だ。生徒から質問も意見もほとんど出ないからだ。

多くの学校で、生徒会は、総務委員会(生徒会執行部と各クラスの委員長・副委員長で構成)や体育委員会、図書委員会、交通委員会、美化委員会、風紀委員会などといった委員会に分かれて活動している。

半期ごとに、活動目標と活動内容を設定し、半期の活動が終われば、反省し総括の議案を作る。次期委員会は、前期の反省を元に次の目標や活動内容を設定し、次の生徒総会議案書を作成する。それを各クラスで審議して、本番の生徒総会に臨む。

その議案書審議が、本当に低迷している。クラスの委員長が司会進行を務め、各委員が議案を読み上げて提案する。おおまかな流れはこうだ。

委員長:それでは◯◯委員会は提案をしてください。
◯◯委員:活動目標は◯◯です。目標の設定理由は◯◯です。活動内容は、◯月に◯◯をして…。以上です。
委員長:質問はありませんか。
クラスの生徒たち:無言。
委員長:意見はありませんか。
クラスの生徒:無言。

これが、ほとんどの委員会で繰り返される。各委員会がどんな目標を立てようと、どんな活動内容を計画しようと、無関心、思考停止だ。あまりにひどいので、つい口を出してしまった。生徒会構成員ではないのに。

口を出したのは、交通委員会の内容だ。
活動目標:交通ルールを守ろう。
設定理由:交通事故が増えているから。
活動内容:毎月「ツーロック運動」「挨拶運動」。以上。

交通事故が増えているから、目標に「交通ルールを守ろう」と設定しているのに、その目標を達成するための活動内容が「ツーロック運動」と「挨拶運動」だけ。目標と活動内容が無関係だ。委員会には教員が顧問としてついているのに、こんな内容で了承したのかと、教員に対して疑いの念を抱いてしまう。

昨年異動してきて、生徒総会の議案書に前期の反省・総括のページがないことに驚き、きちんと総括させるべきだと、職員会議の場で発言した。その結果、今年度は、活動の総括をするための専門委員会が開催された。昨年度までなかった総括の場が設けられ、一歩前進だと安堵して、次の生徒総会の議案書には総括のページが入るだろうと思っていた。

しかし、またしても、総括は議案書に盛り込まれていなかった。また、職員会議で発言せざるを得なかった。「先日、専門委員会で前期の反省をしたのに、その総括の議案が掲載されていないのはなぜなのか。掲載して生徒総会の議案として審議させるべきではないか」。

こんな発言をするのは、全職員の中で残念ながら私だけだ。物言わぬ教員が、物言わぬ生徒を作り出している。職員会議でも発言する教職員はほとんどいないし、組合の委員会でもほとんど誰も発言しない。

結局、専門委員会の総括の議案の扱いについては、後日生徒会担当者が協議をして再提案するということになり、その場は終わった。数日後、生徒会担当が私のところにやってきて説明した。「反省した内容を議案書に掲載するのは当然のこと。だが、今回は書式がないので、次回からの議案書掲載ということでお願いします」。

…愕然とした。たかが生徒総会の議案に総括を掲載して審議させるだけで、2年もかかることになろうとは。それも、こちらが来年度忘れずに指摘しなければ、うやむやのまま、前年度のデータを呼び出して、年度だけ変えて同じものを提案しかねない。

いま勤務している学校は、生徒総会が年に一回しかない。生徒の役員の任期は一年だ。来年度の生徒総会議案書審議の頃まで、しっかりと覚えておいて、また指摘しなければならないのだろう。忘れてはならないことが多過ぎる。

生徒総会議案書審議の際に、必ずクラスの生徒に話すことがある。それは、「いまのみんなにとっての生徒会は、市議会や県議会、ひいては国会に繋がっているということ。生徒会に無関心で、何をしようと関係ないと思っていたら、市議会や県議会、国会で何が審議されていようと関係ないと思う大人になってしまう。国会でいま何が行われているか、しっかりとニュースや新聞などでチェックすること」。

生徒会を軽視するようでは、国会を軽視する大人が出来上がる。いまの国会を見ていて、この人たちは、高校生の時に生徒会の議案書審議をしてきた経験はあるのだろうかと想像してみる。出入国管理法、水道法、漁業権…重要な案件が、まともに審議されないまま通過して成立してしまった。

国会に限らない。おかしいことはおかしいと声に出す。そんな当たり前のことをしてこなかったから、多くの大学入試で不正行為が行われ続け、それが「当然だ」「伝統だ」と、誰も異を唱えることなく、「当たり前」になってしまったのではないか。

今年は、「#me too」運動が起き、セクシュアルハラスメントを許さない世界的な潮流が起こった。世界中で、おかしいことはおかしいと声に出した結果だ。

おかしいことはおかしいと声に出さなくなったら、戦争への道を歩むことに繋がる。そのことは、歴史に学べば明らかだ。職場の同僚は、私のことを「うるさい奴だ」と思っているだろう(同僚だけでなく、管理職も、か⁈)が、言わずにはいられない性分なので、うるさがられながらも、異を唱える日々である。

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深井恵(ふかい・めぐみ)

九州某県の高校日本語教員。
日教組の「教え子を再び戦場に送らない」に賛同して組合加入。北原みのりさんとは、10年以上前(ジェンダー・フリー・バッシングがひどかった頃)に組合女性部の学習会講師をお願いして以来の仲。

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