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医療の暴力とジェンダーVol.38 医療という権威から逃れて

安積遊歩2026.01.30

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私は69歳になるが、いわゆる健康診断というものをほとんど受けたことがない。小さな頃は健康診断のレベルではなく手術を8回もされたために、しょっちゅうさまざまな検査をされていた。西洋近代医学の整形外科医療では、私は幸せになれないと思い10代の頃には、自分の体はなるべく自分で診るように決めた。父親が書店に勤めていたために家には様々な本があった。

14歳の時に下腹部がいたんだ。父親の書棚から、家庭の医学という本を引っ張り出し、腹痛編を丁寧に読み、虫垂炎が自分の症状と酷似していることを発見。翌日小さな病院ではあったが入院設備もある外科に行き、自己診断して盲腸であることを告げた。もちろん私は町医者の面目を潰そうなどとは、全く思っていなかったけれど、その医師はひどく不機嫌になって<診断は私がするのだ。患者が決めることではない>と言いはなった。私はそれに対して「もし盲腸だったら半身麻酔で脊椎に注射されますよね。私には脊椎側湾があるのでその注射を脊椎に打つのはやめてほしいということを伝えたかったので、自分で医学書を読んで来たのです。盲腸だったら全身麻酔でお願いします。」ということも付け加えた。彼はさらに憮然として「とにかく検査をしてみるが、ここには全身麻酔できる医師もいないので他の病院にお願いしなければならない。そんなことはできないから転院してもらうことになる」と言いながらまず検査だと言ってきた。

結果はすぐに出て盲腸だった。その上、彼は私の要望に応えてくれ、翌々日には全身麻酔のできる医師を手配してくれた。盲腸の手術はそれなりに成功した。しかしその後、私は自然療法の本を読んで、生のゴボウの搾り汁を試せばよかったと後悔した。というのも、障害を持つ子どもたちの施設にいた時に、リウマチで苦しんでいた5歳年上の友人がいたのだが、彼女の影響を受けて17歳ぐらいの時には民間療法や自然療法の本が愛読書になっていた。健康診断とは真逆のそれらの本から得られる情報や知識は現代社会には全く馴染まないものだ。だから私は自分の体を自分で診ることの大切さを身近な人に伝えてはいても声高にあらゆる人に言いたいとは思っていない。そう思えない理由の一番目は、私の体のユニークさだ。私は生まれた時から近代西洋医学の間違いあるいは不正義に苦しめられてきた。私の人生の出発点にあったのは、私の体の骨が脆いという特徴を正しくないとみなしてくる医療の介入だった。生後40日目から2歳になるまで、男性ホルモンを1日おきに投与された。こうした扱いは記憶の中に全く残っていない。しかし、気がついた時には医者と同年齢くらいの中年の男性達が苦手だったし嫌いだった。

そのトラウマをバネに私はできるだけ医療との訣別を図ってきた。中年期になると様々な健康診断のお誘いが来る。それにプラスしてがん検診やインフルエンザワクチンなど、皮肉な表現をすれば、実に細やかで余計なお世話だと言ってしまいたいものばかりだ。私から言えば、政治と医療界が結託して一大産業と化した医療に利潤をあげさせようとするシステムが健康診断だ。特に、企業や事業所がほぼ義務として従業員にやらなければならない健康診断にレントゲン検査が入っている。

レントゲンは放射能である。レントゲン技師たちは、放射能は危険ということで、年間のレントゲンを浴びる許容量が決められている。娘の住むニュージーランドでは、レントゲン検査はよっぽどのことがないと勧められない。もちろん毎年ごとの定期検診のメニューには組み込まれていない。ところが日本では、健康診断がパック化されて出てくるので、よっぽど意識的に「この検査は受けません」と伝えない限り、医者は自動的にレントゲン黒子買って今照射をしてくる。なんと怖いシステムであることか。

さらに怖いのは、子どもに対する様々なワクチンが半端なくあることだ。数年前に友人が子どもを産んだ時に、k2シロップというワクチンについて初めて知った。これはエーザイという製薬会社が発売元で、新生児が生まれたら母親からの初乳よりも早く飲ませるらしい。このシロップを飲めば、ある種の先天性の知的障害の症状が予防できるという触れ込みだ。ほとんどの、いや全ての医師達が新生児や幼児に飲ませていると言っても過言ではない。その後にもありとあらゆるワクチンが12歳までの子ども達に打たれたり、飲まされたり。その数が20種類を遥かに超えるという。

私は、全てのワクチンになんの効果もないし、時には副作用副反応の方が大きいからやめた方が良いというつもりはない。自分で調べよく考えて、そこにプラスして権威に対する自由さがあって、このワクチンを使って病気にチャレンジしてみようという気があるのならそれでいいと思う。怖いのは誰かに打った方がいいと言われたら、自分で調べることもなく、考えることもなく、従順に言われたことに従うマインドだ。自分の体を自分で診ると決めて以来、私は服従と従順からも随分自由になってきた。随分どころか、そういう意識、つまり権威や権力に従う意識は全くないのだ。

自分の体は自分のものというシンプルであまりにも当然な意識を取り戻し続けよう。

*著者近影_ニュージーランドにて

 

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安積遊歩

安積遊歩(あさか・ゆうほ)

1956年2月福島市生まれ
20代から障害者運動の最前線にいて、1996年、旧優生保護法から母体保護法への改訂に尽力。同年、骨の脆い体の遺伝的特徴を持つ娘を出産。
2011年の原発爆発により、娘・友人とともにニュージーランドに避難。
2014年から札幌市在住。現在、子供・障害・女性への様々な暴力の廃絶に取り組んでいる。

この連載では、女性が優生思想をどれほど内面化しているかを明らかにし、そこから自由になることの可能性を追求していきたい。 男と女の間には深くて暗い川があるという歌があった。しかし実のところ、女と女の間にも障害のある無しに始まり年齢、容姿、経済、結婚している・していない、子供を持っている・持っていないなど、悲しい分断が凄まじい。 それを様々な観点から見ていき、そこにある深い溝に、少しでも橋をかけていきたいと思う。

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