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三月に入って訃報が届いた。昔、新宿二丁目のビデオ屋で一緒に働いていた人だった。
正月を過ぎたあたりで突然店に来なくなり、二月の終わりに警察から連絡が来て、部屋でひとり亡くなっていたことがわかったそうだ。
前日まで無遅刻無欠勤だったと聞いて、あの頃もそうだった、と思い出した。
なぜ、すぐに誰も動かなかったのはわからない。急に来なくなるひとは、あの頃も何人かいた。
ただ、現在いちばんの古株で、おそらく30年以上、無遅刻無欠勤だった人が、連絡もなしに急に来なくなるわけがなかった。そういう礼儀には厳しい人だったし。

ずいぶん会っていなかった。大阪に戻った最初の頃は、東京に出張する機会があれば、たまに顔を出していたが、もう店自体に行かなくなって数年が経つ。お酒もタバコもやらない人で、毎日10時間働いて、まっすぐ家に帰っていた。時々、仕事終わりにご飯に誘った。食べることが大好きで、一番の楽しみは給料日に、大きなピザと1.5リットルのコーラを取り寄せることだと言っていた。

私が働いていたころは、すでにお局姉さんで、そのキャラクターについては、このコラムでもたびたび書かせていただいた。
テレビを見るのが好きで、芸能人(とくに女性の)の話題に事欠かなかった。
W浅野や泰葉など、過去の、ちょっとぶっ飛んだ人が好きだった。
今いっしょに働いていたら高市早苗の話になったと思う。
「○○(昔の番組名)に出てたオンナがさ~、首相になるなんてびっくりだよ」みたいな口調で彼は言ったと思う。
ゲイに特有の、憧れも含んだ揶揄としての「オンナ」という言葉の使い方。

幾つだったのかな、と連絡をくれた元同僚に聞くと、52か3じゃない、と教えてくれた。
そう? もう少し年上だと思ったけど、とどうでもいい会話をした。
私は50歳になって半年が過ぎた。知人の50代男性で突然死した人は、もう何人目かになる。そのとき、そばに誰かいて、救急につながれば助かったかもしれない、そんな話。
明日は我が身だが、不可抗力という気がしないでもない。

50歳になったことは単純にうれしい。

早く大人になりたい子どもだった、ずっと。今でもそう思っているかもしれない。
年齢が上なだけで舐めてくる奴らが嫌いなのだ。「君にはまだわからない(早い)だろうけど」と言われるのも嫌で、たぶん、人様にそのセリフを言ったことはない。

高校の時は教師を名前の「さん」付けで呼んでいた。それはちょっとおかしいよ、と一度誰かに注意されたが、そのうち許容された。
先日、会社で父親のことを「あなた」と呼んでいたら、少し間をおいて、「会社では会長と呼びなさい!」と父は顔を赤くして怒った。社員さんは、うつむいて笑いをこらえている。

そう、まったく、あのセリフを毎日のように言ってくるのが、この会長さんなのである。
そうかもしれないけど、わざわざ言うことでもないだろう、と反発してしまう。
50歳の相手にも、そんな態度を続けられるのは親しかいない。
ていうか、マウントだよね、ただの。
「君にはまだわからないことを私は知っている、ゆえに、今は私に従いなさい」

彼は同年代のトランプを、あんなの無茶苦茶だ、と批判しているが、こうした男の基本姿勢は共有している。それがあらゆるトラブルの根源なのではないか。自省して欲しい。

トランプの場合はもはや狂気だ。なので、その狂気のそばで飛び跳ねる日本の首相も狂気の沙汰にしか見えない。
あの画像はしんどかった。散々指摘されていたように、この国の最も保守的な男集団の中でトップに昇りつめた女の処世術が凝縮されているように見えた。
「日本初の女性首相」誕生の喜びより、そのいきさつを突き付けられたようで苦しかった。

果たしてこれは女性のロールモデルになるのか。
あの様子が、ここまで権力者に媚と笑顔を売らないと、この国では女はトップになれないよ、というメッセージになるのだとしたら、それは抑圧に向かうのではないか。

それでも、小池百合子に続き、彼女を支持した女性が多くいたのなら、それは「女性だから」でしかないとも思う。
それでも、175人もの女の子たちを「誤って」殺した大統領に、嬉々として抱きつく首相の姿に希望を見いだせない。
行ったり来たりのモヤモヤが続く。

年末の紅白に出場した松田聖子の話をして終わろうと思う。
高市早苗と一つ違い、自分の才覚で芸能界を生き抜いてきたトップスター。
特別枠で、他の演者と一切交わることなく、大トリをつとめていた。45年前のデビュー曲「青い珊瑚礁」を伸びやかな声で歌っていた。
デビュー以来、その幾度、見た目は変わってきているはずなのに、いつ見ても、今の時代の「松田聖子」になっている。セルフプロデュース能力の高さに驚愕する。
「永遠のアイドル」という看板を自ら背負い、その、いつまでたっても「若くて可愛いビジュアル」はファンの期待を裏切らない。

フェミニズムを通過しなかった人、という印象が強い。「女の子はいつまでも若く可愛くあれ」が彼女の仕事だから。それを究極の形にして見せ続けている。
私の世代より上の人なら、彼女があらゆることでバッシングを受けてきたことを知っていると思う。でも、今の松田聖子に、もう文句を言う人はいなくなったような気もする。

一方で、高市早苗は途中でフェミニズムを手放したのかもしれない。出世街道の邪魔になった、とかで(旧統一教会との関連も明らかにしてほしい)。
けれど「首相」は商売じゃないから、ファンクラブだけではやっていけない。
トランプは裏切りを感じたら容赦なく彼女を切り捨てるだろう。地獄は続くのだ。

あー、巻き込まれたくない。戦争は嫌だ。

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茶屋ひろし

茶屋ひろし(ちゃや・ひろし)

1975年大阪生まれ。20代の終わりに上京して新宿二丁目で働き始めた頃、こちらでコラムを書かせていただくことになりました。

その後30代の終わりに帰省して親が経営している書店に就職しました。

セクシュアリティに絡めて書いていた内容がだんだん本屋の話に変わっていって、今は本屋もなくなって出版社の代表を務めています。

もはや何を書けばいいのかわからない状態ですが、世の中の動きや自分の日常で思うことなどを徒然に書かせていただきます。

50代になりました。

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