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第9回「蟹座女子シンドローム」

野沿田よしこ2015.08.18

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こんにちはよしこおばさんです。
私の名前はよしこ。でも“よしこおばさん”となってこそ“私”であると人は言います。なぜ“おばさん”なのか?誰かの“おばさん”というわけではなく、 “おばさん”=加齢具合を表現しているわけでもありません。私の行動が“おばさん”以外では成しえないものであるからです。
私の趣味は人の恋愛話、セックスの話を聞くことです。と、いってもガールズTALK的に盛り上がり話し、その場で共に聞くようなスタイルでは楽しめないのです。あくまでのぞき聞き、のぞき見すること、百歩譲って1対1で根掘り葉掘り的なTALKが好きなのです。

“人の話を聞く”“心の中や状況を探る”という力はどうやら“おじさん”“お兄さん”“おじいさん”には装備されていないようです。“お姉さん”と呼ばれる人達には盗み聞きする根性がないようです。そして“おばあさん”には興味と能力はあっても、盗み聞きできるほどの聴力がなかったり、長時間粘れる脚力が なかったり。でも、体力的にまだその余地がある。それが“おばさん”なのです。

と、いうことで、9回目の「よしこおばさんは見た!」よろしくお願いいたします。よしこ感激でございます。またまた、おたよりをいただきました。お名前がわからないので、勝手ながらラジオ風にペンネームをつけさせていただきます。ペンネーム夏の風さんとさせていただきます。


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💌よしこおばさんへ。

私は去年付き合っていた男性から言われた言葉で、今でも「?」しか浮かんでこないものがあります。悩んでいるわけでもないのですが、何度考えても謎で、思い出す度になんだか嫌な気分なんです。よしこおばさんは、この言葉からどんな意味を読み取られますか。教えていただけたら嬉しいです。

当時、私は21歳学生で、彼は同い年で就職したてでした。彼が様々な要因で精神的に病んでしまったことから、夜ひとりでアパートにいては自傷行為に走って危ないと思い、寝起きだけでも私のアパートでしてはどうかと提案したのです。寝起きだけといっても、どうせ寝起き以外は会社なのですから、いま思えばほぼ同棲です。でも私は「彼の健康のために一定時間部屋を貸してあげている」という感覚で。彼も「私物を置くのは申し訳ないから」とか「朝食の用意までしてもらって負担かけてごめんね」などと言っていました。だから彼も同じ感覚なのだろうと思っていたんです。

それが、ある日彼がやって来たとき、なんの脈絡もなくこう言ってきました。「俺、ここに来る時あえて『お邪魔します』って言わないようにしてるんだよ?気付いてた?」(ニヤッ)

(ニヤッ)だったのか(ニコッ)だったのか定かではありませんが、多少(ドヤァ)が混ざっていたような気がします。いったい彼が何を言いたいのか分からず、適当に返すしかありませんでした。別れてしばらく経ってから「いやいや、『お邪魔します』くらい言えよっ」と思いましたが、結局彼がどういう意味で言ったのかはっきりしません。

よしこおばさんはどう思われますか。


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夏の風さん、ありがとうございます。これまでの“のぞき聞き”体験から察するに、元彼は「蟹座女性シンドローム」だったのではないでしょうか。星座別の性格判断を見ると、蟹座の女性は母性が強いそうです。「へぇ〜そうなんだぁ〜」とスルーできない文言ではありますが、そこはさておき、“母性”を強く信じる男性、“母性”に幻想を抱く男性の姿を、私は密かに「蟹座女性シンドローム」と名付けております。夏の風さん、あなたの元彼はまさに「蟹座女性シンドローム」。彼はあなたの親切を、すべてあなたの母性によるものだと理解していたのかもしれません。そう過程すると謎が解けていきます。謎解きの前に。

「全ての女性に“母性本能”がある」と思っている男性=99.9%

「女性の優しさは母性本能がなせる技だ」と思っている男性=96%

男性は“母性”の存在を強く信じているようでございます。母性とは、全ての女性の心に備わった男性にはない性質、すべてを受け入れ、優しく包み込む女性の本能。子どもを育む身体を持つからこそ備わった理屈ではない無条件の愛。多くの男性はそう信じているようでございます。
以前、私の“のぞき聞き”定位置 のフレッシュネスバーガーで、こんな会話を盗み聞きしたことがあります。

男性A「あのさぁ、仕事辞めたんだよね、オレ。」

20代後半の男性Aが友人らしき男性Bと交わしていた会話です。男性Aはなぜか誇らしげでした。

男性B「また辞めたの?どして?」

男性A「話が違うんだよ。オレじゃなくてもできる仕事だし、上司も煩いし。あそこにいたら、オレがオレじゃなくなるっていうか・・・」

男性B「生活は大丈夫?」

男性A「Cと一緒に暮らしてるからね、やってけるよ案外。」

男性B「おまえ、そんなことばっかやってると、Cちゃんに捨てられっぞ。」

男性A「自分らしくいられる仕事場所探せるまで、ゆっくり探せばってCに言われてるし。オレのことよくわかってるから大丈夫」

男性B「Cちゃんって理想の女だよなぁ。男のしょうもないとこもよく理解してるし、手のひらにのせて転がしてくれる感じだよなぁ。でも出しゃばんないし、 理想の女だよ。母性本能が強い女に癒されてぇ〜」

母性は、男性にとって都合のいい安全地帯です。よく聞く「男は永遠の少年」。そんなやんちゃな男を見守る女。そんな“男を支える女性”に求められるのは、やんちゃをする男を100%受け入れ、励まし、時に叱咤激励する女神、“母性本能”です。そして「私がいなきゃこの人はダメなの」そんな母性全開女子がいるのも確かです。自分で“母性”という魔法をかけている女性は、背負わなくてもいい義務をしょいこみ、苦労の上に笑顔を溢します。男性のしょうもなさが、かわいげやロマンになるこの日本には、「蟹座女子シンドローム」にかかる男性が溢れているのでございます。

さて夏の風さんの謎解きに戻りましょう。夏の風さん。元彼は“ダメな自分”を受け入れ、愛してくれるあなたに、母性という甘く、居心地のいい寝室を見つけたのではないでしょうか?夏の風さんの家は、元彼の傷をいつでも癒してくれるシェルターで、けして自分を否定しない場所だったはずです。母性に包まれた彼は、布団に包まれるような幸せを実感していたのでしょう。そして彼には、その“母性”の主、母性を“振りまく”あなた自身さえも幸せそうに映ったのかもしれません。眠る息子に布団を掛ける母。そしてゆっくり眠りにつく息子。好きな人をフォローしたいという人間としの優しさ、親切心が、女性なら誰にでもある男性を癒し育む“母性”へとすり替えられていったのではないでしょうか?

久しぶりに実家に帰る息子が家に入るのに「お邪魔します」ではおかしいでしょう?そんなこと言っちゃあお母さんが悲しむでしょう?俺たちもうそういう関係になったでしょう?母性に包まれた家を慈しむ2人になったんだよね!さぁいよいよここでニヤッ。
夏の風さん、私にはこんな風に見えるのです。お二人が噛み合わないのは当然です。
完璧なまでの母性に支えられた“二人の愛”の世界に、夏の風さんの存在はありません。そこにあるのは母性と彼の世界なのですから。

あらら、妄想が過ぎたかしら。勝手な憶測です。でも、私には彼のニヤッとした顔がはっきりと浮かびます。でも、早く別れて本当によかったと私は思います。「蟹座女子シンドローム」にかかっている男性の末期症状はやっかいです。感情をだだもれにして、それでも許される、許されて当然だ、と思いはじめるのですから。みなさんもご注意を。


よしこおばさんはあなたの体験談をお待ちしております。恋の話、セックスの話を是非お聞かせください。
※よしこおばさんへの恋愛相談も受け付けております。編集部までご連絡下さい。匿名で結構です。→love@tkc.att.ne.jp

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野沿田よしこ

野沿田よしこ(のそえだ・よしこ)

年齢敢えて不詳。私の名前はよしこ。でも“よしこおばさん”となってこそ“私”であると人は言います。なぜ“おばさん”なのか?誰かの“おばさん”というわけではなく、“おばさん”=加齢具合を表現しているわけでもありません。私の行動が“おばさん”以外では成しえないものであるからです。
私の趣味は人の恋愛話し、セックスの話しを聞くことです。と、いってもガールズTALK的に盛り上がり話し、その場で共に聞くようなスタイルでは楽しめないのです。あくまでのぞき聞き、のぞき見すること、百歩譲って1対1で根掘り葉掘り的なTALKが好きなのです。
“人の話しを聞く”“心の中や状況を探る”という力はどうやら“おじさん”“お兄さん”“おじいさん”には装備されていないようです。“お姉さん”と呼ばれる人達には盗み聞きする根性がないようです。そして“おばあさん”には興味と能力はあっても、盗み聞きできるほどの聴力がなかったり、長時間粘れる脚力がなかったり。でも、体力的にまだその余地がある。それが“おばさん”なのです。 

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