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(自分を)責めすぎる女たち、(他人を)傷つける男たち。非正規の問題? それともジェンダ-?

栗林デバ子2014.03.28

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桜が咲き始めるこの季節になると、デバ子の会社には精神の安定を欠いた方々からのお電話が急増します。奇声を発したり、警察や政府に狙われている、自分は実は○○事件の犯人だとか。なかには、すごい勢いで社会への不満や怒りをブチまける人もいる。

 

で、3月13日に東京地裁で開かれた、週刊少年ジャンプやアニメで人気の漫画「黒子のバスケ」の作者に嫌がらせをした男の裁判のことを思いました。

 

派遣社員の渡辺博史被告(36)は、漫画の作者の出身校である上智大に硫化水素が発生する容器を送ったり、関係先に漫画の販売中止を求める脅迫状を送ったりしたとして威力業務妨害罪で起訴されています。送った脅迫状の数は約500通! すんごい熱意。どんだけ深い恨みがあったんだと思いきや、本人いわく、自分は幼い頃、母親から「汚い顔だ」と言われたキモメンで、年収は200万円を超えたことがない。別に作者と面識はなく、熱心なファンでもなかったが、作者の人が「自分が手に入れられなかったものをすべて持っている。人生があまりに違うと思い犯行に及んだ」そうです。

 

自分の犯行を「人生格差犯罪」と命名し、グローバル経済の拡大により今後もっともっと増えるだろうから、裁判を「国策判決」にしてほしい、とまで言ってます。

 

ネットとか報道を見ると、本人の主張通り、「事件の背景には格差が拡大し、将来に希望が抱けない社会がある」的なことを言っているところもあるんですが、デバ子、なんかモヤモヤしたんですよね。

 

08年に起きた秋葉原無差別殺傷事件でも、加藤智大被告が非正規社員であったことや、彼女がいなくて、ネットにしか居場所がなかったことがクローズアップされましたよね。マルハニチロホールディングスの子会社「アクリフーズ」製の冷凍食品に農薬を混入した事件も「くすぶる非正規の恨み」みたいな文脈で語られました。

 

確かに、非正規を取り巻く経済の仕組みのおかしさや、なかなか日本では将来に希望が抱けない、ってことは現実にあると思う。

 

でも、なんで自分がモテないこととの怒りの矛先をまったく関係のない第三者に振り向けるの? てか、こういう犯罪に走るのってほとんど男じゃないっすか? 

 

デバ子は以前、全国展開している大手カフェチェーンで10年近くアルバイトをした女の人に話を聞いたことがあります。彼女は、アルバイトのシフト管理とか銀行への入金とか正社員と同じような仕事をしてたけど、その間、時給はたった40円しかアップせず(10年近く働いて、ですよ!)、「うちは男性を中心としたカジュアルな店なので、鮮度の高い女の子がカウンターにいたほうが男性の集客につながる」とかひどすぎることを言われて雇い止めにあった。

 

実際、そのカフェでは女子大生バイトが中心で、シングルマザーや、容姿が微妙な子、若くない子は採用しなかったらしい。

 

デバ子はこんな「若い女目当ての男が集まるカフェでは絶対お茶したくない!」と思い、個人的にそのカフェには出入りしないことを心に誓いましたが、彼女は別に犯罪に走るわけでもなく(当たり前だけど)、「雇い止めは不当だ」と、ユニオンに相談して会社を訴えました。

 

もちろん、取り巻く環境とかパーソナリティーとか全然違うんだろうけど、それを差し引いても、黒子のバスケの犯人との間には深い溝があると思う。

 

この間、ベビーシッター紹介サイトを通じて知り合った男に2人の子供を預けたところ、2歳の男の子が死亡し、ベビーシッターの男が死体遺棄容疑で逮捕される事件がありましたよね。デバ子は、テレビカメラの前で、泣きながら子どもを預けたことを謝るお母さんの姿に衝撃を受けました。それを叩く世の中の空気にも。ふつーに考えて、預けなきゃ働けない。働けなきゃ、自分も子ども生きていけない、すごいギリギリの状態だったんじゃないかと想像するんですけど。これ、社会に責任ありません?

 

こんなに追い詰められても自分を責める母親と、モテないことや承認欲求が満たされないことまで自分ではない誰かのせいにする男・・・。デバ子のフリーの友達は言ってました。「これ以上、非正規の品格を貶めないで」って。

 

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【栗林デバ子・くりばやしでばこ】

週刊誌記者。事件や裁判、犬とK-POPをこよなく愛するおひつじ座。シンガポールの動物園でハダカデバネズミを見てから、その怪しい魅力にハマっている。
ひっそり土の中から世の中にキバをむくデバ子・・・。

 

 

 

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