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自ら助けを求めることができない親や、その子どもたちをどう救うのか。

栗林デバ子2015.10.26

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昨年5月、神奈川県厚木市のアパートで当時5歳だった齋藤理玖くんの白骨化した遺体が発見された事件を覚えてるでしょうか?その後、放っておけば死んでしまうと知りながら食事などを与えず、放置したとして、父親の斎藤幸裕被告が殺人容疑で逮捕、起訴された事件です。父親は殺人については否認していましたが、10月23日、横浜地裁で父親に判決が下されました。懲役19年の有罪判決です。

この事件を聞いた時、2010年に起きた大阪の2児遺棄事件のことを思いだしました。子ども2人を部屋に閉じ込めて餓死させたとして懲役30年の判決を受けた下村早苗受刑者はシングルマザーでした。早苗受刑者は、SNSに投稿した海での水着写真や友だちと笑顔でうつる写真が晒され、「子ども放置しながら男と遊び歩いたふしだらな女」「母親失格」とばかりにメディアに叩かれました。裁判所も「子どもたちを養育できるのは(“母親”である)あなたしかいなかった」と19歳で最初の子を産み、離婚した後も誰にも助けを求められず、一人で風俗に務めながらも子どもを育てようとした20代の女性を厳罰に処しました。

齋藤被告も早苗受刑者と同じシングルファザー。“母”であることを厳しく問われた早苗受刑者と比べ、“父”である彼はどんな風に裁かれるんだろう、そんな関心を持って裁判報道を見ていました。(2014年6月6日のコラムでも書いてます)

新聞報道を見ると、斎藤被告は、妻が家を出て行った後(原因は斎藤被告の暴力と言われています)、「育児をしなければ」とコンビニで買ったおにぎりやパンなどを与えていたといいます。しかし、生活に困窮し、恋人ができるとだんだん理玖くんのいる部屋には帰らなくなります。早苗受刑者と同じく、元配偶者や自身の親族に助けを求めることはしなかった(できなかった)。

判決で、裁判長は「唯一すがるべき存在だった父親から十分な食事も与えられず、ゴミに埋もれた環境に放置され、苦痛を感じ、絶命していった。涙を禁じ得ない」と言い、検察側の求刑(懲役20年)に限りなく近い、懲役19年の判決を下しました。
この判決を見ると、とても厳しい。父親だから育児ができなくてもしようがないよね、なんて甘さは微塵も感じません。

未熟な父親は厳しく罰せられて当然だよね、そう思ったかといえば、実際に裁判を傍聴した記者に話しを聞くと、ちょっと違って見えてきました。

斎藤被告は裁判の最中、たびたび寝ていたというのです。理玖くんの母親である、出て行った妻が出廷した時も、自分自身への被告人質問でも、頭を落とし寝ていたと。

さらに自分を守ってくれるはずの弁護側の質問に「弁護士はあまり信用できない」と言ったり、自身の自慰行為のことを問われもしないのに話したり、傍聴席が啞然とするような瞬間が何度もあったといいます。

裁判員の一人は判決後、被告人についての印象を「子どもにあまり愛情を持っていないようだった」と語っていましたが、愛情うんぬん以前の問題ではないですか?

実際、弁護側は斎藤被告は軽度の知的障害があり、事件のことも覚えていない、と情状酌量を求めています。

斎藤容疑者の知的障害が、ガリガリにやせ細っていく子どもを見ながらこのまま食事を与えなかった場合死亡するんじゃないかと想像することができないほどのものなのか、デバ子には判断がつきません。

でも、あまりにも親になるということは父親に母親にとっても、そして何より生まれてくる子どもにとってもあまりに重く苛烈なことだと思わざるを得ません。自ら助けを求めることができない親や、その子どもたちをどう救うのか。

彼を罰することが、いま理玖ちゃんと同じような状況にいる子どもを救うことにつながるとは、とてもそんなふうには思えません。

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