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差別が分からない”男”たち。ちゃんと謝ると死ぬ病気なのか?

李信恵2016.10.25

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ここ一ヶ月、大阪の話題が続いた。それも、うんざりするようなひどい事件ばかりだった。大阪で生まれ育って45年になるけど、なんでこんなことになったのかと思う。大阪が、壊れて行くみたいだ。もしかして、もう壊れているのかも知れないけどね。

まず、10月の初旬に市場ずし難波店が韓国・中国からの観光客に対し大量のわさびが入った寿司を提供し続けていたという、いわゆる「わさびテロ」事件が発覚した。

南海電鉄では10月10日、車内で「日本人の乗客の皆さまにおわびします。本日は多数の外人のお客さまにお乗りいただいており、大変ご迷惑をおかけしております」との差別アナウンスがあったという。

阪急バスがチケットに差別印字をしたことも、このころ発覚。4月19日に韓国人韓国客に対して発行されたバスの切符の氏名欄に、「キム・チョン」と印字。韓国での報道によると韓国人観光客は名字しか名乗っていないとし、チョンは、朝鮮人に対しての蔑称だ。

ミナミで韓国人観光客が日本人男性に暴行を受けたというヘイトクライムが発生し、大阪の韓国総領事館が注意を呼び掛ける事態に発展した。そして、道頓堀で自撮りしていた観光客が日本人に嫌がらせをされたという事件も報告された。

続いて、18日には沖縄で大阪府警の機動隊隊員2人がヘリパット建設に抗議する市民に暴言を吐いた。男性巡査部長(29)は芥川賞作家の目取真俊さんに向かって「どこつかんどんじゃ、ぼけ。土人が」と発言。男性巡査長(26)も同じ現場で「黙れ、こら、シナ人」と云った。

これらの沖縄での事件を受けて、大阪府の松井知事は「ネットでの映像を見ましたが、表現が不適切だとしても、大阪府警の警官が一生懸命命令に従い職務を遂行していたのがわかりました。出張ご苦労様」とTwitterで発言した。なんじゃそりゃ。

そして、これらの事件について各企業や大阪府警はどのように対応したのかと云うと、まず市場ずしは、HP上に謝罪文を掲載。「海外から来られたお客様からガリやわさびの増量の要望が非常に多いため事前確認なしにサービスとして提供したことが、わさびなどが苦手なお客様に対して不愉快な思いをさせてしまう結果となってしまいました」と、あたかも「よかれと思って行った“サービス”」であるとした。

南海電鉄は「差別の意図はない」と説明。直前に外国人客が邪魔だと罵声を浴びせた乗客がいたため、トラブルを避けようとこのアナウンスを行ったとした。

大阪府警は10月21日、発言者の男性巡査部長を戒告の懲戒処分、その近くで「シナ人」と言った別の男性巡査長も戒告とした。2人は「不適切な発言で申し訳なかった」としているものの、「差別的な意味や、歴史的な意味を持つ言葉とは知らなかった」「感情が高ぶり、つい発言してしまった。申し訳ない」と話していたという。

これらの事件で共通するのは、「差別」が発覚した後、加害者がそれを差別だとしっかり認め、被害者にきちんと謝罪することはなく、「そんな意図はなかった」として、誤魔化し続けたこと。差別があったことを無効化しようとしたこと、そして周囲というか世間もそれに加担したこと、それがすごく怖かった。大阪のバラエティ、報道でさえ酷かった。「差別って騒ぎ立てられたお店(や企業)の方が可哀想」みたいな言説が主流だった。ネットでもそう。

差別した人たちはもちろんいけないんだけど、周囲によって、世間によって。こんなふうに「差別」が見えないようにされてしまうこと、無かったことにされてしまうこと、必死の告発が無効化されてしまうこと、それが一番問題なんじゃないかと思う。

「差別はあかん」って、小さな声でもいいからちゃんと云うこと。まあ、小さな声では聞こえにくいので、大きな声の方が良いかも。差別したと指摘されたなら、しっかり謝罪して、同じ過ちを二度と繰り返さないためにしっかり学ぶこと。それって、ほんまに簡単なことだと思うのに、なんでできないんだろう。

大阪での事件が偶然なのかどうかはわかんないけど、ほとんどが「男性」がしでかしたこと。情けない男ばっかりだな。ちゃんと謝ると死ぬ病気なのか、お前らは。しょうもないプライドなんか捨てて、しっかり差別がなくなるように頑張れよ、って思う。特に、松井知事はいまさらだけど辞任してほしい。

あ、ハフィントンポスト日本版の報道によると、阪急バスのチケットを発行したのは女性従業員で、「チョン」が差別用語だとは知らなかったとのこと。この件に関して阪急バスは「知らなかったこと自体が問題」として、グループ全体で改めて研修を行い、差別事例を起こさないよう取り組むと陳謝したそうだ。そういう会社が増えて欲しいし、頑張ってほしい。差別を許さない企業が発展する、そういう社会であってほしいなと思う。

また、差別があったと認めると、それをなくすためにこんなふうに努力しなきゃいけない。だから、きちっと謝らないし、差別があったことを認めないのかな、とも思う。差別がなくならないのは、差別があった方が都合のいい、つまんない政治しかできない権力者や、自分のことじゃないからと関心を持たない多くの傍観者、そして差別を娯楽にして、消費する人たちがいるから。

以前、オモニ(母親)がお世話になっているデイサービスのオンニから「以前民族講師をしていたんだけど、学校でもどこでも、差別について真摯に向き合うほど、今まで見えてこなかった差別が現れてくる。それは、しっかり取り組んでいるからこそ出てくる膿のようなもの。見えて来たものはちゃんと何とか出来る。大丈夫やで」と云われたことを思い出した。

大阪で連日報道されている差別事件は、大阪と云う社会の膿のようなもの。自分は、ちゃんと「差別」を見抜く目を持ちたい。そしてそれを誤魔化さず、正すための努力をしたい。大阪のおばちゃんのできること、なんだろ。

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李信恵(り・しね)

1971年生まれ。大阪府東大阪市出身の在日2.5世。フリーライター。
「2014年やよりジャーナリスト賞」受賞。
2015年1月、影書房から初の著作「#鶴橋安寧 アンチ・ヘイト・クロニクル」発刊。 

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