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裁判勝った。でもこれからも黙らない。

李信恵2017.06.30

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6月19日「在日特権を許さない市民の会(在特会)」と元会長との控訴審判決があり、地裁判決に続いて、全面勝訴となりました。ほんま嬉しいです。判決の言い渡しの冒頭で、「棄却」と聞いたときは一瞬ドキッとしたけど、その後裁判長が要旨について述べられ、その際に「女性差別」「複合差別」との文言を聞き、判決文にそれらが加えられたことが分かって、胸がいっぱいになった。上瀧浩子弁護士の方を見ると、目を真っ赤にして「良かったね」と。うん、本当に良かった。

3年に渡った裁判でしたが、ずっとたくさんの支援者のみなさんが傍聴に駆けつけてくれた。傍聴席が毎回満席になるたびに、安心した。傍聴は無理でも、ネット上や日常で出会うみんなにもいっぱい応援してもらって、支えてられた。ありがとうって言葉しかみつからない。

今回の判決では、「原告が女性であることに着目し、容姿などをおとしめる表現を用いている」とし、在特会らの行為が、一審が認めた在日朝鮮人への民族差別に、女性差別が加わった「複合差別」に当たると認定された。「複合差別」を認めた判決は初めてで、そのことも嬉しい。

この判決は、代理人の大杉光子先生、上瀧浩子先生、そして支援者のみなさんのおかげで勝ち取ることが出来ました。上瀧先生から初めて「複合差別」と云う言葉を聞いたのは、京都朝鮮学校襲撃事件の裁判の支援をしている時で、あれからもう5年が過ぎた。

「複合差別」とは何かと云えば、いくつかの差別が結びついて起きる差別のこと。「女性であること」と「マイノリティであること」などの二つ以上の抑圧から 生まれる独自の差別を受けることであり、私の場合は「民族差別」と「女性差別」だったが、「障碍者差別」と「女性差別」や、「民族差別」と「性的少数者差別」、「部落差別」と「女性差別」など、さまざまな例がある。片方の差別だけに着目すると他の差別が見えなくなり、被害が解決しにくくなり、いくつかの差別が結びつくことによって、被害は「足し算」ではなく、「掛け算」になって、当事者により深刻な被害をもたらす。

裁判しようと思ってからは4年が過ぎた。その間にこの社会の差別を取り巻く状況も大きく変化した。2016年1月15日には、大阪市議会がヘイトスピーチ抑止条例案を可決。5月24日に「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」が、衆参両院の議決を経て成立し、6月3日には同法が施行された。

今年に入って6月16日には、川崎市が公園など公的施設でのヘイトスピーチを事前に規制するガイドライン案を明らかにした。毎週のようにヘイトデモやヘイト街宣が行われていたころを思うと、今のこの状況は本当に夢のようだ。

 裁判は、ほんまにきつかった。自分の被害が法廷で何度も再現され、公になること、辛い記憶を忘れることが許されないこと、毎回心をえぐられた。裁判をする前に、師岡康子弁護士は、2次被害や3次被害の可能性が高いからと、すごく心配してくれた。けど、声を上げなければ差別はなかったことにされてしまう。女性が、マイノリティが声を上げても大丈夫な社会のために、自分にできることがしたかった。この判決が、今も差別で苦しんでいる誰かをいつか救うものになればいいな、と思う。

在日だけじゃなく、LGBTや被差別部落、障碍者、沖縄やアイヌなど、この社会にはマイノリティへの差別がまだまだいっぱい存在する。対在特会の控訴審の判決がでたけど、もう一つの裁判であるネット上の差別を煽ってきた保守速報との裁判はもう少し続く。

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李信恵(り・しね)

1971年生まれ。大阪府東大阪市出身の在日2.5世。フリーライター。
「2014年やよりジャーナリスト賞」受賞。
2015年1月、影書房から初の著作「#鶴橋安寧 アンチ・ヘイト・クロニクル」発刊。 

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