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標的にされる、黙らない女たち

李信恵2018.12.28

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北九州市議会議員の村上さとこさんが、Twitter上で、注文していない「代引き商品」の送りつけが相次いでいるとつぶやいた。犯人は通販商品の申込みハガキを使い、村上さんの名前で下着や健康食品などを注文。被害は、北九州だけでなく東京や京都、熊本と広範囲に渡っているという。村上さん以外に被害を受けたと明らかにした女性は、弁護士をはじめ人権問題や市民活動に関わる人たち。申し込みはがきの消印は、すべて「山口県」だった。

私が「在日特権を許さない市民の会(在特会)」と当時の会長だった桜井誠氏と、ネットのまとめサイト「保守速報」を訴えたときの代理人である弁護士も、その被害者の一人だ。少し前にこの話を聞いたとき、「私の裁判のせいでこんな被害にあっているんじゃないの?ごめんなさい」と伝えたことがある。「私は弁護士だから大丈夫。(犯人が申し込んだはがきなどは)コレクションにしている」と微笑みながら答えてくれた。本当は悔しいし、犯人が見えない分余計に怖いのではと思うけど、私が気にしないようにとそう云ってくれたのだと思う。

また、ラブピースクラブの北原みのりさんも

同じ犯人なのか? 私も今年ブラジャー等が数度送られてきた。 「ああ、またか」と思い、通販会社に情報の削除を依頼しただけで終わらせた。 そういうことに「慣れて」しまっている自分の感覚が怖い。

と、同様の被害にあっていたとTwitterで告白していた。その一文を読んで、私も同じだと思った。執筆のほかに講演会などの活動もしているが、その度に嫌がらせなどが主催者のもとにあると耳にする。「山口県」で講演をした際にもそれはあったし、今年に入ってからも何度も。主催者の方々が万全を期してくれるので、安心して話が出来てはいるものの、直前まで不安も付きまとう。

場の雰囲気を壊さないように、普段以上に明るく振舞い、「大丈夫です、こんなことには慣れていますから」と何度も口にしたと思う。本当はいつまでたっても慣れないのに、そう云うことで周囲や自分を安心させようとしているのかもしれない。でも、こんなことはあってはいけないこと。これ以上被害者がでないためにも、犯人が早く見つかって欲しい。

女性が声を上げると、こんな形で「黙らせよう」とする力が働く。しかも、下着と云うものを使って、女性を貶めようとする卑劣な方法で。そして、その相手の姿は大抵が匿名で見えないことが多い。言論や表現の自由が脅かされるのは、いつも女性や社会的な弱者だ。

もうそろそろ今年も終わろうとしているが、ある人権派フォトジャーナリストの性暴力が明らかとなった。週刊文春やBuzz Feed Newsで、その被害の内容は詳しく報じられているので、ここでは改めて書かない。が、本当にひどかった。そこには自分が持つ、圧倒的な権力性に無自覚なマジョリティ、日本社会の男性の姿が現れていた。この問題は写真業界だけではなく、この日本社会のコミュニティや活動のなかなど、どこにでもある話なのかもしれない。社会問題や人権を語りながら、その一方で「女性」への人権に無自覚な人はいっぱいいる。

けれど、それでも勇気を振り絞って発言や告発する女性たちもいる。被害者たちの勇気をたたえたいし、心の傷が癒えるようにと願う。そして、被害者が自ら声を上げなければ改善しない状況は、やはりおかしいとも思う。そういうことを、これからもずっと考えて行きたいし、取り組みたい。変わらなければいけないのは、マジョリティだ。

それから最後になったけど、まとめサイト「保守速報」を相手取り訴えた裁判で、最高裁は12月11日付けで保守速報の上告を棄却。上告受理申し立ても認めず。一、二審判決が確定し、勝訴した。大杉光子弁護士、上瀧浩子弁護士、事務局、支援して頂いたみなさま、本当にありがとうございました。みんながいたから勝てたし、最後まで闘えた。

しんどいことは多いけど、来年こそは女性にとっていいニュースがありますように!来年も黙らないぞ!

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李信恵(り・しね)

1971年生まれ。大阪府東大阪市出身の在日2.5世。フリーライター。
「2014年やよりジャーナリスト賞」受賞。
2015年1月、影書房から初の著作「#鶴橋安寧 アンチ・ヘイト・クロニクル」発刊。 

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