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【壱】人は世につれ~そうそう変わらんって。

早乙女智子2014.04.08

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こんにちは。早乙女智子です。
北原さんと出会ったのは15年前?あれから何も変わらないね~ということで、このたび、自分のからだの専門家、という連載をさせて頂くことになりました。
girlssex.jpg北原さんと高校の養護教諭小田さん、私、そして最強の、「さいっきょうの女性記者」宗像道子さんとの座談会が2003年に『ガールズセックス』という本にまとめられたときは時代が変わる予感がしたのですがね。
何がさいっきょうかというと、宗像さんは、あまりにふつーの、おかあさん、な感じの共同通信社次長。世論そのものみたいな常識人に見えてしまうにも関わらず、記者としての切り口に無理も無駄もない直球をスパン!と投げて来る方なのです。そしてそれは、取材対象を気が付かないうちに丸裸にするような、仕上げはおかあさん、な感じの、女性、でした。いわゆる専門家に出会い、ここで自分の中にあるジェンダーバイアスを見直したのでした。思い込みで質問してくる半端な男性記者(これもバイアスですが)より凄腕を感じ、赤裸々も丸裸も一緒やん、と、もともと直球の北原さんも私も、素直に楽しく語っていたのを思い出します。
自己紹介が遅れました。私はしがない産婦人科勤務医をしています。自分のカテゴリは、「生物学的女性・社会的男性・性嗜好男性・女装」です。そもそもどちらでもいい性別を気にし過ぎないようにしていますが、ある意味マイノリティとしての女性でいることに時に苦痛を感じながら社会生活を送っています。特に「女医さん」と呼ばれると身の毛がよだちます。さらに「子持ちの女医さん」と呼ばれるとシシャモじゃないわい! とブチ切れます。まあ、それが利用できるときは肩書として利用してはいますが。
3月、性同一性障害の学会である「GID学会」のため沖縄に行きました。自分の性自認とからだの性が食い違う性同一性障害ですが、「障害」という言葉については様々なスタンスがあります。一致しないだけ、であれば放っておいて欲しいというのが正直なところでしょう。そのずれを何とか修正したいとなれば、カウンセリングや医療の助けが必要かも知れません。それを選ぶのは当事者の方です。自分のからだなのですから。
しかし、私を含めて医療従事者というものは、自分のことは棚に上げて、健康のためにはね・・・などと薀蓄を語りたがります。病気を作り出し、分類しないと気が済まない、その態度の方が病的!かも知れません。
「健康と判定してもらうために、健康を害さないように注意しましょう」
なんて。
性的マイノリティーと分類されがちな少々複雑な生き方をされている方を見て、普段の産婦人科外来を見ると、マジョリティーだと信じて疑わない女性の中には、妊娠したくなかったけど妊娠してしまったり、ピルを飲みたいのか飲みたくないのか決められなかったり、パートナーに言われて傷ついていることを交渉できないなど、なんと粗末な自己決定に運命を委ねている女性の多いことでしょう。もとい、自己決定が何たるか知らない女性たち・・・・・
診察のために内診台に上がるときに、ある70代の女性が、「夫にも見せたことがないので恥ずかしいわ」とおっしゃいました。いや待て、夫にもって・・・・自分で見ていないんかい。自分で見ていないことが恥ずかしいわ、自分のからだなのに。しかし、若い女性でパートナーも何人もいて弾けているようにみえても、案外同じようなメンタリティーでびっくりします。
そんな状況で、いきなりお薬であるピルをどう思いますか?と聞かれて、え~、何だか恐い。薬だし。自然じゃないし。という反応が延々と続いているわけで、1999年にようやく認可になってもその意味が解らず、まだピル未使用の女性も多いことでしょう。
今年は2014年。実に認可から15年。誰に遠慮することもないのですが、「月経は自然」という呪いは女性の体に起こる変化をどのように受け止めるかに関して、随所に踏み絵のように出てきます。2011年からはピルは保険薬、つまり普通の治療薬にもなりました。当たり前です。低用量より量の多い=副作用を心配すべき薬が治療用だったのですから!医師の方も保険薬となって処方がしやすくなり、低用量ピルの利用者は格段に増加しました。それでもまだ妊娠を考えていない時点でもピルで月経を軽くしたり整えることに対する抵抗感は、自分のからだに対してではなくて、「自然でない」という誰かへのデモンストレーションとして残っているようです。
私は結婚後すぐの9か月、生活基盤が整うまでと、産み終えた35歳から10年間、ピルを飲みました。避妊が完璧だっただけではなく、月経コントロールを自分の手中に収めて、仕事やプライベートを安心して楽しむことができました。飛行機に乗るように、空調で快適に過ごすように、いわゆる「不自然なこと」でしたが、それが何か?という感じです。もしかして自分も?と思う方は、産婦人科クリニックを受診して相談してみてください。
そんなわけで、まずは自分のからだの専門家になる、ということがお任せでない健康管理には何より大事なことなのです。そのための情報をお伝えしていきますね。

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早乙女智子(さおとめ・ともこ)

神奈川県医師会神奈川県立汐見台病院産科副科長 産婦人科専門医 「性と健康を考える女性専門家の会」会長 日本性科学会認定セックスセラピスト 家族計画国際協力財団(ジョイセフ)理事

1986 筑波大学医学専門学群卒
1986-1991 国立国際医療センター産婦人科研修医・レジデント終了臨床薬理学教室在籍
1991-2000 東京都職員共済組合青山病院産婦人科
2000-2003 NTT東日本関東病院産婦人科
2003-2006 ふれあい横浜ホスピタル産婦人科医長
2006- 神奈川県医師会 神奈川県立汐見台病院産科副科長
専門:人口問題、家族計画、セクシュアルヘルス
2009~神奈川県立衛生看護専門学校非常勤講師
2009~明治学院大学非常勤講師 
  2011~家族計画国際協力財団(JOICFP)理事
2012~性と健康を考える女性専門家の会会長
【所属学会】
日本産科婦人科学会(専門医)、日本女医会、日本不妊学会、日本人口学会、日本性感染症学会(専門医・評議員)、日本生命倫理学会(研究開発委員)、日本母性衛生学会、日本性科学会(認定セックスセラピスト)神奈川STD学会幹事
【著書】『避妊』(主婦の友社1999)『13歳からの恋とからだノート』(新講社2005) 『ガールズセックス』(共同通信社2003)他多数 

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