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捨ててゆく私 Vol.62 「ハッテン場 2」

茶屋ひろし2008.02.07

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ハッテン場と題していますが、前回も少し触れたように、それは映画館だったり、ビデオボックス(エロビデオを見るところ)やサウナだったり、特定の野外(公園や海岸や駅のトイレ)だったりします。私が行こうと思って行ったところは、通称「ヤリ部屋」と呼ぶそうです。

さて、一軒目では何も出来ないまま、自転車を走らせて新宿に着いたころには、すっかり日が暮れていました。二軒目は、仕事帰りに時々寄る「ブック・オフ」が1階にあるビルの地下にあります。ブック・オフの地下にヤリ部屋がある・・のです。
ハッテン場を意識しすぎて緊張しているせいか、サラリとビルの階段を降りることが出来なくて、ついブック・オフに入ってしまいました。ほとんどないに等しいエロモードが、ついになくなってしまいそうです。普段どおりに書棚を眺め始めた私は、ここで適当にマンガを買って帰ることができたらどんなに幸せだろう・・、と思いました。

でもダメなのです。今日はハッテン場に行かなくてはいけないのです。ハッテン場へ行くのにマンガを買って行ったらダメということもないだろうけど、あの黄色い袋を提げていては気を削がれてしまいそうです。

これから行こうとしているところは、年齢制限が20代から30代前半までで、普通体型の学生やリーマンが集る場所だそうです。よくわかりませんが、無難なところなのだと思います。「ガッチリ、短髪、ヒゲ、坊主、スジ筋、体育会系、淫乱野郎、雄ども!」というような言葉たちが宣伝文句になっているようなところは最初から除外していました。万が一入れたとしても、周りが迷惑だろうし、たぶん私も迷惑です。

さきほどから、1軒目で見た自分の裸を思い出していました。風呂場の鏡でひさしぶりに全身を見たのです。思っていたより貧弱な体でした。毎日家でシャワーを浴びるときよりも客観的に見たような気がしました。たぶん、ハッテン場の中でも特に「ヤリ部屋」では、裸を値踏みされることがすべての中心ではないかと思えてきて自信をなくしていました。どうやら入場条件を選んで行けばヤレる、と思い込んでいたようです。でもヤレないかもしれないのです。というより、誰からも選ばれないかもしれません。
何も買わずにブック・オフを出た私は、ようやく地下へ降りていきました。

入り口の自販機で入場券とローションを買いました。マジックミラーになっているという受付に渡すと、タオルとスキンとロッカーの鍵を渡されました。スキンを見ながら、これを使うようなことをしなければ・・、とプレッシャーを感じます。

ロッカーで服を脱いでいると、奥から20歳くらいのギャル男(客)が出てきました。私の顔を見るとすぐに奥へと消えて行きます。すばやいチェックです。そのあと下着姿になった私は、渡されたものを持って奥へ向かいました。入って最初に、エロビデオが流れていて蛍光灯のついた待合室があって、そこに先ほどのギャル男が座ってゲイ雑誌を読んでいます。向かいにはもうひとり短髪の男の子が座っていました。これからこの2人がどうにかなるのでしょうか。

私はとりあえず待合室の横にあるシャワーボックスに入りました。シャワーを浴びて出てくると、待合室はギャル男一人になっています。私も向かいに座ってみました。チラチラと視線が合いますが、お互い求めていないようです。

私は奥の暗闇に入っていくことにしました。迷路のような空間は、幾つかのシングルベッドのサイズの個室で仕切られています。どうやら人が少ないようです。ドアの閉まっている個室もありますが、誰かがヤっている気配を感じません。大部屋をのぞくと隅っこに白い痩せた男の子がトランクス一枚でうつぶせになっています。どうすればいいのかわかりません。私は個室の1つに入ってみました。向かいの部屋から鼾が聞こえます。黒いレザーのマットの上に横たわっていると、誰かがのぞきにきました。振り返るとすぐに視界から消えました。またあのギャル男です。向こうも、またオマエかよ、と思ったでしょうか。

じっとしていてもしょうがないだろうけど、どう動けばいいのかわからないまま、マットの上で柔軟体操をしていると、隣の部屋から手が出てきました。ベニヤ板の壁の下に5センチほどの隙間があったのです。手を触ってみると握り返してきます。しばらくそうしていると、手が離れ隣の扉が開く音がして、私の部屋に男の子がやってきました。

またあのギャル男、ではありません。背が高くてサッカーとかしていそうな肉付きの、私よりずいぶん若い男子でした。私のちょうど目の前で、チンコが半勃ちになっています。それが、大きい。私の3倍くらいありそうです。コレ入るかな、とひるみました。
それでもやるか、と思って、キスをしたりチンコを触ったりいろいろしているうちに、その子はゴロンと仰向けになりました。ローションを使ってチンコと肛門の周りを触ってあげていると、その子は両足を挙げてオシメを替えるときのポーズになりました。
え、私が挿れますか? と驚きました。体とチンコの大きさの違いからか、私は彼が「タチ」だと思っていたのです。少しはやる気になっていた気持ちも醒めていきます。

ただでさえ、彼の股間やお尻をマッサージしている時点で、本当にオシメを替えているような気分になっていたのです。私はあまり興奮していないようです。

結果、私は彼の望んでいることをしてあげることができませんでした。そのかわり口や手を使って彼をイかせました。時間がかかってとても疲れましたが、彼は嬉しそうでした。そのあとシャワーをいっしょに浴びて体まで洗ってあげました。就職活動中の大学生でした。高校の頃にサッカーをやっていたそうです。自分のことをよく喋る子でした。私はこの店で働いているような気持ちになりました。
最初見たとき、私のことを「ウケ」だと思ったそうです。「ウケだよ」と答えると驚いていました。驚くかな~、と思いました。「今度はちゃんと誰かに挿れてもらいなさいね」と彼を暗闇に送り出しました。私は帰ることにしました。
3軒まわる予定でしたが、もう、じゅうぶんでした。

今度来る時は「タチ」も出来るようになっていないといけない、という課題が増えました。
最近は、「女装ハッテン」というものもあるのだそうです。女装をしてヤられたい男と、女装した男をヤってみたい男、が出会う場所なのだそうです。その男たちがノンケかゲイかもよくわかりません。飲み屋で会う友達が薦めてくれました。女装する側を、です。
けっきょくその方向へ行くのかしら・・と思います。そうしたら知らない人とでも興奮するのでしょうか。もし今後行くことがあれば、また報告をしたいと思います。

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茶屋ひろし

茶屋ひろし(ちゃや・ひろし)

書店員
75年、大阪生まれ。 京都の私大生をしていたころに、あたし小説書くんだわ、と思い立ち書き続けるがその生活は鳴かず飛ばず。 環境を変えなきゃ、と水商売の世界に飛び込んだら思いのほか楽しくて酒びたりの生活を送ってしまう。このままじゃスナックのママになってしまう、と上京を決意。 とりあえず何か書きたい、と思っているところで、こちらに書かせていただく機会をいただきました。 新宿二丁目で働いていて思うことを、「性」に関わりながら徒然に書いていた本コラムは、2012年から大阪の書店にうつりますますパワーアップして継続中!

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