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捨ててゆく私 Vol.63「さびしんぼう」

茶屋ひろし2008.02.14

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先日はじめてバイブを買いました。長さは10センチくらいの、この形はどんなふうに表現すればいいのでしょう・・円筒で、先の部分は丸みを帯びたまま少し太くなっています・・弾丸のような形でしょうか。筒の部分に単3電池を1つ入れて先の丸みをひねると小刻みに振動します。水に濡れても平気です。

前回のハッテン場レポートで、私はタチができなかったことを報告しました。どんどん勝手にカミングアウトをし続けることをお許しください。まだ続きます。

では、ウケは得意なのかというと、実はそうでもなかったりするのです。読んでくださっている方がどれだけアナルを使ったセックスをされているかどうか、また、興味がおありかどうか、わからないまま書き進めますが、私はこれまでアナルにチンコを挿入されても気持ちいいと感じたことがありませんでした。一時、これではイカン、というか、おもしろくない、ということで、チンコの形をしたディルドを買って家で練習をしていました。

ですが、それでも気持ちよさがわからないのです。入れたり出したりする作業には排便感しかありません。前立腺の場所はわかるし、そこに触れることは確かに気持ちいい。けれど、そのためになぜこれだけの量の物体を出し入れしなければいけないのかわかりません。
またハッテン場に行くかどうかはわかりませんが、今度誰かとセックスするまでには解いておきたい疑問です。
そこのところをバイブが少し解決してくれました。中に入れて振動しているだけで気持ちがいい。形もチンコに比べてスムースで、手で動かすのでいろんな動きを試すことが出来ます。どうやら、少しずつ、アナルを使ったセックスの気持ちよさがわかりかけてきました。

ここのところそんなことばかり考えて仕事をしているので、ますますぼんやりした店員になっています。そんななか、仕事中にパンツさんから私の携帯に電話が来ました。普段、私は仕事中に携帯電話には出ないことにしているにもかかわらず、加えて、パンツさんからの電話はほとんど出ないようにしているにもかかわらず、ふと通話ボタンを押してしまいました。ぼんやりしすぎです。

はい、と出るなり、「あのさー」と、とてもテンションの低い声が聞こえました。電話の時のパンツさんは少し精神のバランスを壊していることが多いのです。以前、出るなり、「人って、さびしいよねー」と言われた時からずっとそうです。
ひさしぶりに出てしまった電話では、「あのさー」のあとに、「来週休み取れない?」と続いたので、言葉の意味がわかって少しほっとしました。「どうしたんですか」と聞き返すと、「ヒダタカヤマに行こうよ」と言います。
休みは取れません。ヒダタカヤマにも行きません。
答えは決まっていますが、なぜヒダタカヤマなのかはわかりません。

「あら、ヒダタカヤマに行くご予定があるんですか」と、ついイケズを言ってしまいます。
すると、「いっしょに行きたいんだよ!」と、少し苛立ったような返事が来ました。
私はいっしょに行きたくないんだよ、と思って、お断りしました。
パンツさんは時々さびしさをぶつけてきます。私の休みの日に、昼間の二丁目をフラフラしているパンツさんを目撃したと、バイトちゃんがいつも報告してくれます。夏の二丁目の祭りの日に、ざわめきから離れて裏通りに1人でポツンと佇んでいた姿を思い出します。
私とパンツさんは恋人でも友達でもない関係です。お互いのことをよく知りません。飲み屋で出会ったわけでもなく、バイト先のビデオ屋で出会ってそのまま、まだ、通りすがりのような関係が続いています。それは、私がそれ以上仲良くなろうとしていないからだと思います。それなのに、私は勝手にパンツさんのことを、オバケのような人だな、と思っています。実体がなくて念だけがあるような・・。
今年に入って、私は好きな子に、「エロを感じない」と言われてフラれて、じゃあそのエロを獲得しようとハッテン場に行って、わかったことは、ウケにせよタチにせよ、アナルセックスを楽しんだことがない自分の体のことでした(アナルセックスを選択するかどうかは、たぶんその先です)。「エロ」は、体の形容詞なのかもしれません。

パンツさんと私はなぜ出会ってしまったのだろう、そしてなぜ続いているのだろう、と、最近よく思います。私が二丁目で働き出して、最初のバレンタインの時にチョコレートを貰ってからなので、かれこれ出会って3年になります。
私は自分の体のことをよく知らないまま、雰囲気エロ、というか、気持ちの良いセックスは妄想の中にしかない感じで、なにかをごまかしながら誰かとセックスをしていたから、フラれたり、付き合っても長く続かないような関係しか持てなかったような気がします。その辺りが、ちょうど、パンツさんのさびしさとくっついたのでしょうか。

パンツさんとセックスをしたことはないし、したいと思いませんが、「セックスをしたい人としか付き合わない!」と、私の体がはっきり意思表示をしていれば、パンツさんとこんなに長く会い続けていなかったように思います。
だいたいは保留にして棚上げしておくことが好きな私ですが、「さびしんぼうのオバケにはなりたくないわー」と思いながら、ただ今バイブを使っています。

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茶屋ひろし

茶屋ひろし(ちゃや・ひろし)

書店員
75年、大阪生まれ。 京都の私大生をしていたころに、あたし小説書くんだわ、と思い立ち書き続けるがその生活は鳴かず飛ばず。 環境を変えなきゃ、と水商売の世界に飛び込んだら思いのほか楽しくて酒びたりの生活を送ってしまう。このままじゃスナックのママになってしまう、と上京を決意。 とりあえず何か書きたい、と思っているところで、こちらに書かせていただく機会をいただきました。 新宿二丁目で働いていて思うことを、「性」に関わりながら徒然に書いていた本コラムは、2012年から大阪の書店にうつりますますパワーアップして継続中!

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