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伊藤比呂美さんの新作「とげ抜き新巣鴨地蔵縁起」(講談社)を読んだら巣鴨に行きたくなったので、休日に花見を兼ねて一人で行ってきました。

地蔵通り商店街をあまりブラブラせずスムーズに通り過ぎました。肝心のとげ抜き地蔵も横目で横切ってしまいました。まだ「とげ」の意味を理解していないようです。

商店街の終わりで天丼セットを食べ、折り返しに国道へ出て左へ寄れて行くと染井霊園に出会いました。そこでは大きなソメイヨシノがどれも満開で、夕方の曇り空をバックに目がチカチカしました。
一人で花見はさみしいです。しかも墓地を選んでいます。

墓地を出てしばらく歩くと、近年わいたという天然温泉があったのでお湯につかってみました。心なしか温まった気がしました。

先月の末から、二丁目界隈では新宿御苑の花見でにぎわっていました。オカマはみんな行くそうです。みんな、にしておきます。それくらいのオカマの量だそうです。週末の夕方には、花見帰りの団体さんで二丁目の通りもにぎやかになります。
二年前に好きな男の子と御苑で花見をしたことがあります。そのときは平日だったせいか、オカマがそんなにいたという記憶がありません。一度その状況を見に行きたいと思っていましたが、今日の嵐でいよいよ花見も終わりそうです。

そう、料理や酒を持ってみんなで行くのが花見です。と、毎年その雰囲気に圧倒されますが、そういえば私は三人以上で花見をしたことがなくて、そういう花見をよく知らないのでした。団体花見には「みんな家族」というメッセージを感じたりします。
先週の休みは、午後にフーさん(「映画乱調」の高橋フミコさん)が散歩兼花見に誘ってくれました。ウチの近所から江戸川沿いへ出て、歩きながら散っていく桜の姿を眺めました。椿山荘に入り、華やかな庭園を歩きながら、セックスセックスレズゲイセックス、という話ばかりしている状況に途中で可笑しくなりました。

「ハッテン場のセックスはオナニーなわけ」と、一回しかハッテン場に行ったことのない私が偉そうに言うと、「じゃあ、オナニーじゃないセックスってなに」とフーさんが言ったので、そんなのあったか、と本気で過去を振り返ってしまいました。
椿山荘を出たあと、通りがかった寿司屋に入ってランチを食べることにしました。そこではセックスやゲイの話はしませんでしたが、会計時に大将が、フーさんのことを「お兄さん」と呼びました。フーさんは近年、男性に間違えられることが多いそうです。私のことは「そちらの方」と呼びました。いっそ流れで「お姉さん」でいいのに、変に気を使われてシャクでした。フーさんは、「性別・そちらの方」にウけていました。

そのあとフーさんのお友達と合流してお茶をしました。
一人の花見はせつないけれど、二人以上になると楽しいことも起きていいですね。
って、誰に確認してもらいたがっているのかわかりませんが、イベント期には、今あなたは一人なのか、だとしたらそれはどうなのか、と思わないか、と、その期間中ずっと誰か(たぶんそれは自分)に尋問されている気がして落ち着きません。
けれど最近では、オナニーじゃないセックスはまだわかりませんが、今日一日の話を出来る人がいると嬉しい、という気持ちはわかるようになってきました。

そういうふうに考えてみれば、恐ろしいことに、私は毎日職場のオーラちゃんに、自分の身の上にあったことのほとんどを話して聞いてもらっているのです。それは昨日今日の話だけではなく、過去の出来事にさかのぼり、妄想を含み、なんどもなんども形を変えて繰り返されます。
自分の話を誰かに聞いてもらうことによってなにか安心を得ているのでしょうか。
そうすると、仕事帰りのゲイバーでする話も、酔っ払って夜中に書くミクシーの日記も、自分の話を誰かに聞いてもらいたい欲求ということになりそうです。
誰かと付き合うとか一緒に暮らすとか、毎日、今日一日の話を出来る人がいると、職場の人に喋りすぎる迷惑をかけず、イベント期に感じる圧力から解放されて、日々酔っ払わない、落ち着いた生活ができるようになるかもしれません。
もうエロは含まない(宣言?)という形で関係が続いているサチオちゃん(カラオケ友達)からは、そうした「今日一日の出来事」を報告するメールや電話がよく来るようになりました。それを苦に思わないで聞いている自分がいます。大家族は身近に思いませんが、こういう小さな関係は欲しているのかもしれません。
けれど私は、サチオちゃんが電話で話したいときに酔っていることが多く、三回に二回はまともに話を聞いてあげられなくて、「ごめん、もう寝る」と途中で電話を切ったりしています。ほんとごめん、というか・・私の「とげ」は大きいようです。

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茶屋ひろし

茶屋ひろし(ちゃや・ひろし)

書店員
75年、大阪生まれ。 京都の私大生をしていたころに、あたし小説書くんだわ、と思い立ち書き続けるがその生活は鳴かず飛ばず。 環境を変えなきゃ、と水商売の世界に飛び込んだら思いのほか楽しくて酒びたりの生活を送ってしまう。このままじゃスナックのママになってしまう、と上京を決意。 とりあえず何か書きたい、と思っているところで、こちらに書かせていただく機会をいただきました。 新宿二丁目で働いていて思うことを、「性」に関わりながら徒然に書いていた本コラムは、2012年から大阪の書店にうつりますますパワーアップして継続中!

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