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昼間ビデオ屋で働いていると、表を通りかかるノンケのサラリーマンたちが、時々店を指差して笑いながら通り過ぎます。けっこう受けています。男同士のセックスに対しての笑いなのでしょうが、その現場にいる私は、もはや何を笑われているのかわかりません。

今夜は、少し酔った日本人の女の子と黒人の男の子が店内に入ってきて、ビデオのパッケージを指差して笑い始めました。くすくす、ひっひ、といった感じです。これを放っておくと、ビデオを買ってくれるはずの店内のお客が何も買わずに帰ってしまうので、その二人に、その雰囲気ごとまとめてご遠慮いたします、とお願いして出て行ってもらいました。
あとで一緒に働いているオーラちゃんと、なにが可笑しいのかほんとにわからないよねー、と言いあいました。バカにされた、とか、差別された、とも思って怒りもわきますが、こういうことが連日続いて年数も経つと、その笑いへの疑問がクローズアップされてきた感じです。

中学生の頃、体育の着替えの時に、かならずチンコを出して周囲の笑いをとる男子がいたことを思い出しました。村田くん・・学年でいちばん体が大きくて喧嘩が強いと評判でした。私はいつも離れた場所から、どんなチンコかガン見していました。
今のビデオ屋で笑われる感じと、あのときの笑いはよく似ているように思います。誰かがチンコを出しただけで笑う、男子たちの笑い。そういう笑いは私が生きてきた周囲で今までたくさんあったような気がします。ビデオ屋でのノンケたちのはしゃぎ方も、ホモのセックスをあざ笑う、というよりこっちの笑いに近いのかもしれません。なんのヒネリもなくチンコと発音しただけで喜ばれるような事態です。

かつてビートたけしが「女にお笑いはできない」と言ったことを今でもよく覚えていています。それは、女はチンコを見せることができないから、という意味だったのでしょうか。チンコだけで取る笑い、というものがこの世にはあるようです。

先日テレビで「松本人志のすべらない話」を見ていました。お笑い芸人たちが一人ずつシャベリだけで笑いを取っていくという番組です。ゴリという芸人が話し始めたときに、これはチンコだけで笑いを取る話だな、と私の中でフィルターがかかりました。ゴリ主催の飲み会にはるな愛というニューハーフタレントが参加した時に、二人で彼女は女だとゴリの後輩芸人の男子を騙して面白かった、という話でした。テレビの中では爆笑でしたが、私はまったく笑えなくて、またその疑問が残りました。

ゴリは以前、ゴリエというチアリーダーキャラをやっていた男性の芸人です。私はゴリエが好きでした。ゲイキャラになるノンケタレントは、その途中、俺は女好きだから、という発言をよくしたがる傾向にありますが、今回の、ニューハーフを女と間違えた後輩の話をするゴリも、ゴリエキャラの反動の中にいるように見受けました。

差別や偏見や無知といった言葉を使って非難もしたくなりますが、最後はそのニューハーフタレントが「自分のチンコを見せた(じっさいに彼女にチンコがあるかないかじゃなく)」というオチだったので、なんだか怒るほどのことでもないような気にもなりました。
この笑いは、男がチンコを見せることへの照れ隠しから来ているのでしょうか。そんな呑気な話ではなくて、じっさいに、女やゲイには、「お笑い」をさせないための圧力なのでしょうか。けれど笑う側もその「チンコ見せ」を笑うことが基本となっている現場なら、たしかにそれを笑えない女とゲイがその「笑い」を芸とすることは難しいことになります。

ゲイビデオのパッケージに写るチンコは、笑いのために出しているというより、むしろエロを喚起するのが目的です。けれど、男のチンコにエロを感じない人たちにしてみれば、それは笑わせるためにチンコが出ているという解釈になりやすいのかもしれません。冒頭のカップルに至っては、好きな人と一緒に何かを経験している、という喜びから生まれた笑いも含まれているように思いました。
怒るだけ疲れるしもうあんまり怒りたくないのよねー、とオーラちゃんは言います。

そうね、その辺りをすみやかに棲み分けていただければそれでいいわー、と私も答えました。
もちろんゲイの中には、タイプの男性がチンコを出してくれただけで喜ぶ人がたくさんいると思いますが、それは「お笑い」ではない笑いだろう、と思うのです。いや、かぶっているところもあるのかしら・・。

そんなことを思いながら、帰宅してゲイビデオを鑑賞しました。北欧の美少年たちの人気シリーズです。日本のゲイビデオもいろんなことに挑戦していますが、チンコのサイズだけは、なにかまだ大きな違いがあるように思います。画面の中のウケの子は、そんな大きなチンコを出し入れされながら、笑っています。楽しそうに、嬉しそうに笑っています。痛くないのね、気持ちいいのね、と私はそのことに驚きます。

人によって、男同士のアナルセックスは嫌悪や恐怖にもなって、あとはチンコや肛門を見せて笑いを取るだけなのに、一方では、それらを使ってこんな幸せそうな笑いを生むこともあるんだわ、となんだかしみじみしました。

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茶屋ひろし

茶屋ひろし(ちゃや・ひろし)

書店員
75年、大阪生まれ。 京都の私大生をしていたころに、あたし小説書くんだわ、と思い立ち書き続けるがその生活は鳴かず飛ばず。 環境を変えなきゃ、と水商売の世界に飛び込んだら思いのほか楽しくて酒びたりの生活を送ってしまう。このままじゃスナックのママになってしまう、と上京を決意。 とりあえず何か書きたい、と思っているところで、こちらに書かせていただく機会をいただきました。 新宿二丁目で働いていて思うことを、「性」に関わりながら徒然に書いていた本コラムは、2012年から大阪の書店にうつりますますパワーアップして継続中!

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