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「SEX AND THE CITY」

茶屋ひろし2008.09.19

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ようやく、見たかった映画「SEX AND THE CITY」を見に行きました。

一人で見に行きました。この映画は一人で見に行くようなモノじゃないような気がして、いっしょに行けるかもしれない人たちの顔を思い浮かべようとしましたが、思い浮かばず、けっきょく一人で行くことになりました。

とりあえず、今付き合っているクロを誘ってみましたが、当然のように拒否されました。この人は「SATC」に興味がないうえに、映画館で映画をみること自体をすでに拒否しているようです。

映画公開で思い出したゲイ友達がいました。彼は「SATC」の大ファンですが、映画館で映画を見ることが嫌いな人でした。
いっしょに行くとして、男性で思い浮かべたのは以上二名で、すぐ却下されてしまいました。ゲイバーで知り合っている人たちには、「SATC」も好きで映画を見ることも好きな人が何人かいますが、その人たちに限って、二丁目以外の場所で会うことがない人ばかりで、突然、今までそんなことをしてきたかのような素振りで映画に誘うということもできません(そうじゃなくて、ちゃんと誘えばいいだけですが)。

ということで、女友達ね、と身近にいる女友達を思い浮かべていきますが、どうやら、TV版「SATC」を見ていない人ばかりです。最終シーズン6しか見ていない私が言うのもヘンですが、少しはTVドラマを見ていたほうが映画を楽しめるような気もするし、私も、これまでのドラマの流れを簡潔に、かつ面白く前ふりできる自信がない(それに全部見ていない)ので、すぐに誘うことを諦めてしまいました。

映画を見終わって、このドラマに描かれている四人の女性のような関係を、私は持っていなかったんだわ、ということに気がつきました。

この映画は、恋人同士で見に行く人たちが多いのでしょうか。
私は、ドラマの四人の関係性に感化されていて、同性の友達といっしょに行くのが楽しい映画のような気がしていました。異性愛者の男性同士はなさそうですが、女性同士やゲイ同士・・それは、普段から互いの恋愛やセックスのことを、気負いなくしゃべり合っている関係ということでしょうか。そして、そういう関係ってアリなんだ、ということを十年前に打ち出したのが、このTVドラマシリーズだったように思います。

ドラマの中の四人は、常に連絡を取り合って、できるだけ会う時間をつくり、いつもそのときの状況を隠さずに語り、相手の話を聞き、それぞれの立場から意見を言い合うことを好みます。その内容が、恋愛とセックスの話を中心に進められていくというのは、やはり画期的なことだったと思うのです。

恋人同士でも、同性同士でも、異性同士でも語りにくかったこと(語りにくさの状況は違うと思いますが)を語ってしまった関係、そしてそれがとても大事なこととして認識されていく関係。こういう関係を私は持っているか、と考えたら、ここ最近少しずつ出てきたように思いますが、それでもまだ十年前の段階です。

あとは、「四人で長く付き合っている」という設定もないことに気がつきました。
それは、私と会う友達はいつも一人ずつで、その友達同士がつながっていることがほとんどなく、しかもそれぞれと連絡を取り合わない期間が長く続いたりするからです。
ひさしぶりに連絡(電話したり会ったり)します。しばらく密に連絡します。そのうちどちらからともなく連絡が途絶え、その頃には私は別の人と連絡をとっていて、それもまた消えて、そのうち先の人からまた連絡が入る、といった具合です。
長い間、同じ人と、ずっと頻繁に語り合ってきているという関係は、恋愛においては今に続いているものはなく、友情においても積極的にはないように思います。

映画を見た後、TVシリーズをシーズン1から見始めました。「恋愛」という字幕が「リレーションシップ」と発音されていることに気づきます。それは「パートナーシップ」という言葉に近い意味が含まれているのでしょうか。
人間関係を継続していくのに必要なことは、いつも気持ちを言葉にする努力を惜しまず、相手のそれも大事にしながら、いっしょに生きていく時間を過ごしていくことなのだろう、と思います。

それは、友情でも可能なことを(エラそうに言えませんが)恋愛でも求めているということでしょうか。それともその二つは、性差において決定的に違うことで、必要性も違うのでしょうか。

映画では、サマンサという女性以外の三人が、やっぱり私たちは恋愛(男性)にもそれを求めていきたい、という結果(結婚)を出したように見えました。

私は、五年付き合った年下の男より四十九年間付き合ってきた自分を選んだ、「私には私が必要なの!」というサマンサの答えに惹かれました。人間関係における、友情か恋愛か、の違いよりも、自分のセックス(性行為だけじゃなく)を選ぶところに、さらにこのドラマの先があるような気がしました。

先週、とつぜん夜中に、ひさしぶりに京都の女友達から電話がきました。
内容は、彼女がこの夏に年下の男を好きになってしまったことでした。出会いから、メールの返信がこなくなった今日の状況までを、一時間かけて聞きました。その時点で、そのオトコに彼女を想う気持ちはもうないわ、と思いましたが、そのオトコを諦めきれない彼女は、「イケメンでやさしくて仕事もがんばってはって・・」と語り続けました。彼女は結婚相手を探しているのです。「そう、でもメールの返信が来ないのなら放っておき」と、私は彼女の話をひと夏の体験にして受話器を置きました。
翌日、「まだ言ってないことがあったわ」と、また電話がかかってきました。今度は、そのオトコのイケていないところばかりでした。私は、「ほな、やめとき」と言いました。彼女は、「そうやな、やめとくわ」と答えました。
早い・・たった二日間の、ひさしぶりの電話での再会でした。そして、もうしばらく電話をすることもないのでしょう。

ちょうど「SATC」月間だったせいか、安易にも、「こんな離れて住んでいるオカマを思い出してわざわざ電話をかけるよりも、ミランダやサマンサのような友達が近くにいたほうがいいのにね」と思いましたが、けっきょく一人で映画を見に行った私に他人のことは言えないのでした。

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茶屋ひろし

茶屋ひろし(ちゃや・ひろし)

書店員
75年、大阪生まれ。 京都の私大生をしていたころに、あたし小説書くんだわ、と思い立ち書き続けるがその生活は鳴かず飛ばず。 環境を変えなきゃ、と水商売の世界に飛び込んだら思いのほか楽しくて酒びたりの生活を送ってしまう。このままじゃスナックのママになってしまう、と上京を決意。 とりあえず何か書きたい、と思っているところで、こちらに書かせていただく機会をいただきました。 新宿二丁目で働いていて思うことを、「性」に関わりながら徒然に書いていた本コラムは、2012年から大阪の書店にうつりますますパワーアップして継続中!

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