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私の働いているビデオ屋では男性用下着も取り扱っています。ローライズのボクサータイプが主流です。ここ一年あたりで女性の購入者が増えました。中心となっているのはレズビアンの人たちです。男性へのプレゼントではなく、彼女たちが穿くためだそうです。遅番のオーラちゃんがそのうちの一人と仲良くなり、彼女が二丁目のレズビアンバーで働いていることを私に教えてくれました。
そのあと彼女は、二丁目のレズビアンコミュニティーが共同でつくったという、レズビアンバーのマップを何部か持ってきてくれました。


ゲイバーのマップは本やフリーペーパーでよく見かけますが、それに対応するレズビアンバーのマップはありませんでした。
風俗案内所ではありませんが、ビデオ屋の前を通りかかった女性からレズビアンバーの所在を聞かれることも多く、異性愛者の男性にゲイバーの案内を聞かれるよりははるかに親切に対応してしまう私たちには、とても便利なマップです。
パンツをいつも買ってくれる彼女が働いている店の名前も覚えました。

そんなある日、ゲイバーでレズビアンの友達と飲んでいたら、その店へつれて行ってもらえることになりました。
レズビアンバーに一度行ってみたい、と思っていましたが、なかなか機会に恵まれなかったので嬉しい展開でした。

当然ですが、男性の入店を基本的に断っている店が多い中、そのバーはそこのお客さんとの同伴であれば平日に限りかまわない、とのことでした。
ミックスのゲイバーで、女性の入店も可能なところでさえ、どこか遠慮がちな女性の姿を幾つか見てきた私は、今度は私がその立場になるのね、と少し緊張しながら入らせてもらいました。

カウンターの隅に、今日私が販売したパンツが二枚置かれていて笑いました。友達に紹介してもらって、私もそのパンツのことに触れると、マスターは「おかげさまでこの店の子たちもお客さんたちもみんな穿いているのよ」と笑いました。
お酒もすすんでカラオケもして(周囲のカラオケ状況から安全地帯を選曲、声がひっくり返りました)、マスターともいろいろと話をしました。
21周年を今月迎えたばかりだと言うマスターは、この店にやってくる女の子たちを守る立場にいたい、とおっしゃっていました。ゲイバーのママたちも同じようなこと言いますが少し意味合いが違う気がしました。ゲイバーではお客さんのゲイセクシュアリティを守る、というか、応援したい、という意味合いが強いように思いますが、ここではセクシュアリティーの保護や支援に加えて、やはり、男性から女性を守りたいという意味も含まれているように思いました。

そのお店を後にして友達と別れた後、もう一軒ゲイバーに行きました。お客は他になくママと二人で話していたのですが、流れが奇妙な方向へ動きました。先ほどまでレズビアンバーで楽しく飲んでいた私は、いつのまにかゲイバーのママになにやら説教をされていて、原因はいつものように(失言とか)あったのかもしれませんが、それにしてもなんだか腑に落ちなくて、ああなったのは違う空気を運んでしまったからか、と翌日になって推測してみました(いえ、たぶん失言のせい・・)。

レズビアンとゲイの違いは、性的指向の差異というより、社会的につくられたという意味での性差(ジェンダー)の違いが大きいように思います。
いくら両者を同性愛という枠で括ろうとしても、女か男かの違いでほどけてしまう、そんなイメージがあります。
ややこしくなりますが、「男らしさ」を体現しているレズビアンがいたとしても、社会的につくられた男性ではない、という点において、レズビアンコミュニティーに男ジェンダーは存在しないように思うのです(トランスセクシュアルの話ではありません)。
それは「女らしい」ゲイがいたとしても、女ジェンダーをなぞっているにすぎないという点においては同じです。社会的な女として苦労をしたゲイはいないと思います(ニューハーフの話でもありません)。
けれどゲイ男性は、もともと男ジェンダーを持っているうえに、さらに相手にもそれを性的に求めるので、男ジェンダーを手放しません。
レズビアンバーからゲイバーへハシゴしたときに起きた奇妙な流れは、そもそもそうした男ジェンダーを軽視している私が、それの存在しない世界を味わってそれが楽しくて、そのまま、それを重要視しているゲイバーへ遊びに行ってしまったために生まれた違和感だったのじゃないか、と深読みしてしまいました。
私がそのとき遠慮するべきだったのは、ゲイバーの方だったのかもしれません。

先週レズビアンの友達に、以前このコラムで紹介させていただいた(2008/5/29)「げんこつ団」という女性だけの劇団の芝居に、また誘ってもらいました。新作です。ブルジョアではなく「フルチョア」というタイトルに興味をそそられましたが、唯一行くことの出来た休日を、こちらも以前から行ってみたかった谷山浩子さんのコンサートに当ててしまいました。苦しい選択でした。谷山さんについては次回書いてみたいと思っています。
前回お芝居を見に行ったときに、ゲイ友達にすすめたらとても彼の気に入ってしまった、ということはコラムにも書きました。もちろん今回の公演もその彼は楽しみにしていたらしく、彼からもいっしょに行かないかと誘われていました(けれど私は谷山さんへ・・)。
「フルチョア」を観てきた彼は、前回と同じくとても楽しめたけれど何点かひっかかった部分があった、と申しました。そのうちのひとつに、彼女たちがゲイネタを演じた場面があったそうです。私は観ていないので彼の言ったように書きますが、それはテレビで異性愛者の男性お笑い芸人がゲイネタをするときのような(「自分は安全なところにいて笑う人」のような)芝居だったそうです。彼はそのヒネリのなさにゲイ差別の助長を感じ、それなら女である彼女たちはなぜレズネタをしないのか、という疑問が残ったそうです。
それを聞いた私は、「げんこつ団」は、すべての男ジェンダー(あるいは、それと対になる女ジェンダー)の行為を風刺することをコンセプトにしているように思うので、そういうゲイネタは取り入れるけど、男ジェンダーの存在しないレズネタは表現する意味がないのではないかしら、と思いました(「エルワード」を見ないで誤解する男女くらいは演じるかもしれませんが)。それに「げんこつ団」はレズビアンを打ち出した演劇集団でもありません。そういうことを言ってみたら、彼に「えこひいき!」と言われました。

けれどやはり私は、レズビアンであるということと女であるということは、ゲイであるということと男であるということと、同列に語られるべきではないと思っています。そうでないとどちらの店でも楽しいお酒が飲めなくなってしまいます。

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茶屋ひろし

茶屋ひろし(ちゃや・ひろし)

書店員
75年、大阪生まれ。 京都の私大生をしていたころに、あたし小説書くんだわ、と思い立ち書き続けるがその生活は鳴かず飛ばず。 環境を変えなきゃ、と水商売の世界に飛び込んだら思いのほか楽しくて酒びたりの生活を送ってしまう。このままじゃスナックのママになってしまう、と上京を決意。 とりあえず何か書きたい、と思っているところで、こちらに書かせていただく機会をいただきました。 新宿二丁目で働いていて思うことを、「性」に関わりながら徒然に書いていた本コラムは、2012年から大阪の書店にうつりますますパワーアップして継続中!

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