ラブピースクラブはフェミニズムの視点でセックスグッズを売り始めた日本で最初のトーイショップです。

女だろーぅ

北原みのり2009.09.29

Loading...
 終電間近の電車で。隣に座った男性が酔っぱらいながら、ブツブツ言っていた。聞こうとするまでもなく耳に入ってくる。
 
 
「愛のないセックス、するなよ。女だろ。愛がないのに、セックス、するか? 男と女は違うだろううぅあ(泣)」
 
 
 心の声がすべて音になってしまっている。顔をのぞきこみたいのを、ぐっとこらえる。空いている車内だったので、向かいの窓に映る男性の顔を確認。30代前半くらいかな、人の良さそうな、まん丸い顔の眼鏡男子。
 セックスした女性がいたのね。その人に、「あのセックスに意味はない」とか言われちゃったのね。それとも、好きな女性が、別の男性と酔った勢いとかでセックスしちゃったとか。あららお気の毒と思いながら、ふと男性の隣でニタニタしている自分と目があって、ビックリする。笑ってるよ、私。
 
 
 女だろぅー
 
 なんて悲痛な叫び声。暗い山奥から聞こえるオオカミの遠吠えのよう。女だろぅーーーーーー! 女だろぅーーーーー! ええー、女ですぅーーーーー、女とはーーーーー、そんなもんですわーーーー。ああ、いやだ、まだ笑ってる、私。
 
 
 気持ちいいから、というだけで、やってみたいから、というだけで、楽しそうだから、というだけで、体を重ねることもありましょう。「愛」というだけでがセックスする理由ではございません。というより、「愛がなくちゃ、セックスできない」とか言っている女こそ、用心しなきゃいけないってことに、あなた、その年まで気がつかなかったの? そういう女は危険ですよ。「恋愛中のセックスは脳内ドーパミンが炸裂して、そこら辺の男と暇だからするセックスより、グンと気持ちいい」と、正しい言葉使いを敢えてしないあたり、色々と間違ってる可能性が高いですからね。だいたい「愛あるセックス」も、”私があなたを愛してるからセックスをする” から ”あなたが私を愛してくれるならセックスをする” まで色々と幅があるというものです。自分の欲望に正直で、相手に誠実であろうとする女ほど「愛のあるセックス」というものに懐疑的であることを、あなたが知るのは何年も後のことになるのかしら、それとも一生気がつかないのかしらーーーー!! ハハハー。って、私、笑いすぎ。
 
 
 電車の中で酔っぱらって泣いて怒っていた君。隣で笑っていた女は私です。男子用バイブも少しずつ売っているから、ぜひ利用してね。自分を愛するのは、自分の仕事ですからね。それにね、あなたに、愛があったのなら、それは「愛あるセックス」なんです。だいじょーぶ。いい女にあたった、勉強になった、と思って、次行こう! と、ヤリチンに振られて泣いている女友だちを励ますような気分である。
 
 
 ところで。民主党圧勝から約一月。風俗ライターをやっていたという議員が話題になり、彼女自身が「生活のためには、何でもやりました。お騒がせしました。申し訳ありません。」と謝罪したことが話題になった。職業差別って未だにあるのね。いけませんか、風俗ライター。謝ることなんか、ないのに。女だろうーー、議員だろーー、セックスのことだって、書いたりしゃべったりしなきゃー、政治だってできんだろうー、って思うけどね。
Loading...

北原みのり

ラブピースクラブ代表
1996年、日本で初めて、女性だけで経営するセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」を始める。
著書に「はちみつバイブレーション」(河出書房新社1998年)・「男はときどきいればいい」(祥伝社1999年)・「フェミの嫌われ方」(新水社)・「メロスのようには走らない」(KKベストセラーズ)・「アンアンのセックスできれいになれた?」(朝日新聞出版)・「毒婦」(朝日新聞出版)など。佐藤優氏との対談「性と国家」(河出書房新社)・最新刊は香山リカ氏との対談「フェミニストとオタクはなぜ相性が悪いのか」(イーストプレス社)など。

RANKING人気記事

Follow me!

  • Twitter
  • Facebook
  • instagram

TOP