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「ヘイトクライム」

茶屋ひろし2011.03.03

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最近、ビデオ屋に入ってきたシリーズで、ソフトポルノか、グラビアか、といったDVDがあります。素人モデルで二十代男子たちの写真集のようなものです。みな一様に色が白くて痩せ型で体毛が薄い感じです。裸を見せていますが、絡みやオナニーシーンはなく、せいぜい勃起したチンコをビキニ越しに見せる程度のエロです。顔が可愛いモデルは一握りで、可愛い風な男子も多く、二十タイトル入荷して、すぐ売れたのは五タイトルほどでした。ゲイ男性に向けた商品だと思われます。
今日は新たに四タイトルの入荷がありました。その中で、ひとつだけ毛色の違うものが混じっていました。それは「瓜田純士ドキュメント ありがとう」というタイトルで、その名前を見た瞬間、ヘイトクライムの人だ、と思い出しました。
うろ覚えで正しくないことを書いてしまうかもしれませんが、説明してみます。
この人は俳優だそうです。今回DVDのジャケットでようやく本人の姿を見たような私で、そもそもその「ヘイトクライム」のことをネットで知らなかったら、いまだに知らなかった俳優かもしれません。
去年のことだったと思いますが、友人のブログで、瓜田氏が起こした「事件」を知りました。
牛丼やで彼が食事をしていた時に、前の席でゲイカップルが食事をしていて、彼は急にそれが気に入らなくなって、食べていた丼をゲイカップルに投げつけた、という話でした。それがなぜネットで話題になったかというと、当の瓜田氏本人がブログにその話を書いたからでした。
私も一度目を通しましたが(これがうろ覚えです、すみません)、「ホモのカップルが気持ち悪い、うるさい、気に食わないので丼を投げつけてやった、ついでに水もかけてビンタしてやった、これって暴行罪?(笑)」みたいな、もうどうしようもなくひどい内容で、犯罪だよ馬鹿、と思いながら、その下のコメントしている人がいつものファンのようで、「かっこいいっす!」みたいなのがしばらく続いて、まもなく非難の声が出てきて炎上、そしてブログの閉鎖、という流れになったようでした。
ただその被害を受けたゲイカップルの人たちがネットに登場することはなかったので、彼のブログでしか状況がわからなくて、ゲイの彼らがどんな感じで食事をしていたのか、店員や他の客はどういう反応をしたのか、投げつけた丼にはまだご飯が入っていたのか、などの詳細はよくわからなかったのですが、フィクションにせよノンフィクションにせよ、明らかにそれはホモフォビックな言動の描写で、それがまた自慢話のようになっているところに、彼の見識を疑いました。けれど、結果、表立っては「事件」にならなかったようなので、有名人とはいえ、個人のブログに反応した、というところで止まってしまう限度もあるように思いました。インターネットの中で、ネット上の反応によって「事件」になった、というようなものだったと思います。
それは、よく職場のポチと居酒屋に行っては、ポチにじゃれている私には怖い話でもありました。「ポチとじゃれていると、丼が飛んでくるかもしれないんだわ」と危機感を覚えて、ポチに、「あんた、どうする? 二人で飲んで喋っていたら、このオカマキモイ、とか言われて丼投げつけられたら!」と聞くと、「すみません、って謝ります」と答えるので、笑いました。私には出来ない芸当です。
それよりも、こんな(とDVDの彼を確認)、全身に刺青の入ったチンピラ風の男に怒鳴られた時点で、私は体がすくんでしまって、逃げることも何か言うことも出来なくなってしまうわ、と思いました。悔しいけれど、相手の思う壺となることでしょう。
ポチの謝罪は、もちろんほんとうにすまないと思っているわけではなく、その場をやり過ごすための術だとは思います。
何度か、男の怒鳴り声が嫌いと書いてきましたが、最近わかってきたのは、怒鳴り声に萎縮してしまう自分の状態で、電話口で怒鳴られることすらもう駄目で、何か言おうとしても舌が回らなくなってしまって、通話を途中で切ってしまい、そのあとしばらく震えが止まらない状態が続くので、これはなんだか、あのPTSDのようなものなんじゃないかしら、と認識するようになってきました(電話口で怒鳴られることはそうそうありませんが)。
職場のオーラちゃんの見立てで、「お兄さんの存在じゃない?」と言われて、そうかも、と簡単に過去を振り返ってみましたところ、ああ、たしかに中学生の頃の兄は神経質の内弁慶で、一緒の部屋にいた姉と私は、些細なことで暴れる兄に怯えていた経験がある、と思い出しました。加えて、私が中学校でいじめによる暴力を受けていた過去もあるし、ふんふん、原因は盛りだくさんだわ、きっとそれ。私が小学生から中学生にかけて体験した暴力が、三十五歳の体を萎縮させているんだわ、とにわかにまとめてしまいました。
そうと知ったところで症状が治まるわけではないと思いますし、治したい、という気概もあまりありませんが、もしも丼投げつけられたら、逃げるとか、なんとかくらいは出来た方が安全かもしれない、と思います。
ともあれ、そんな私の安全を脅かすような象徴になってしまった「瓜田純士」です。くだんのDVDは、彼の人生が彼自身の手によって映像化されそれをファンに捧げる、という商品のようです。
この人のファンが若い男なのか、女なのか、よくわかりませんが、彼の思惑とは別に、ゲイのポルノショップに納品されてしまったことが、なんだか皮肉なことに思えて可笑しくなりました。彼のヴィジュアルが好きというゲイもいなくはないと思いますが、はたして売れるかしら、と値札をつけて陳列しました。
それにしても、彼の暴力が、はからずしも、ゲイのエロに回収されてしまったようにも思えて、私の中で、あの事件にオチがついてしまった感が否めませんでした。男の性欲も果てしない・・。
よく、メンチきりあって顔を近づけすぎている男二人の場面を見ると、「チューすればいいのに」と思ってしまう私ですが、これはその変換に似た出来事でした。
そんなことを思いながら、いつものゲイポルノのDVDを手にとって磨き始めた私は、何気なくジャケットの文字を目で追っています。
「おまえのケツマ( )コにぶちこんでやるぜ!」の伏せ字の部分を、そのときつい、「マツコ」と読んでしまいました。デラックス・・、なぜ? エロからまた別次元へ。変換って侮れない、と思いました。

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茶屋ひろし

茶屋ひろし(ちゃや・ひろし)

書店員
75年、大阪生まれ。 京都の私大生をしていたころに、あたし小説書くんだわ、と思い立ち書き続けるがその生活は鳴かず飛ばず。 環境を変えなきゃ、と水商売の世界に飛び込んだら思いのほか楽しくて酒びたりの生活を送ってしまう。このままじゃスナックのママになってしまう、と上京を決意。 とりあえず何か書きたい、と思っているところで、こちらに書かせていただく機会をいただきました。 新宿二丁目で働いていて思うことを、「性」に関わりながら徒然に書いていた本コラムは、2012年から大阪の書店にうつりますますパワーアップして継続中!

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