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女は女ゆえにリーダーになれない

田房永子2014.11.11

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子どもの頃、「おもいっきり探偵団 覇悪怒組」(はあどぐみ)という番組があった。小学生5人組の探偵団が、「魔天郎(まてんろう)」という怖いピエロみたいな金ぴかの仮面をかぶって気球に乗って現われる、単独の怪盗男の正体を探る、という話だった。
 5人がおそろいの帽子とベストと指出し手袋をつけて、トランシーバーや探知機、パラボナアンテナみたいなのを持って捜索する姿がムチャクチャにかっこよくて、当時小3だった私のハートをわしづかみにした。「覇悪怒組」は大人気で、関連グッズがたくさん発売されていて、私は手帳を持っていた。有刺鉄線のすり抜け方などサバイバルな豆知識がたくさん書いてあり、いつか実生活で活かそうと毎日熟読した。

 

 覇悪怒組のメンバーは、リーダーの長身イケメン、博士的な眼鏡の男子、太っちょの食いしん坊男子、すばしっこいチビ男子(サル的なキャラ)、そして女子、の5人。この唯一の女子はクラスのマドンナで男子の憧れの存在、みたいな、でも武道をやっていて強い、というお決まりの設定だった。女子の着替えを覗く、みたいな展開もあったと記憶する。

 

 自分の子どもの頃のテレビ番組は、ほぼ全部そういう設定だったなー! と思う。「ドラえもん」や「パーマン」を始めとする藤子不二雄系も男子はキャラがいっぱいいるのに、女子はしずかちゃんとかパー子とか夢子ちゃんとか、一人しか出てこない。彼女たちは必ず可愛くて魅力的で、怒ると怖かったり、そしてお色気を担当している(スカートを履いている、というだけで「お色気担当」だと思う)。

 

 戦隊ヒーローものも、赤、青、緑、などが男で、ピンクが女だった。でも、あるシリーズでは、ピンクの他にイエローも女だった。このイエローは地球を救う戦隊に任命されたのに「カメラマンになる」という夢のために拒否していて、いやいや戦隊になり、その後も我が道を行くって感じで単独行動とかしていて、最後は戦隊として目覚め、戦ってる時に死んでしまった。そして次の回から別の女がイエローとして戦っていたんだけど、その初代イエローの動向が当時の私に強烈にズキュンズキュンきて、「あのイエローがすごかった」と何度も反芻してた記憶がある。(ネットで調べてみたら「超電子バイオマン」という番組で、私は5歳だった)

 

 子どもの私が目にするテレビや漫画は、リーダーは必ず男で、そのほかの男はいろんなキャラがいるのに、女の子は1種類だった。
 「魔法の妖精ペルシャ」や「魔法の天使クリィミーマミ」とかの魔法少女系は、単独の女子が一人きりで異世界のマスコットを従えて「魔法」を使ってピンチを乗り越えるという内容で、出てくる男は普段の彼女たちのことしか知らず、常に「お前はバッカだなあ(笑)」的な感じで上から目線だった。
 他にも女児向け番組はあったけど、女で男を引き連れるリーダーというのはドロンジョ様だけだったと思う。そのドロンジョ様もヒーローではなく悪役だし、いつも巨乳があふれんばかりのSMの女王様みたいなコスチュームを身につけ、お色気担当も兼任していた。
 (「美少女戦士セーラームーン」は私が中学生の頃に始まったが、一切見てなかった)

 

 それらをいろいろ思い出して、「女は、リーダーになれない。なぜなら、女だから。」という悪意が無い故にスルーッと脳に入り込むメッセージを、ティーンになる前からギッチギチに刷り込まれていたんだなあ、と思った。リーダーにはなれないけど、男子4人分のキャラにたった一人で対応できるよう、可愛くておしとやかだけど怒ると怖い、みたいないろいろな特徴(男子が喜ぶ特徴)を身につけていないといけない。

 

 先日、おまつりで戦隊ヒーローショーをやるというので、娘を連れて見に行った。なぜか全員は出てこなくて、レッドとブルーとピンクの3人だけだった。レッドとブルーの男たちは素手で戦って、悪役を倒していた。しかしピンクの女だけ巨大な剣みたいな武器を持っていて、細すぎる体(本当に、どうしてこんな細い人が戦隊アクターをしているのだろう?というくらい華奢だった)で悪を倒していた。
 どういうことなんだろう。こんな細い体のピンク女子が素手で悪役を倒すのは不自然、みたいなことで剣を持っているのだろうか。だったら、ピンク女子は長与千種とか豊田真奈美とかジャガー横田みたいなちゃんと「戦える体」の女子が担当するべきではないのだろうか。

 

 腑に落ちない気持ちで帰宅後、なつかしの子ども向け番組を検索していたところ、「おもいっきり探偵団 覇悪怒組」のあと、「じゃあまん探偵団 魔隣組」(まりんぐみ)という第2弾が放映されていたことを思い出した。
 「魔燐組」も内容はほとんど同じで、大怪盗ジゴマという、恐怖のピエロみたいなコスチュームの謎の怪盗男が妙なプロペラの乗り物に乗って現われる。「ジゴマ」は前作の「魔天郎」に比べて、私の中で印象が薄かった。魔天郎は激ヤバな外見とは裏腹に、素敵な言動をするので、最後のほうは「魔天郎っていい奴だなー」と思っていた記憶がある。しかしジゴマに関しての記憶はほとんどない。
 35歳の今、改めて「大怪盗ジゴマ」の姿を見てみると、ジゴマはなぜか下半身だけ白のタイツを履いていて、股間のモッコリがめっちゃクッキリしていた。なんだこれ。日曜の朝から「女はどれだけ頑張ってもリーダーにはなれない。なぜなら女だから」というメッセージと共に、こんな股間クッキリ男性器を見せつけられていたなんてなあ?!
 

 私は見たい。女子プロレスラーな体つきの女子がリーダーの、戦隊モノを。女子が4人、男子が1人の探偵団モノを。怪盗役の女はもちろん、乳首を立たせているコスチュームでお願いしますね。

 

〈オマケ『今週のテレビ違和感メモ』〉

【朝の情報番組にて】
 スタジオで料理、司会者の女子アナが鍋をのぞいたら「普段料理してない人の覗き方だよそれ」と司会者(羽鳥慎一)が笑った。確かにぎこちない覗き方だったけど、朝の帯番組やってる女子アナ忙しいんだから料理なんてしてなくて当たり前だろう。しかしスタジオ内は笑いに包まれていた。女子アナも笑っていた。笑うしかないと思った。

 

【これも朝の情報番組にて】
 テイラー・スウィフト(24歳の女性シンガー)が来日ツアーをするというニュース。司会者(小倉智昭)が「何がなんでも行きます」と言っていて、仰天した。小倉の“オーディオマニア”、“ディーバ好き”はなんとなく知ってたけど、見境なさすぎないか。いや、何を好んで聴くのも個人の自由だ・・・・・・。いやだけど彼がテイラー・スウィフトを聴くって、違和感すごすぎて空が割れるレベル。地球の秩序が乱れるレベル。もしその空の割れ目に向かって「テイラー・スウィフトの歌に出てくる『敵』を具現化してこの世に降り立たせてください」とお願いしたら、割れ目から煙と共に出てくるのは小倉さん本人なんじゃないかと思うから。

 

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田房永子(たぶさ・えいこ)

漫画家・ライター
1978年 東京都生まれ。漫画家。武蔵野美術大学短期大学部美術科卒。2000年漫画家デビュー。翌年第3回アックスマンガ新人賞佳作受賞。2005年からエロスポットに潜入するレポート漫画家として男性向けエロ本に多数連載を持つ。男性の望むエロへの違和感が爆発し、2010年より女性向け媒体で漫画や文章を描き始める。2012年に発行した、実母との戦いを描いた「母がしんどい」(KADOKAWA 中経出版)が反響を呼ぶ。著書に、誰も教えてくれなかった妊娠・出産・育児・産後の夫婦についてを描いた「ママだって、人間」(河出書房新社)がある。他にも、しんどい母を持つ人にインタビューする「うちの母ってヘンですか?」、呪いを抜いて自分を好きになる「呪詛抜きダイエット」、90年代の東京の女子校生活を描いた「青春☆ナインティーズ」等のコミックエッセイを連載中。

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