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「結婚するって本当ですか」

茶屋ひろし2016.02.02

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ダ・カーポ、って演奏記号だったんですね、今日知りました。イタリア語で「頭から~はじめから」だそうです。私にとっては、タイトルの歌を歌っていた男女二人組のことです。

一年くらい前に、ふらりと立ち寄った女友達が、ウチの炬燵に入ったまま、「そろそろ結婚しよっか」と言いました。
あれ、「一緒に暮らそっか」だったかしら・・、その軽めの言い方しか覚えていません。
私はワインを飲んでいて、彼女はお酒が飲めない人で、私は動揺しました。
実感としては、それは無理よ、で、なぜなら、あなたとせっくすできないから、が理由でした。
しどろもどろでそんなことを言ってみたら、「やっちゃえばいいじゃん」と軽く押されます。
ええーっ、と胸の中で驚きます。・・口に出したかもしれません。
できないことはないかもしれないけど、挑戦するものでもない気がするのよ・・、と腰が引けます。

全体的に動揺しているのは、彼女のことを嫌いじゃないからで、もし私がゲイじゃなければ、オッケイしてるかもしれない、というパラレルワールドが見えるせいです。
セックスをしないまま結婚するとすれば、それは中村うさぎモデルということになります。作家のうさぎさんはお互い了承済みでゲイの男性と結婚しています。
そういうことなら可能性はあるかもしれないけど・・、と言うと、なんだか首をかしげています。

ほら、そうでしょう。だって、私はいままでのあなたを見てきて、男がいないときを知らないし、その関係がセックス抜きで成り立っていたことなんて一度もないことを知っている。あなたが誰かと付き合うときに、そのことは重要な意味を持っているんじゃないかしら・・、たぶんうさぎモデルでも厳しいはずよ。セックスレスは望んでないだろうし。

酔いが回ったことにして、そこまでは言えませんでしたが、そういうことなのよ、という答えはゆるぎませんでした。

実際は、男性と付き合うことになったとしても、すぐにセックスがいやになる私でも、最初くらいは必要だと思ってしまいます。不思議と最初のほうはいやじゃありません。
それに、昔ゲイバーのママが言ってた、子どもがほしいから、とか、カムフラージュで結婚するゲイはひどい、奥さんがかわいそう、という意見にもうなずきます。子どもをつくるためにしかセックスしないって・・、非人間的にも思えます。
*もちの、ろん、異性愛同性愛にかかわらず、もともとセックスを望まないひとや、生殖したいひとたちの話をしているわけではありません。

それでも、それなのに、彼女が帰ってからしばらくは、結婚・・! となんだかふわふわしてした日々を過ごしました。結婚する、なんてことが自分の人生にあるかもしれない、と思うことがなぜか気分を上げていきます。

いっしょに働いている年上の女性の話を日々聞いているからかもしれません。30代前半で結婚した彼女にはいま、小学六年生の娘さんがいます。
運動会などの学校行事にくわえて、夏休みは家族で旅行したり、秋にはママ友たちとバーベキューをしたり、クリスマスプレゼントを枕元に置いたり、スキーに行ったり、と、子どもがいることで、イベントに追われているその姿を、何度かうらやんできました。
娘が言うことを聞かない、とか、熱出した、とか、ダンナがどう、とか、それらのイベントに勝るくらいの愚痴もたくさん聞きますが、それらもひっくるめて、結婚しているって、子どもがいるって、それだけでドラマがたくさん生まれているように見えます。
基本さびしくないんだろうな、とか、季節感が絶えない、とか、自分以外のことですることや気にすることが多くなる、というそのドタバタ感に圧倒されます。小さな会社の経営者にも似ています。

休みの日に12時間くらい寝てしまう私には遠い話と思っていましたが、女友達の誘い言葉によって、そんなドラマが私にも訪れるのか、と想像してしまいました。なんて、受け身ですね・・。

書くのを忘れていましたが、結婚しよっか、と言われる直前までは、彼氏の愚痴を聞いていました。彼女の地元で何店舗か出しているあるチェーン店の二代目だそうです。お金は持っているが考え方が合わない、というお悩みでした。
なんで結婚したいの? と訊いたら、「だって結婚したら、なんで結婚しないの? って、もう言われなくなるから」と、まったくそのことが腹立たしい、といった口調で即答しました。

けっきょく夏にはその二代目と別れて、別の人と付き合い始めて、二人でうちに遊びに来たかと思えば、その彼と結婚することになりました、と年末に報告を受けました。
それはおめでとう。と返事をしたものの、ほっとするやら後ろ髪を引かれるような、複雑な気持ちになりました。

初夏の式には呼んでいただけるようです。歌いますか。

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茶屋ひろし(ちゃや・ひろし)

書店員
75年、大阪生まれ。 京都の私大生をしていたころに、あたし小説書くんだわ、と思い立ち書き続けるがその生活は鳴かず飛ばず。 環境を変えなきゃ、と水商売の世界に飛び込んだら思いのほか楽しくて酒びたりの生活を送ってしまう。このままじゃスナックのママになってしまう、と上京を決意。 とりあえず何か書きたい、と思っているところで、こちらに書かせていただく機会をいただきました。 新宿二丁目で働いていて思うことを、「性」に関わりながら徒然に書いていた本コラムは、2012年から大阪の書店にうつりますますパワーアップして継続中!

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