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女子校ってどうですか?の答え

田房永子2016.02.08

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 中高の6年間、女子校に通ってたっていうのを漫画で描いたりしているので、たまに知り合いの人とかから「子どもを中学受験させようと思ってるんだけど、女子校ってどうですか?」と聞かれることがあります。
 だいたいの人は、いいも悪いもない、みたいな感じで言うような気がします。女子校経験者では、「女子校っていいよ」っていうほうが多い気がするな。なので、いろいろな意見の中の一つとして聞いてもらえればいいのですが、私は女子校って完全に必要ないと思っています。特に中学の3年間。
 私は女子と遊ぶのも好きだったし、かっこいい男子が走ったりするのを見るのもときめいたし、2~3人の気の合う男子と喋るのも面白かった。だから中学に入った時、「これから6年間もクラスに男子がいない」っていう状況が、ものすごく異常だと強烈に思っていました。
 私の場合は、望んでないのに無理矢理母親に中学受験させられたっていうのがあるからその怨念が絡んでないとは言えないが、それを差っ引いても、思春期に同じ性の人だけを集めた学校があるというそのシステム自体に強烈な違和感を持ってました。中1の4月の時点から。
 高2で予備校に通いだしてそこで「教室に(他校の)男子がいる」っていう状況になった時、やっぱりこれのほうが自然だとすごく思ったのを覚えてます。自然という言葉が最適か分からないが、私にとっては、一つの性別の人しか学校に入れないっていうのがとにかく不自然だと思っていて、その気持ちは結局一回も変わってない。

 高1の時が、人生で一番、合コンに参加した時期でした。相手は、誰かが男子校の文化祭に行って声をかけた人がほとんどで、たまに誰かの小学校の同級生の男子っていうのもあった。当時は「コンパ」と呼んでた気がします。
 それで、3対3とか多くて5対5くらいの人数で駅で待ち合わせて、池袋東武デパートの屋上とか、東久留米駅のモスバーガーとかに行くんですね。合コンって言っても、自己紹介もろくにしない感じで、隣同士のテーブルに男女別々で座って、男女それぞれで普通にいつも通りの会話をして、「じゃあ…」と帰るだけ。それが合コン。カラオケに行く時もあったけど、ほとんど会話はなく、彼らの歌うTMネットワークとかBOOWYを聴いて「男子はこういうのを聴くのかあ」と知るのが面白かった。会話を交わすと言っても、お互いの代表の女子と男子が1対1で「部活は何をしてる」とか日常生活について聞くだけ。解散したあと、来ていた男子のことを友達とあれやこれや言うのが面白かった。実際はチラ見しかしてないんだけど。彼氏が欲しいとか、恋がしたいとか、キスがしてみたいとかじゃなくて、「男子と一緒の空間にいる」っていうことをとにかく欲してたんだと思う。私は。

 今考えると、それってだから、共学に行ってればええやんけ、と思います。
 誰かがハントしてきた男子では足りなくなってくる(たいてい合コンはリピートすることがないため)ので、自分たちで男子校の文化祭に繰り出すようになるんですけど、男子校の文化祭に行って男子に声をかける、って相ッ当な勇気がいるんですよ。
 どこからともなくハントしてくるクラスメートって、かなりのレベルの女子です。誰が見ても好感度高めの顔とスタイル、何より「男子が嫌がらない要素」を察知する能力がハンパなくて、しゃべり方も仕草も「多くの男子がウレシくなっちゃうもの」を提供できる、いわゆる生粋の人材なわけです。そういう人は自分という高級素材の最高の調理法も知っているので、私みたいな「男の子に興味あるけど縁がない、コミカルな感じのグループに属しているクラスメート」を付け合わせとして一緒に連れていくわけです。プロなんです。
 そういう女子がハントしてくる人はたいがいちょっと「俺、イケてます」みたいな自信満ち溢れ系。彼らのほうも普段慣れてない女子の前でちょっとおかしくなっていて、女子の前ではものすごく格好つけなきゃいけないと思っているのか、けだるそうにずっと首を前後にゆらしていたり、質問に対して「まあ・・・はあ・・・」とか一言で終わってしまったりする。そういう人と喋ろうとすると、ハント女子みたいに上目遣いにしたり声を高くしないとなんかちょっとまとまりがつかなくなるわけです。
 そういうのやりたくない、もっと普通に話せる素朴な男子と会ってみたい、じゃあ自分たちでも行ってみようとなってハントしに行くんだけど、一切声などかけられずに帰ってくる、そんな土日の繰り返しです。多くの中高生が部活の大会とかで汗を流したり、趣味に打ち込んだり、将来のための勉強にいそしんでいる時に。その目的は、かりそめの「共学体験」をしたい、っていうだけなんですよ。
 本当に心底、無駄だと思います。私が通っていた学校の同じ学年の人たちの中で、「男子と何かしらの交流がある」という人のほうが少数派(たぶん4分の1くらい)だった。だから、女子校に行こうか行くまいが、中高の過ごし方は変わらなかったっていう人のほうが多いと思う。

 だけど、私は・・・。あの、どっかの駅で待ち合わせして隣の席で黙ってハンバーガー食べて帰ってくるとか、男子校の文化祭の日程調べたり、電車乗り継いで行ったり、そういう時間は共学に行っていれば全く過ごすことのなかった時間である、としか思えないんです。共学に行っていても他校の男子と同じことをしていた、とは全く思えない。高校2年くらいになると、合コンの内容が突如過激化してくるんですね。王様ゲーム的な。そうなると引いちゃって参加しなくなったので、やっぱり自分は合コンに興味があったわけではなく、「共学に行きたかった」だけだと思う。
 出会った友達は本当に楽しくて大好きで今も仲良しだけど、彼女たちとは別のところで会っても絶対仲良くなってた自信があるから、「女子校だから出会えた人」として私の中でカウントされてない。
 もちろん、共学に行っててもそういう異性への欲求を満たすための時間はたくさんあったはずだと思うんだけど、それとはまた違うっていうか、自分の場合はそもそも共学に行ってれば根本的に解消できることだったのになーとすごく思います。あの時間やあの学校に行ったことを後悔してるとかではもちろんなくって、すっごく面白かったし良かったと思うけど、そこに「女子校」だったことは私にとっては全く関係がなかった。だってさ、共学の中学に通ってないんだから、女子校がどんな風にいいのかわかんないよ。だから、中学は共学を体験して、高校か大学は女子だけのところに行ってみようとか、自発的に選ぶのがいいんじゃないかなと思います。あと、女子校特有の教育とかも別に全くなかった学校だったというのもあって、女子校というものの必要性が全く分からないまま、大人になりました。

 結局・・・人それぞれだからなんの参考にもならないんだけど、「性別で分けてる学校の存在意義が分からない派なんですよね」と答えることにしています。

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田房永子(たぶさ・えいこ)

漫画家・ライター
1978年 東京都生まれ。漫画家。武蔵野美術大学短期大学部美術科卒。2000年漫画家デビュー。翌年第3回アックスマンガ新人賞佳作受賞。2005年からエロスポットに潜入するレポート漫画家として男性向けエロ本に多数連載を持つ。男性の望むエロへの違和感が爆発し、2010年より女性向け媒体で漫画や文章を描き始める。2012年に発行した、実母との戦いを描いた「母がしんどい」(KADOKAWA 中経出版)が反響を呼ぶ。著書に、誰も教えてくれなかった妊娠・出産・育児・産後の夫婦についてを描いた「ママだって、人間」(河出書房新社)がある。他にも、しんどい母を持つ人にインタビューする「うちの母ってヘンですか?」、呪いを抜いて自分を好きになる「呪詛抜きダイエット」、90年代の東京の女子校生活を描いた「青春☆ナインティーズ」等のコミックエッセイを連載中。

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