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 先日、中小企業の経営者たちが集まるセミナーに参加しました。そこで、会社の経営理念をつくるという研修を受けました。

 不動産屋の男性が「当社は、属性にかかわらず、すべての人が差別されないまちづくりを目指します」と謳ったところ、周囲から、「ネガティブな言葉が入っているため理念としては良くない」と立て続けに指摘が飛んできました。

 ネガティブな言葉とは「差別」でした。

 え? 「差別されない」ってちゃんと否定しているのに?
 全体としては、とてもポジティブな概念と思いますが。

 すると指摘した一人が、「差別されないまちづくりなんて当たり前でしょう」と言ったので、ますます混乱しました。
 当たり前じゃないし! と反射的に思いましたが、すぐにそれが間違っているかのような錯覚に陥ります。

 ちょっと待って、と手を挙げてしまいました。
 「私には素晴らしい理念だと思えるのですが、なぜ『差別』という言葉が入っているだけで、イメージが悪くなるのでしょうか」
 すると別の人が、「客や取引側からしたら、経営理念に、『差別』なんて言葉が入っていたら、ぎょっとする」と言いました。

 ますますわかりません。口が勝手にしゃべります。

 「するとなんですか、この社会に差別はないとお考えなのでしょうか。先ほどそちらの方が『差別されないまちづくりなんて当たり前だ』というようなことをおっしゃいましたけど、それはまだ実現されたことのない社会だと私は認識しています。ぎょっとするということは、みなさまは、この社会には差別がない、というお考えなのでしょうか。それで、ぎょっとしたのでしょうか」

 するとまた別の人が、「私は『差別』という言葉よりも『属性』という言葉にマイナスのイメージを持っています」と言って、話がそれるのでついていきます。
 彼女も不動産の斡旋をしていて(人気ね)、その業界用語として、「属性が低い」という言い方がある、ということを教えてくれました。
 それは、社会的地位が低い、ということだそうです。「あのマンションに住んでいるのは属性が低い人たちばかりだから・・」という使い方をするそうです。
 まあだからなんだ、という話ですが、その物件は価値が低いから高値で取引されない、ということでしょう。

 でもだからこそ、「属性にとらわれずに、差別のないまちづくり」を目指すんじゃないの?

 「私はゲイだということもあって、それなりに差別の問題を考えてきましたけど、文脈を読まないで、単語だけでイメージが悪いとか言い切っちゃうのってどうなんですか。それこそそれが、ここにいらっしゃる大多数の方の受け止め方なら一般的なのかもしれませんが・・あ、だから私はマイノリティなの?」

 すっかり発表者を置き去りにしてヒートアップしかかっていたら、進行者に発言を止められてしまいました。
 発表した人はその後、その二つの言葉を外して、全文を書き換えました。

 そうか、この経営者集団の中では、「差別」という言葉は嫌われるものなのか・・。
 まだこれからしばらく参加を続けるので、様子を見ていきたいと思っています。

 一方で、「とりあえずカミングアウト」の機会は次から次へとやってきます。仕事で出会う初対面のほとんどすべての人が、私をノンケだと思って接してくるからです。
 素面の時はまだ真面目にカミングアウトできますが、飲みの席だとどうしても下ネタに引っ張られてしまいます。
 先日は取引先のおっちゃんに面白がられてエロ話を肴にしたら、周囲の何人かに引かれてしまいました。
 品行方正ってどうやるの。聞いてきたのは向こうだよ。

 そのあとも、「いや、さっきは引いてしまいましたよ」と同年代の男性に言われました。
 どうも下品ですみませんと謝ると、「だって、ゲイだなんて言って。しかもお父様(社長)もご存じだとか」と、え、そこ? という引き方をしていたので、「それは引かれても困ります。それともあなたは、人様が、自分の思う世界でしか生きていない、とでもお思いか」と返しました。
 すると別のおっちゃんたちが赤ら顔でうなずいてくれたので、助かりました。場の空気が変わる、って偶然です。

 トランプが大統領になったとたん、堰を切ったようにヘイトクライムが起こり始めているというネットニュースに吐きそうです。
 ムスリムやヒスパニック、黒人の女性たちが次々に狙われ、ゲイの男性がボルトで殴られています。突然現れた加害者たちは、同じ町に住んでいた人が多いようです。
 これまでは排除や暴力を「控えていた」ということ?
 苦々しく思っていたけど? どんな人が、何に対して。

 人種、宗教、性別などのカテゴリーを属性と言うのだと思っていました。
 自分とは違う属性を否定して、暴力で排除しようとすることが差別だと。
 けれどそこに、「社会的地位」という、業界用語の「属性」を付け加える必要がありそうです。
 オバマが有色人種であることより、最高権力者だったから犯罪が抑止されていたなんて、そんな「属性」、ほんとにいらない。

 社会的地位を重視するということは、主従関係を軸にするということを意味していて、それはすでにストレスフルな関係だけど、関係上、主人にはぶつけられないから、違うグループの人々を敵対視して憂さを晴らす、ということなのかもしれません。
 軸にしないでほしい・・。

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茶屋ひろし

茶屋ひろし(ちゃや・ひろし)

書店員
75年、大阪生まれ。 京都の私大生をしていたころに、あたし小説書くんだわ、と思い立ち書き続けるがその生活は鳴かず飛ばず。 環境を変えなきゃ、と水商売の世界に飛び込んだら思いのほか楽しくて酒びたりの生活を送ってしまう。このままじゃスナックのママになってしまう、と上京を決意。 とりあえず何か書きたい、と思っているところで、こちらに書かせていただく機会をいただきました。 新宿二丁目で働いていて思うことを、「性」に関わりながら徒然に書いていた本コラムは、2012年から大阪の書店にうつりますますパワーアップして継続中!

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