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「トンロスに直面するわがトンペンたちへ」

おのゆり2015.12.14

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わたしたちの東方神起が、兵役のためにお仕事ができない、この2年間ほどの空白期間、「トンロス」状態。先日、チャンミンもついに入隊してしまったけれど、ふたりで東方神起♡だから、ユノが入隊した7月後半から、すでにその活動は実質止まっている。すでに「トンロス」に直面するわたしたちトンペン。みなさん、どんな思いで過ごしていますか?

わたし自身は、実は、この空白期間、それほど恐れていなかった。別に、そんなに大丈夫だと思ってた。というのも、ドイツに来て3年半ほど、その間、東方神起のツアー日程に合わせて日本に一時帰国して、何回かコンサートに参戦することは実現させてきたけど、それ以外は、いずれにしても、インターネットで彼らを追いかけることしかできなかったし。つい最近までは、ドイツ語の勉強に時間をさくべく、ほとんどトンを追っかけてないことも多かったし。いない間は、まだ観てない映像やDVDを楽しんでいれば、2年なんて過ぎるだろう、とか、かるーく捉えてた。
だけど、現実を見てなかっただけだった。今は、毎日毎日、ユノの無事を祈って、一刻一秒がつらいって言っても過言じゃない。わたしが見てなかったのは、東方神起がいない状況、 じゃなくて、ユノたちが直面している現実、今わたしたちが生きている世界の現実。一見、平和に思えるけど、軍隊や武器、国家間の武力衝突、戦争といったものと併存している現実。

おとなり韓国の兵役の実態を、わたしは今回、東方神起きっかけではじめて、ある程度、具体的に知った。軍に入隊する日に見た、わたしの、わたしたちの、キラキラした東方神起のユノは、頭を丸めて、質素なグレーのTシャツにジーパン、黒い靴に、黒い腕時計をしただけの姿で、001番という札を胸につけ、敬礼していた。そしてその後、インターネットに上がって来た、5週間の基礎訓練を終えた修了式での彼の軍人としての姿は、映画やドラマで見た、戦争に駆り出される若者の姿、を、そのまま映し出したようで、悲しくて悲しくて仕方なかった。彼の腕は、敬礼したり、軍歌を歌う時に力まかせに振るためにあるんじゃない。彼の体は、ステージで美しく踊り、思い切り駆け回って、みんなに夢や希望や勇気を与えるためにあるのに。

だけど、そんな風にセンチメンタルになっているわたしの頭がお花畑なだけだった。彼が入隊した2日後に、親友のアナちゃん(メキシコ出身)に会った。
アナ 「元気?」
わたし「なんか悲しいんだよね・・」
アナ「ホームシックでさみしいの?」
わたし「いや、わたしの大好きな韓国出身の歌手が兵役に行ってしまって、頭を丸めた姿が悲しすぎて・・」。
「メキシコにも兵役あるの?」と聞いたら、「お金でなんとかなる」とか「クジで黒を引いたら免除される」「ウチの弟は黒を引いたから免除された」とか返って来た。
お金で解決できちゃう?兵役がクジで決まる?そっちのがある意味つらいかも・・。そういえば、語学学校で出会った、音楽留学に来てるシンガポールの20歳くらいの男の子も、まだ兵役が何ヶ月か残ってるからいったん国に帰らないと、って言ってたな。考えてみたら、ほぼどの国にも軍隊はあって、それで牽制し合って、国家同士が成り立ってるんだった。日本の自衛隊だって、はたから見たら、自国を守るために存在する日本の「軍隊」。軍隊や武器、武力や暴力、そして戦争ってものと、わたしたちの生きるこの社会はこんなに近いんだった。わたしがその現実を見てなかっただけ。日本人がよく「平和ボケ」と揶揄されるのは、こういうわたしみたいなことなんだ。

わたしのトンロスは、今わたしたちの生きるこの世界が、軍隊・武力・暴力と切り離せないという現実を、現実的に噛み締めるものになった。あんなに心やさしいユノは、軍隊と言う現実をどう受け止め、いち韓国男児として、国を武力で守ると言う建前をどう感じて、日々、勤めているのだろう。彼が、実際、どこまでのことを強いられるのかはわからないけど、常に命令に従い、時には人を傷付けることをも行わなければならないのが「軍隊」というところ。少なくとも、そのための訓練を受けるわけで。そう考えると、彼の心が壊れないかとすごく心配にもなる。けれど、きっと、彼は、彼なりの答えを出して、兵役にのぞみ、今、彼のすべきこと、できることを、全力でがんばってるに違いない。だから、わたしは、彼のきれいな手が手榴弾を握る、武器を扱う、そんな悲しくてつらい現実をきちんと受け止めたいと思う。

彼ら東方神起が、舞台の上で、歌って踊って、精一杯パフォーマンスする姿は、本当にキラキラして、夢の世界みたい。だけどそれは、その裏にあるさまざまな、時にはとても重い現実を受け止めてこその、キラキラした夢、なんじゃないかな。彼らにとってもつらい兵役の時間と経験を、そこで感じ考えたことを、戻って来た彼らはまた、歌やダンス、ファンへのメッセージとして、全身でわたしたちに伝えてくれるはず。わたしたちも彼らの現実を受け止めて考えよう、そしてそれぞれのできることを、それぞれの位置でしよう。そうやって彼らとともに(WITH!!!)生きて行こう。つながっていこう。

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おのゆり(おの・ゆり)

大学院生。
1974年生まれ。東京出身。女性学修士。2012年に渡独し、現在、大学のジェンダースタディーズ博士課程で、フェミニズムや女性運動について研究中。もうそんなに若くもないのに、ひとりドイツで、貧乏学生生活送ってます。トンペン歴8年。 

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