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東京オリンピック。息子たちの軍国主義とミソジニー

北原みのり2019.09.04

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オリンピック委員会が旭日旗を禁止しないというニュースを読み、言葉を失う思い。
すぐに2013年「奥様は愛国」に記した竹田恒泰氏(父の竹田恆和は元日本オリンピック委員会会長。贈収賄容疑で辞任)の講演会を思い出した。
オリンピック誘致が決定した後、竹田氏は自身の講演でこう話していた。

「戦争に負けたことからの精神的復興の最後のチャンスが訪れているんです」

「汚染水は完全にアンダーコントロール」と総理大臣が嘘をついてまで誘致した東京オリンピックを支えているものは何なのか。改めて私たちは知る必要があるのかもしれない。長いのですが読んでいただけたら嬉しいです。

以下「奥様は愛国」(河出書房新社2013年より)

 久しぶりにテレビに出ている田嶋陽子さんを見た。関西地区限定の「たかじんのそこまで言って委員会」という番組だ。

 私が見たのは「慰安婦」がテーマの回で、女性を強制連行した公的証拠がないことが声高に叫ばれ、それだけが「慰安婦」問題のすべてであるかのように語られるなか、田嶋さんは、たった一人で反論していた。通る声で物事を言い切る田嶋節は健在だったが、何を言っても笑われたり、大声で否定されるだけ。見ていて非常に重たい気持ちになったのは、男たちが笑いながら田嶋さんを叩く姿に、本気の蔑視が滲んでいたからだと思う。

 特に竹田恒泰氏はひどかった。田嶋さんの言葉尻を捉えては、イエスかノーかで答えさせ、罠に落としていく、というような強引さで田嶋さんを貶めていた。いやーな感じの男がよくやる、あれ、だ。物を言う女への軽蔑と憎しみをあからさまにしても咎められない男特有の、あれ。

 竹田恒泰氏といえば明治天皇の玄孫、というくらいの知識はあったので、私はテレビを見て心から驚いたのだった。世が世ならばの”高貴なお方”は、もう少し他人様にソフトに接するものである、という思いがあったのかもしれない。「慰安婦がウソをついている可能性だって、ありますよね!!!」と田嶋さんにむかって大声を出す様子は、ただのネトウヨだった。

 今、竹田恒泰氏の人気が急上昇しているという。彼は定期的に「竹田研究会」という講演会を全国で定期的に行っていて、どの会も数百の席があっという間にうまってしまうというのだ。多い時は月に10回、少ない時でも2回は全国で開催されている。参加者には女性も少なくないと聞き、2013年12月に開催された、兵庫県の生田神社の講演会に申し込んだ。

 生田神社は、買い物客や観光客で賑わう三宮の中心街にある。日曜の境内は参拝のために数十メートルの列ができるほど賑わっていた。鳥居の前でうやうやしく頭を下げ、荘厳な気分って感じで鳥居をくぐる若いカップルを追い越すように中に入った。
   会場に着いたのは講演開始15分前だった。15分前だというのに既に満席で、会場全体が不思議な緊張感に満ちていたことに驚いた。全体的には男性の方が多い印象を受けるが、三宮でショッピングをしていそうなおしゃれで若い人たちも、決して少数派ではなかった。そして講演はキッカリ、一秒の狂いもないレベルでキッカリ15時に始まった。さらに司会者が開会を宣言し、「ご起立下さい」と言えば、全員がザッと一斉に立ち上がり、壇上に掲げられた日の丸に深々と敬礼し、国歌斉唱!のかけ声には最初の節から皆が大音量で歌いだした。隣の中学生の女の子が、とてもきれいな声で明快に「ちーよーにーやーちーよーにー」と歌っている。そして全員がまたザッと着席した後、
「かしこくも明治天皇玄孫にあたられる竹田恒泰先生」
と主催者から紹介を受けた竹田氏が、聴衆の間をゆっくりと登場した。
うやうやしく日の丸に一礼して壇上にあがる竹田氏に、会場からいっぱいの拍手が鳴り響く。ああ、と思った。絶対に進行を遅れさせないという緊迫、人々の儀礼、格式張った雰囲気は全て「明治天皇の玄孫」の名の下に繰り広げられていたのかもしれない。これから始まるのは”ちょっとだけ有名なテレビコメンテイター”の講演会などではないのだ。”かしこくも明治天皇の玄孫にあたられる”男の、尊き講演なのである。

「世間のさらし者になっています、竹田です」

 開口一番、竹田氏はそう言って会場を沸かせた。ちょうど華原朋美との熱愛報道が話題になっていた頃だ。その一言で、会場の空気が一気に柔らかくなった。雰囲気をつかむように竹田氏はさらに、「ナマ竹田は、初めての人、どのくらいいますか〜? はーい、まぁ、こんなもんですよぉ〜」 と、気さくで明るい雰囲気と裏返る声で笑わせた。

 この日のテーマは、「日本人はいつから日本が好きになったのか」という、竹田氏の新刊に沿ったものだった。
「日本人は、長い間、日本のことが嫌いだったんですよねぇ。なぜ嫌いだったんでしょう?」
そんな風にさりげなく本題に入る竹田氏の話は情熱的で、スピード感に溢れ、具体的なエピソードが満載で、言葉に一度も詰まることなく・・・なんと約2時間半、全く休憩なく竹田氏は一人でしゃべり続けたのだった。しかもさらに凄いのは、2時間30分の間、400人近くの聴衆が誰一人席を立たず、少なくとも私の半径5メートルにいた人々は、誰一人寝ていなかったことである。驚くほど、誰もが竹田氏の話に夢中になり、深く頷き、笑い、集中し、時に手を叩いて喜び、楽しんでいた。 話の内容を要約すると、こんな感じだ。

 日本人が日本を嫌いになったのは、日本が先の戦争に負けてしまい、戦後にやってきたGHQが日本人を精神的に骨抜きにしてしまったからである。アメリカ軍は、特攻隊など、天皇の名の下に命を全く惜しまない日本兵が怖かった。だからこそ、徹底的に日本人の精神を骨抜きにする必要があった。まずは日本人から神話を奪い、民族としての誇りを奪った。また、日本から日教組という置き土産をし、日本人が日本人の誇りを取り戻さないように、教師たちを洗脳したのである。愛国を言い出さないように、日の丸や君が代を危険視し、日本が嫌いになる教育をし続けたのだ。

・・・・それは淀みない物語だった。しかも抽象的な語りではなく、面白おかしく時にジェスチャーを交えながら具体的に語るのでスーっと心にはいってくるのだ。例えばこんな感じに。

「アメリカは日本に睡眠薬を過剰なくらい打ちまくったんです。日本は眠りこけちゃったんです。68年経っても起きないんですよ。やべぇ、ききすぎた・・・って、アメリカが起こそうとするんですけど、起きない。でも、最近、目が醒めたんです。そのきっかけが東日本大震災ですよ。・・・揺れましたから」

 おおっと、と目が醒めたような仕草をおどけるようにした竹田氏に、会場からどっと笑いが起きる。東日本大震災で笑いを取ることに、そして笑うことに、誰も何の躊躇もない。

「地震で日本はちょっと目が醒めたんです。目が醒めたら民主党政権だった。余計目が醒めた。やばいって! しかも隣にキンペイ、アキヒロがみえた」

習金平国家主席と李明博元大統領のことだ。

「なんで韓国人の名前を現地語で呼ばなくてはならないんですか。私は朴槿惠も、ボクキンケイとよびます。李明博はリメイハクですが、親しみ込めて、アキヒロと読んでます」 

会場は”アキヒロ””ボクキンケイ”にワハハワハハと大受けで、竹田氏自身もヒートアップしていった。特にマッカーサーと昭和天皇が会見した日のことなどは、まるでその場にいたかのように、情熱的だった。

「昭和天皇は開口一番に『私一人を処刑して欲しい』と言ったんです。マッカーサーは、その時『神のような帝王を見た』と言った。いいですか? キリスト教徒であるマッカーサーが天皇をが神に例えたんですよ! マッカーサー自身がこの人のためになら死ねるかも、と思ったんです!」

・・・死ねるかも・・・。さすがに吹き出しそうになってこらえた。周りを見渡せば、皆、真剣そのものだった。誰よりも、竹田氏の顔が真顔だった。え? え? という気分で咄嗟に手元のスマホで「死ねるかも」「マッカーサー」だなんて検索してしまったほど、動揺した。帰宅後に英語でも資料をあたったが、天皇を「神のような帝王」と言ったという証言など見当たらない。竹田氏の作り話ではないか。彼は続けてオリンピックについて語りはじめる。

「日本の目が醒めて、がんばらなくちゃ、という感じに日本がなっている。安倍さんが総理大臣になった、伊勢神宮の式年遷宮、出雲大社の大遷宮が重なって、いい感じになってきている、しかもオリンピックも決まったんです!」
「世界人類最大のイベントをなしとげる。この時、日本人の心意気が世界中に発信される。そのようにオリンピックを成功させたとき、向こう数世紀にわたる繁栄の礎が定まったことになるんじゃないですか?」
「日本の未来はこの7年にかかっていると言ってもよい。最大のチャンスです。戦争に負けたことからの精神的復興の最後のチャンスが訪れているんです。安倍さんにはぜひ憲法9条改正してほしいし。みなさん一人一人にもできることはある!」

だからこそ、アメリカからおしつけられた憲法や、アメリカにおしつけられた教育を捨て、日本民族として立ち上がろう! と竹田氏は心から叫ぶように語りかけるのだ。そして”日本人が誇りを失う”きっかけとなった敗戦を、本当に悔しそうにこう語る。

「あの戦争は短期決戦なら勝てたんです。人類史上最も戦争がうまい戦争の神様である石原莞爾が指揮をしていれば勝てた。勝てる戦争に負けたことが、本当に本当ーーーーーーーに悔しい。ほーーーーーんとーーーーーーに悔しい」
「広島の平和記念公園に『過ちは繰り返しません』ってあります。あれ、どういう過ち? 日本人がばかな戦争をはじめた、という過ちとでも言いたいんでしょうね。私なら『戦争になったら絶対に負けません』といいます。戦争に負けたことが過ちなんです。はじめたことが過ちではないんです!!!!!」
「いいですか? 左翼なんてありもしないものをでっちあげて、叩くんです。勝てない戦争をはじめた、と日本を批判することがそもそもウソです。それが左翼の常套手段。ありもしないものをぶたててたたく。南京大虐殺、従軍慰安婦もそう。ありもしないものをぶったてて、(日本を)叩くんです!」

 凄い話を聞いているように思えてきた。竹田氏によれば、私は洗脳され続けてきたことになる。戦後教育に、GHQに、日教組に。憲法9条もアメリカに押しつけられヘラヘラと受け取って、心が骨抜きになって、戦争もできず、誰のためにも死ぬこともできず、民族の誇りも感じられず、愛国をタブーにし、日の丸に敬意も示せず、君が代も歌いたがらず、自分の国を嫌いに思うそんな女になってしまったのは、全て全て戦争に負けたせいだっ! ということになる。そんな「日本人」に竹田氏と、「既に目覚めた日本人」たちは日の丸を掲げ、こう微笑んでいるのだ。これからは天皇のために死ねるような民族の尊さ、気高さをみにつけ、オリンピックを成功させ、世界最古の国である日本の繁栄のためにいざっ立ち上がりましょう! と。もし、10時間くらい竹田氏の話を聞き続けたら、どうなるか。死ねるかも、と思えるかも、な気がしてくるかも、である。

 さてほぼ3時間の間、一番盛り上がった時間があった。手をたたいて大喜びする人が大勢いた。竹田氏が田嶋陽子さんについて触れた時だ。

「いいですか、勉強すればいいってもんじゃないです。左翼のように間違って勉強してしまう人がいる。方向性を間違えて勉強しちゃ、ダメ。もしそうしちゃうと、どうなるか? 典型的なのが田嶋陽子さんですよ〜!」

 どっと受けた。私の隣にいた30代くらいの女性が、ぎゃははっ! と大声で笑っている。隣のお母さんもお腹を抱えるようにして笑っている。

「ふくしまみずほ、つじもとだってそう! 声もでかいし、何批判されようが、関係ないものね。スリッパでばんばんたたいても走り回るごきぶりと一緒。勉強する内容まちがえると・・・こわいですよ・・ああなっちゃうんだから〜!」

 スリッパでばんばん叩くそぶりを見せながら、大げさに盛り上げる竹田さんに、聴衆の笑い声は最高潮に達した。

 竹田氏の女性観は、どういうものなのだろう。例えば魏志倭人伝に出てくる卑弥呼に触れて、竹田氏はこう展開する。そもそも中国による魏志倭人伝という”いいかげんな書物”を日本の教科書が紹介しているのがおかしい。卑弥呼が日本の建国者であるかのように教えられるのがおかしい。なぜおかしいのかと言えば、卑弥呼が女だからだ、と。

「女性ですよ? 日本の国を建てたのが女性ですよ? 何か中国の意図を感じます。周りのヤツはバカばっか、そう考えるのが中華思想ですから。冗談じゃないですよ!!」

 推古天皇が教科書でも大きく取り上げられていることにも不服そうだった。

「推古天皇。また女性ですよ〜? なーんか、おかしいです」

 日本の教科書で、最も古い登場人物が女の卑弥呼であったり、最も古い天皇が女の推古天皇であることが、左翼が日本を貶めるためにつくった意図である、ということらしい。

「なぜ、(教科書が)建国について教えないのでしょう。それは、もし教えてしまうと、日本人が日本を誇りに思っちゃうからですよ〜!」   

 ・・・日本建国の祖と、竹田さんが信じている髭もじゃで刀を振り回し様々な動物を従えている(←イメージ)男の神武天皇みたいな人が建国の士だったら、私たちはこの国を誇りに思えるのだろうか。女がこの国をつくった・・・ということは、竹田さんには屈辱なのだろうか。隣の女子中学生が背筋を伸ばして竹田氏の話に耳を傾けているのが伝わってくる。あなたは「女の子」として、この話に苛立たない? 私はもう、聞いていられないけれど?

 2012年、安倍晋三さんが再び首相になった時に真っ先に手をつけたのは、野田政権が進めていた「女性宮家創設」を白紙に戻すことだった。2006年に最初に首相になられた時も、小泉政権下ですすめられていた「皇室典範に関する有識者会議」で検討されていた女性天皇論を白紙に戻した。文字どおり、総理になるやいなや真っ先に手を付けたのは、二度とも女性天皇論と、女性宮家創設をつぶすことである。「女性の活用を!」と一般人女に言う安倍さんではあるが、皇室に限っては「天皇になる男を生む女」以外、活用するつもりはないらしい。
竹田氏は「安倍さんが総理大臣になって、チャンスです! 日本の誇りを取り戻すチャンスです!」と何度か言っていた。二人は、根幹のところで意見を共有している。男性天皇を中心とする、世界最古の、美しい国、日本の再生だ。女性は染色体レベルで主役になれない国。万世一系という神話を保管するための、生む役割を続ける役割を担うのが女。アメリカ人がワシントンを建国の祖と考えるように、日本人ならば男の神武天皇を建国の祖と考えるべき(竹田氏がそう言っていた)で、そういう国の形、国の神話が明確であれば、私たち日本人は、敗戦によってぼろぼろにされた民族の誇りを取り戻せるのである、と。

 竹田氏の講演会を、私は最後まで聞かなかった。聞けなかった。取材者としては最後までいるべきだっただろう。でも、トイレに行きたかった。国歌斉唱やら主催者挨拶を含めればほぼ3時間以上座っている。古いコンクリートの建物は底冷えし、暖房は十分ではない。しかもトイレ休憩なくこの長さ。高齢者も多いのだけど、みんなおむつでもしているのだろうか。誰一人竹田氏の話の途中で立ち上がろうとはしなかった。不敬にあたる、という思いが生理現象までをコントロールさせているのだろうか。結局、会場で一番最初に席を立ったのは私だった。

 1998年、「はちみつバイブレーション」(河出書房新社)という本を書いた。初めての本だった。編集者が「推薦文は上野千鶴子か田嶋陽子さんにお願いしましょう」と言ってきて、私は、「それならば、田嶋さんにお願いしたいです」と言った。上野さんに推薦文を書いていただく方が「売れるかもしれない」。でも20代の私は田嶋さんにお願いしたいと思ったのだ。なぜかといえば田嶋さんの無防備な闘い方に、敬意を示したいと思ったから。テレビの中で、「ぎゃーぎゃー怒るフェミニスト」として笑われながらも果敢に闘っている田嶋さんは、「自分がどう見られるか」などに無頓着で、丸裸で丸裸の言葉で闘っているように見えた。かっこ悪く痛々しく、だれも「田嶋陽子になりたい」とは思わない。それなのに走り続ける田嶋さんに私は応援されたく、そして応援したかった。

 あの頃、田嶋さんには多くの女性ファンがいた。田嶋さんが女の声を代弁してくれている、と考えていた女は少なくなかった。でも、今はどうなのだろう? テレビの中で容赦なく軽蔑をぶつけられる田嶋さん。ばーか、ばーか、ばーか、という無言の声が田嶋さんに向けられるのを、今の若い女性はどういう気持ちで見ているだろう? 声をあげるのは、いつの間にか、とても怖いことになっているのではないか。

 新神戸からお土産も買わずに新幹線に乗り、一息ついてからスマホで”竹田恒泰”を検索した。華原朋美との熱愛報道がいくつか出てきた。その中に、竹田氏が朋ちゃんに鞄をプレゼントしたエピソードが紹介されていた。日本に「鞄」という言葉を広めたという、昭和天皇御用達の銀座の老舗の鞄だ。カルティエのラブブレスを日本中に広めた朋ちゃんが、昭和天皇御用達の鞄・・・。ああ、と重たい気持ちになる。これって、「価値観」のプレゼントだよね。朋ちゃんに似合うとか似合わないとか、どうでもいい、「オレの価値感」のプレゼントだよね。こうやって朋ちゃんは、(また)価値観を教えたがる男と一緒になっちゃったんだね。そして自分の価値観を教えたがる男は、(やっぱり)朋ちゃんみたいな女を、選ぶんだね。

 鞄を眺めながら、そういえば「田嶋陽子になっちゃう」ってどういう意味だったんだろう、と急に気になりはじめた。男に愛されない女、ということだろうか。価値観を教えてくれる男に庇護されない女になる、ということだろうか。なぜ「田嶋陽子になっちゃう」話しが、あんなにも女たちに受けていたのだろう。

 もしかしたらあの場にいた女は、朋ちゃんが竹田氏から鞄をプレゼントされたように、竹田氏から日本人であることの価値観を教えてもらいに来ていたのかもしれない。ヨーロッパブランドと比べて垢抜けない鞄(日本)ではなく、意味と価値のある伝統的なロイヤルな鞄(日本)であることを確認したいのかもしれない。だって、女であることを誇れないのなら、日本人であることをせめて誇りたくなるから。男と一緒に心おきなく田嶋陽子を笑った方が、この国では生きやすいのだと確認したいから。女を見下す竹田氏と、男にすがって寂しくてボロボロになっていった朋ちゃん。相性はきっと悪くない。そしてきっとこの国には、朋ちゃんと竹田氏みたいなカップルがいっぱいいるんだろうね・・・、そんな想像が止まらなくなる。愛国な女は、”オレの価値観”によって一番哀しく癒されている。そんな予感が止まらなくなる。

 

 

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北原みのり

北原みのり

ラブピースクラブ代表
1996年、日本で初めてフェミニストが経営する女性向けのプレジャートイショップ「ラブピースクラブ」を始める。2021年シスターフッド出版社アジュマブックス設立。
著書に「はちみつバイブレーション」(河出書房新社1998年)・「男はときどきいればいい」(祥伝社1999年)・「フェミの嫌われ方」(新水社)・「メロスのようには走らない」(KKベストセラーズ)・「アンアンのセックスできれいになれた?」(朝日新聞出版)・「毒婦」(朝日新聞出版)・佐藤優氏との対談「性と国家」(河出書房新社)・香山リカ氏との対談「フェミニストとオタクはなぜ相性が悪いのか」(イーストプレス社)など。

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