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性欲のトリセツ

茶屋ひろし2019.11.13

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最近どうしてる? なんて聞かれて、若い男の子のおケツばかり見てます、とはなかなか言えないこの頃ですが、これを読んでくださっている皆様は、このような問いにどう答えていますか。

昔、山田詠美の文庫の解説で村上龍が、「エイミーに会ったら、ヘイ、エイミー、最近いいセックスしてる?」と訊くとか書いていて、びっくりしたことがあります。その頃のお二人の年齢も過ぎてしみじみ思うのは、人種が違ったんだわ、ということです。

もともと願望が少ないこともあって、もはや今はセックスも恋愛も面倒なことにしか思えなくて、かと言って性欲がないわけでもないので、街ゆく若い男の子のお尻ばかり見ているのだろうと思われます。
以前は股間に目が行きましたが、今は断然お尻だわ……と人知れず思いながら、加齢を感じたり、私もただのオッサンね、とジェンダーを感じたりしています。

ゲイだから男性の体に目が行くけど、ノンケだったら女性の体になるのでしょう。しかもパーツ。胸とかお尻とか性器とか。
先日、鈴木涼美の『女がそんなことで喜ぶと思うなよ』(集英社刊)という本を読んでいて、ああ、ほんとにそうだった、と思った箇所が、「男の子が女風呂を覗いてみたいと思うようには、女は男の裸それ自体にそれほど興味はない」というところで、それは、元AV関係者だからか見知らぬ男からよくチンコ写真を送り付けられるがその時の感情はZEROである、という話からの流れで、そのとき頭の中で付け足したのは、「ちんこに欲情するのはゲイの男性だけである(ただし持ち主による)」ということでした。

これ、基本としてもっと広く世の男性が共有しなければいけないことなんじゃないかしら、とまで思いました。
自分が女性器に欲情するから、女性は男性器に欲情するはずだ、と思い込んでいるということです。
昔、二丁目で知り合ったゲイの男の子が「女に性欲なんてないでしょ? だって俺の女友達がそう言ってるもん」と言った時に、なんだかうまく返せませんでしたが、それはあなたがサラリーマンのスーツの股間にときめくような性欲を彼女が持っていなかっただけの話でしょう、と今はわかります。

女性に男性器の写真を送り付ける行為は、嫌がらせとともに、相手が本当は喜んでいるんじゃないか、と本気で思っていそうなところが問題なわけです。
先日FACEBOOKか何かのゾーニングをしている人が、男性の写真投稿で一番多いのが自分のペニスの写真だ、と言っているのをネットニュースで見て、世界規模か、とまた驚きました。

しかもゲイだけでなく大半のノンケが。すげーな男子。
もう一度確認すると、ちんこに欲情するのはゲイの男性だけであって(持ち主による)、ノンケの男性も女性一般も欲情しないのである。例外は除く。
なのに嬉々として望まれていると思って自分のペニスの写真を撮ってるんですって。ああ可笑しい。


最近よくおっぱいの大きな女の子のイラストが問題になっていますが、男性側が自分の性欲の行き場を失っていることに気づかない限りは、わかりあえないんだろうな、と思います。
女だってちんこを欲するんだろう、という反論は、それはそうした男性の性欲を満足させるためのファンタジー(というか商売)の中での話なので当たらない。
じゃあ女性が描くBLはどうなんだ、と言われましても、あれは性器(パーツ)だけの話ではなくて関係性のファンタジーだから当たらない。

それにしても、BLコミック。新刊が出るたびに本屋で朝シュリンクしていますが、表紙の画がどんどん淫らに大胆になってきていますね。
今は妊娠する男性も現れていて、その胸はもう乳だろう、という絵柄も散見されます。
女性は女性で、性欲発散に関係性やシチュエーション、ストーリーを必要とするなら、それを現実に落とし込むのも大変だろうな、とは思います。余計なお世話ですが。

私はゲイですが男性なので、若い男の子がいたしている動画を二、三分見るだけで満たされます。
たまに女性向けの「ソフトAV」も目に入りますが、まどろっこしいしモザイクも大きいので、いらない、と思ってしまいます。

現実世界では、お尻を見ても触らない、ことをモットーに生きているだけで、実際にそのお尻の持ち主としゃべってしまうと、ほとんど性欲はなくなっちゃう感じです。
いや、それでも最近は、同じビルで働いている子とか、帰りのスーパーの店員とかに、可愛い男の子が一人二人はいるので、つい話しかけたりしてしまいますが、それはお尻より顔で選んでいます。

単純だけど面倒な性欲、自分がそうだから相手もそうだろうと基本思わないことが大事というところです。

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茶屋ひろし

茶屋ひろし(ちゃや・ひろし)

書店員
75年、大阪生まれ。 京都の私大生をしていたころに、あたし小説書くんだわ、と思い立ち書き続けるがその生活は鳴かず飛ばず。 環境を変えなきゃ、と水商売の世界に飛び込んだら思いのほか楽しくて酒びたりの生活を送ってしまう。このままじゃスナックのママになってしまう、と上京を決意。 とりあえず何か書きたい、と思っているところで、こちらに書かせていただく機会をいただきました。 新宿二丁目で働いていて思うことを、「性」に関わりながら徒然に書いていた本コラムは、2012年から大阪の書店にうつりますますパワーアップして継続中!

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