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おかんとコピVol.6 猫ちぐら完成!カムジャとチスル、みのりさん

李信恵2019.11.11

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猫ちぐらを作っていると、コピは紙ひもでじゃれる。目はすっかり良くなって、子猫特有のブルーがかった目はぱっちりと開いた。ちぐらの中で眠って、目を覚ますと上部から顔を出す。そのしぐさがとても可愛いので、普通の猫ちぐらは出入り口が横にあって、天井はドーム型になっているのだけれど、天井は作らずに上からも顔が出せるようにと、ふたをするような形にした。編み物が大好き&手先が器用なこともあって、だいたい3週間ほどで完成した。

ネットで見かけた猫ちぐらは、2万円以上するとあったけれど、そりゃあこんだけ手間がかかっていたらそれだけの価値はあるよなあと思う。私が作ったのは紙ひも製だけど、藁(わら)だとそれをたたいてほぐしたりもしなきゃいけないし。もともと猫ちぐらは農家の人たちが収穫後の閑散期に作られていたものだけれど、春先に作っても指先の水分がめちゃ奪われたので、乾燥する冬場に作るのは大変そうだなあとも思った。

また、猫ちぐらを作りたいという人は「おかんとコピ Vol.4 過剰な愛情と猫ちぐら」https://www.lovepiececlub.com/column/13516.html を読んでね。

猫ちぐらを作っている間、仕事もちゃんとしていたけれど(ほんまやで)、その合間に韓国映画も観ていた。ある日、「あなた、そこにいてくれますか」という映画をNetflixで観ていると、主人公が若いころに子犬を恋人にプレゼントするシーンがあった。その子犬はじゃが芋の箱に入っていたことから、「カムジャ(韓国語でじゃが芋)」と名付けられる。コピもじゃが芋の箱に入っていたので、もしかしたらコピはカムジャになっていたかもしれない。

韓国映画でじゃが芋と云えば、「チスル」という映画もある。1948年4月3日に韓国・済州島で起きた「済州島4・3事件」を描いた映画で、「チスル」とは、済州島の方言でじゃが芋のこと。大阪の映画館「シネマート心斎橋」で上映された時には、初日には観客にじゃが芋が記念品として配られたのだった。とてもつらい映画で、見終わった後にはじゃが芋を食べる気分にはなれなかった。けれど、韓国現代史最大のタブーとされてきた虐殺事件を描いたすごい映画だったので、ぜひ機会があれば皆さんにも見てほしい。

大阪で生きる在日には済州島出身の人が多い。植民地時代に、済州島から大阪への定期船があったこと、そしてこの4・3事件から逃れるために日本、なかでも大阪へとやってきた人たちなどだ。私は大阪の在日にはやや珍しい、韓国の大邱という街が戸籍上の故郷なのだが、もしも済州島が故郷だったなら、コピはチスルという名前になったかもしれない(しつこい)。

ちぐらが完成しかけた矢先に、北原みのりさんから大阪に来るとの連絡があった。「Facebookの投稿でいつも見ているよ、コピに会いたい!」とのことだった。え、私に会いたいんじゃなくコピかよ!と一瞬思ったけれど、そんなことはさておき可愛いコピを見せたい。なので、大阪・鶴橋で待ち合わせをして、コピと一緒に向かった。みのりさん自身も猫を飼っており、保護猫だったということもあって、コピが気になっていたそうだ。会った瞬間に「可愛い!」と連発。病院などで外出する機会も多かったせいもあって、コピは終始大人しく、みのりさんに抱っこされては甘えていた。「もしも里親が見つからなかったら、私が貰おうかと一瞬考えた。けど、信恵さんが飼うと云ってくれたので良かった。きっと飼うんじゃないかとは思ってたけれど」とみのりさんにも云われた。そうだな、やっぱりコピは私が飼うってみんな思っていたんだな。

途中で、行きつけのホルモン屋さんのオンニ(韓国語でお姉さん)にもばったっり会ったので、コピをお披露目しておいた。「コピ」という名前を聞いて、目を細めていた。「最近呑みにこれなかったのは、この子を保護してたから。大きくなったらまた通うからね」と云っておいた。たくさんの人にネットでもリアルでも可愛がられて、コピはすくすくと成長している。子猫である期間は一瞬で、それは人間の子どもでもそうだ。小さいときのかわいらしさが、育てる苦労をすべて忘れさせる。小さな、いとおしい新しい家族。そして、私の親バカも日々加速していくのだった。

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李信恵(り・しね)

1971年生まれ。大阪府東大阪市出身の在日2.5世。フリーライター。
「2014年やよりジャーナリスト賞」受賞。
2015年1月、影書房から初の著作「#鶴橋安寧 アンチ・ヘイト・クロニクル」発刊。 

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