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よく話してくれる韓国のお姉さん Vol.10 「税金は国家とあなたの大切な約束です」

鈴木はな2020.06.04

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先日、友達とパンケーキを食べに行った。韓国でもパンケーキは人気があって、私たちが選んだお店も、お昼前だというのに店の外まで人が並んでいた。その日は快晴で、5月のさわやかな風に吹かれながらチーズの入ったおいしいパンケーキを食べて、フレッシュのトマトジュースを飲んで、「ああ、幸せだね~」って話をしていたら、友達が「今日は私がご馳走しますね」と言う。え?なんで? 理由を聞くと、「ソウル市からコロナによるソウル市災難緊急生活費が支給されたから」というではないですか!

韓国では国と自治体の双方が給付金を支給していて、彼女は4月半ばに市民センターに申請しに行ったところ、5月初旬にソウル市内の小売店や飲食店で使える30万ウォン分(約2万5千円)のカード(百貨店や大型チェーン店などでは使えない)をもらったそう。手続きはソウル市に住んでいることを証明する住民登録証を示し、携帯番号を記入して、サインするだけだったとか。ちなみに支給方法も携帯のお財布アプリかカードか選ぶことができるそう。

この自治体からの給付金、京畿道から始まった動きで、ソウル市をはじめ多くの自治体が取り組んでいます。京畿道では年間1億ウォン(約8500万円)以下の店でしか使えないようにしているために、生活支援というだけでなく地域経済の活性化にもつながっているそうです。

日本の定額特別給付金(いわゆる10万円給付)について、煩雑な手続きや、オンライン申請をしたにも関わらず、職員が2人1組になって手作業で本人確認を進めているために膨大な時間がかかっている……など、そこ、江戸??幕府の役人がそろばんで計算してるの?みたいなニュースばかり見ているので、いいなぁ、とため息が出ました。

彼女はソウルの大学で日本語を教える仕事をしているのですが、コロナで春学期はすべて休講になったためにこの春は収入がゼロになったそうです。そのこと自体はもちろん深刻なのだけど、4月下旬に国税庁から「あなたは5月に勤労者奨励金を申請することができます」というメールが来たそう。前年の所得税に基づき、今年の収入に応じて最大約150万ウォン(約12万8千円)が9月に振り込まれるそうです。もちろん申請の手続きについてもネットでできるし、国税庁のほうから詳細な説明が送られてきたとか。「こんな制度があることを知らなかったから、むこうから連絡がきて本当に助かった」と言っていました。

さらに自治体とは別に、国からの「緊急災害支援金」の支給も5月4日から順次、始まっています。こちらも本当にすごい。支給は生活保護や障害者基礎年金などを受け取っている世帯が優先で、この人たちは申請の手続きをする必要もない。全額が現金で4人世帯で100万ウォン(約8万5千円)、3人が80万ウォン(約6万8千円)、2人が60万ウォン(約5万1千円)、単身は40万ウォン(約3万4千円)で支払われるそうです。

それ以外の人は、申請をした上で、クレジットカードや地域の小売店で使えるカードなどで支給されるそうなのですが、現金以外で支給される支援金は今年の8月31日まで使用しない場合は消滅するとのこと。こちらもオンラインで住民登録証と口座番号、携帯番号などを書きこんで申請するだけで、友人の話では、申請翌日(!)に振り込まれたという人もいるとか。3カ月以内に申請しなかった人は自発的な寄付とみなされ、そのお金は雇用保険基金に使われるのだそうです。

金額もスピードもまったく違う。そして何より、経済的弱者には使用用途を制限せず何にでも使えるように、それ以外比較的余裕のある人は貯金に回さず、地元で使ってね。政策から伝わってくるメッセージが明確ですよね。「生活保護世帯には10万円を給付するな」なんていうことを政治家が言い、「朝鮮学校にマスクは配らない」なんてことを自治体がまったく問題とも思わずに実行する国に長く住んでいると、役所って政治家ってそんなもんだよね、ってあきらめてしまうけど、本来、政策ってこういうものですよね?!

そしてもうひとつ。韓国では、防疫のために生活のなかで守るべきルールがどんどん厳格化されています。先日も、海外からの入国者を対象にした2週間の自宅隔離義務を守らず、飲食店などに遊びに行っていた疑いで20代の日本人男性が感染症予防法違反の疑いで、警察当局に逮捕されました。

同じく、自宅隔離を守らず感染症予防法違反の罪に問われた男に裁判所が懲役4カ月(求刑懲役1年)の実刑判決(!)を言い渡しています。今後はバスやタクシーなど公共交通機関でのマスクの着用も義務化されそうです。

一方、日本から聞こえてくるのは、政府が7月下旬から観光飲食業界向けの支援策として、国内旅行をした場合に、その費用の半額を国が補助するという、アベノマスクにつぐ「奇策」「愚策」。その名も「Go To キャンペーン」。かかる予算は1兆7千億円だとか。韓国でも一時は新規感染者がゼロになりましたが、梨泰院のクラブの集団感染でまた感染者が広がっています。いつでもどの国でもこういうことは起こりうる。それなのに、いま人の流動性を高めることがどういう事態を招くのか、まったく考えてないのだろうか。世界に先駆けてコロナの第2波を呼ぼうとしているようにしか見えません。

※友達のもとに国税庁から来た支援金申請の案内メール。紺色の枠内には、「税金は国家とあなたの大切な約束です」と書かれています。なぜ私は不誠実な国に税金を払わなきゃいけないのか。悲しみを感じます。

※最近のアックジョン。オープンエアのカフェが気持ちいい季節です

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