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奥様は愛国、杉田水脈のこと

北原みのり2020.09.27

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2018年2月に週刊朝日の連載向けに記した原稿を見つけたのでラブピに再掲します。杉田水脈議員、この時は「無名」だからこそこんな乱暴な振る舞いができるのかと思っていたけど、そんなんじゃなかった。辞職すべきだし、こういう議員を比例上位につける安倍系菅の自民党も、終わってほしい。

以下2018年2月の原稿

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  数年前、右傾化する中高年女性たちを取材し「奥様は愛国」という本を出した。彼女たちが最も熱心に運動していたのは「慰安婦」問題だった。「男性が前に出ると差別だと言われるから、女性が解決します!」と、率先して「強制などない!」「慰安婦は嘘つきだ」と罵ったかと思えば、「私も若かったらお国のために慰安婦になる!慰安婦は尊い」と路上で叫ぶ女性たちの運動は衝撃的だった。男女雇用機会均等法後に社会に出た世代の女性たちが、男女平等とかフェミニストとかという言葉に反射的に嫌悪感を示し、「(男女平等をうたう)憲法24条を変えよう」と主張する現実を、どう捉えるべきか、私は未だに答えを出せていない。

 さて、そんな「奥様」たちの象徴的存在が、今、国会にいる。先の衆議院選挙で二度目の当選を果たした杉田水脈氏(50)だ。公式ページのプロフィールには「慰安婦」問題について「国際社会に向けて日本の汚名を晴らすため、東奔西走中」と記してあるが、国会で「男女平等は反道徳の妄想」と発言したり、SNSでフェミを嘲笑したりと、男女平等嫌い・フェミ嫌いを隠さない“愛国奥様”の代表だ。

 最近、杉田氏の発言をネットで見かけることが増えた。「慰安婦も南京(事件)もねつ造」などと堂々と言えるほど今は無名な政治家ではあるけれど、いったい何故“愛国奥様”は「慰安婦」に執着するのか知りたく、杉田氏の本を何冊か手にした。なかでも河添恵子さんというノンフィクション作家との対談「『歴史戦』は女の戦い」は、なかなか強烈だった。

「(セクハラで男性が萎縮し職場がギスギスすると)日本の国力低下に直結します」(杉田)とか、「情報工作員って、同性愛者の巣窟」(何故ならハニートラップにかからないから)と河添氏が適当なことを言えば「びっくりポン!」と杉田氏がふざけたり、「(日本のポルノには)レイプものなどが多い」と杉田氏が解説すると、河添氏が「その分野はワタシ、処女」と笑ったり。慰安婦、南京といった重たいテーマの合間に下ネタを所々に挟んでくるのだ。そもそも「慰安婦」問題を杉田氏に言わせれば、日本人はエロを人前で語るのを恥ずかしいと思っているので、そういう感覚のない中国と韓国に慰安婦問題をプロパガンダとして突きつけられ恥ずかしくて困っている、という解釈らしい。  

 杉田氏、フェミ嫌いというよりは、ただ男好きでエロ好きなのかもしれない(それは個人の自由。問題ないです!念のため)。そこには声をあげた女性の痛みも、人権も、歴史に対する誠実さもなく、フェミを憎むほどの思想もない。性暴力とエロの区別もつかないお粗末さで「慰安婦」問題を語る蛮勇は全て、日本=男(とエロ)を守る、という大義名分で担保されている。この国と相思相愛になりたいのならば、性暴力を性暴力だと声をあげた女を叩くのが一番早い道なのよ。そんな気軽さで。

 “愛国奥様”が国会議員になる時代。これがもう、底、と思いたい。

杉田議員の辞職を求める署名はコチラです。

 

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北原みのり

ラブピースクラブ代表
1996年、日本で初めて、女性だけで経営するセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」を始める。
著書に「はちみつバイブレーション」(河出書房新社1998年)・「男はときどきいればいい」(祥伝社1999年)・「フェミの嫌われ方」(新水社)・「メロスのようには走らない」(KKベストセラーズ)・「アンアンのセックスできれいになれた?」(朝日新聞出版)・「毒婦」(朝日新聞出版)など。佐藤優氏との対談「性と国家」(河出書房新社)・最新刊は香山リカ氏との対談「フェミニストとオタクはなぜ相性が悪いのか」(イーストプレス社)など。

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