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YURIさんのフェミカンルーム68「緊急FLOWER DEMOへの想い」

具ゆり2020.10.01

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先日、9月26日(土)19時から、自民党議員杉田水脈発言に抗議する「緊急FLOWER DEMO」が開催された。
急いで、その経過と想いを書いておきたい。

発端は、前日の9月25日、自民党内の会議で杉田水脈氏が言い放った暴言。
「女性はいくらでもウソをつけますから」
それは、行政や民間が運営する「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター」を全国で増設する方針など、内閣府が説明した際に、相談事業の予算が増額されることに対しての発言だったという。
国会議員の立場で、しかも性暴力関連事業の会議の席で、これだけ堂々と言葉を選ばないで差別発言をすること自体、あきれてあいた口がふさがらない。
ワイドショーでもあるまいに、あまりにも軽はずみな言動が、国の重要な会議の場で許されるとしたらどれほどの恥であるかと考えてほしい。
まったくもって気が知れないが、これまでの彼女のヘイト言動は、前科は数々あるのはご存じの方も多いはず。いったい、よほど自信があるからなのか、言葉の責任を甘く見てのことなのか、無知だからこその怖いもの知らずなのか、理解に苦しむ。
誰かの目線に合わせた意識的な行動だろう、とは思えるが、それは、決して女性問題や暴力被害の問題に真摯に取り組んでいる人たちでないことは明らかだろう。

ともあれ、このレイプ神話の偏見を臆面もなく言い放った彼女の差別発言は、その日のうちにメディアとネット上をかけめぐって私たちを動かすことになった。
おそらく本人も、まさかこの一言で、ここまでの騒動になるとは、ゆめゆめ考えてなかっただろうね。
もしかして、今頃どこかで、誰かの後ろに隠れてふるえあがっているのじゃないかと思ったりもする。

さて、この素早い動きは北原みのりさん、松尾亜紀子さんが杉田議員の言動を見逃さず、かみついてくれたから。
「ちゃんと怒りたいと思ったから」と、いつも先陣となり声をあげてチャンスを生み出してくれる2人に心からの敬意と感謝を示したい。
黙らないとは、声をあげるとはこういうことだ、と強く教えられることになった。

そう。かつて私は、こんなことどうしようもないし、しかたない、と黙っていたから。あきらめていたから。
何をどうしていいか、わからなかったし、そこにエネルギーを使いたくもない、どうせ変わらないと思っていた……。
そんなだから、甘く見られてもしかたなかったのかもしれない。相手にとって都合いいよね。
「国民はすぐに忘れますから」だって!? 
ふん、もう、そうは行くもんか。行動する人についていこう。

杉田発言の翌日に開催した「緊急オンラインフラワーデモ」。この打てば響く機動力がスバラシイ!
北海道から沖縄まで、各地のフラワーデモ主催者が初めて顔を合わせ、つながる場となった。私も名古屋から参加。緊急にもかかわらず、35名が集結した。
全国47都道府県での開催を達成した私たちが一堂に会するのは初めて。
オンラインだからできるのも、今の強みだ。
各地のメンバーの顔が見られるうえ、日本の南や北で、それぞれが個別の空間にいながらお互いの思いを語り合える、温かく心地いいシスターフッドを感じる時間だった。
私たちだけでなく、YouTubeで合流してくれたたくさんの仲間がいることも大きな支えだった。

自分にとって不快なこと、くだらない相手に、エネルギーを費やすのはすごく苦痛だし、疲弊する。
私は長年、そういうわずらわしいことからできるだけ離れようとしていた。物事を客観的に見て、深入りしない、巻き込まれないように、淡々と自分を守る態勢が身についていた。
自分のことはほっといて、と思春期なんて、特に冷めていた。まあ突っ張ってたということでしょうか。

ちっぽけな私一人がなにをしたって、世の中変わるわけじゃないし。
そう斜に構えて自分の世界にやや拘泥していた私が、フェミニズムに出会ってカウンセラーになるなんて。そんな自分が、相手の人生に深く関わるようになるなんて。
自分でも驚きの人生展開である。

私がフェミニストカウンセリングに何で惹かれ、没頭するようになったのか。
それは、「私は私でいい」「私の人生は私のもの。私が決めていい」という信念に安堵と共感をもてたこと、フェミニズムの視点がもてれば多くの女性たちは自分らしく生きられるだろうと思えたから。
誰かのために生きるのではなく、自分の人生を自分で選んで生きること、誰の評価にもふりまわされないで自分を尊重する、徹底的に自分への自己尊重を承認するところに共感したから。

カウンセラー、クライエント関係は、女性としての対等性とクライエントセンタード。
もちろん専門性は求められるし、エンドレスで学び続けないといけないことばかり。
主人公はクライエント自身。自分の安全な空間が保障され、カウンセラーへの信頼感がもててこそ「自分を語る」世界が生まれる。
人の心の扉をこじあけることは、誰にもできない。
そんな相手に心を閉ざすのは当たり前。心のドアの取っ手はクライエントがもっている。
自分の未熟さのせいで、悔やまれるケースもヤマほどある中、クライエントから学びながら20年あまりが過ぎた。
と、自分のこと言いすぎかな。

さて、杉田議員について。
「緊急FLOWER DEMO」の様子は、こちらでご視聴ください。
LIVE配信はこちらから

https://bit.ly/332SrQI

支援者は生半可に現場に立っているわけがない。それは行政も民間も担当者は誠意をもって支援にあたっている人がほとんどだということを知ってほしい。
ただ、行政の担当者は異動があるたびに、せっかく積み上げてきた現場能力やノウハウがリセットされてしまうのが残念。そこは逆にいえば、私のように民間で10年、20年続けている支援者に負うところがある現状に目をむけてほしい。
特に民間は、とても十分とは言えない報酬で、身銭を切って学び、スキルを身につけ、へとへとになりながらも、熱意だけで何十年現場を担っている人たちがほとんどといえる。
杉田氏がボランティア覚悟で支援現場に立ってきた人たちのことを理解しているとはとても思えない。
国も行政機関も、DVや虐待、性暴力への深刻な実情と影響に理解を示しながら、制度も徐々にではあるけど手厚く対応しようと動いているというのに。
おそらく内閣府の担当者も、あの場での杉田発言に、水をかけられた気分で、呆然となったのではないだろうか。

後日、本人が公式ブログで「そんなことは言ってない」とコメントを出されたようだけど、その会議にいた人が聞いている、と言ってるのに。政治家って、いつもこの期に及んで、ですよね。
このままシラを切って逃げられたら、今度も「国民はすぐ忘れる」と、なかったことにされてしまう。
こういうことをあきらめないで行動していくしかないと、今はそうは問屋がおろさないと、連帯の場が、即刻反応する、連帯の輪が拡散する機運が生まれている。

「女性はいくらでもウソをつけますから」発言に対して、声を大にして言いたい。
それがセカンドレイプだということを。
被害者は、ずっと長い間沈黙を強いられてきたことを。
今、性犯罪刑法改正の検討会議で何が話されているかを少しは学んでほしい。
根底にある問題が、女性差別や蔑視、ジェンダーの偏見にまみれた自身のつたない価値観を知ろうとも、学ぼうともせず、性暴力神話を丸のみしている偏見にまみれた暴言だということに目を向けて、謙虚に考えてほしい。
被害者をウソつきよばわりしたことを、すべての女性を侮辱して、冒涜した言葉の責任を謝罪していただきたい。

確かに、誤解を恐れずに言うと、性暴力に限らず、暴力を受けた被害者がウソをつくことは、残念ながらある。
それは、あまりにも受け入れがたい苦痛や被害を受け入れることができないとき、事実を否認して、なかったことにしたいとき。
加害者に脅され、秘密を強要されたとき。
加害者を守るために、自らを犠牲にして、事実をなかったことにしようとするとき。

これらすべてが、加害者にとって都合がいいこと。
しかも、それがばれると、自分の加害を被害者に責任転嫁して、悪事を隠ぺいする狡猾さにたけていることが多いということを。
そう、加害者は自分を守るためにいくらでもウソをつけるのですよ。
しかもばれない間、加害者に再犯を繰り返させることにつながっている事実にも目をむけてほしい。

フラワーデモがなければ、私自身、表で、路上でマイクをもつなんて、自分の人生では考えたこともない、ありえないことだった。
そして今も、そんなありえないことをしている自分に驚いてもいる。

オンラインデモと同時に始まったchange.orgの
「女性はいくらでもうそをつけますから」自民党・杉田水脈衆議院議員の性暴力被害者への発言撤回、謝罪、辞職を求めます。
キャンペーンは、コラムを書いている9月30日正午現在、たった5日で9万5000人を超えている。

9月29日、自民党の野田聖子氏はこの署名受け取りを辞退した。
つまりは拒否した、受け取りたくない、見たくない。受け取らなければ「なかったことにできる」ということか。
一方で、橋本聖子男女共同参画相が個人的意見として、杉田議員を批判する立場を表明した。ただ、彼女も上からの圧で前言を翻さないかと心配である。

そして、この原稿を入稿後、9月30日午後に、また動きがあった。
なので、修正して追加で書いている。
自民党は杉田氏に「口頭注意」、記者会見なし。
野田聖子氏から署名受け取り辞退について、改めて日程を調整するとの連絡。
野党が自民党へ杉田氏の処分申し入れ。
時々刻々、小さな私たちの声の集まりが、政治の場を動かしている。
野田氏の署名受け取り辞退の方針転換も、政治家として空気を読んでのことだろう。こういうところで本性があらわになるね。彼女にとって、大きな失敗だったと思う。

まだこれからも、どう展開していくか、私たちの声と社会の注目によるところだろう。
あきらめないで、なかったことにしない声をつないでいきたい。

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具ゆり(ぐ・ゆり)

フェミニストカウンセラー
フェミニストカウンセリングによる女性の相談支援に携わっている。
カウンセリング、自己尊重・自己主張のグループトレーニングのほか、ハラスメント、デートDVやDV防止教育活動など、女性の人権、子どもの人権に取り組んで20年あまり。
映画やミュージカルが大好き。
マイブームは、ソウルに出かけてK-ミュージカルや舞台を観ること。

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