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TALK ABOUT THIS WORLD ドイツ編 アドベンドカレンダーとクリスマスまでのカウントダウン

中沢あき2020.12.21

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11月末の数日間、ドイツのママたち(そういえばパパたちの話は聞いたことがない)は焦る。12月1日までに、伝統行事であるアドベントカレンダーを子どものために用意しなければならないからだ。世界のトレンド情報が集合する日本でも知られていると思うけど、アドベントカレンダーとは、12月1日からクリスマスイブの24日まで、毎日ひとつずつ、小さなプレゼントを開けることができる、というもの。その昔、とあるドイツのお母さんが聖夜を楽しみに待つ息子のために手作りしてあげたのが伝統になったんだとか。チョコレートなどが入った小さな窓が24個ついたお菓子の箱が一般的なアドベントカレンダーで、この時期になると製菓メーカーのサイズや値段もさまざまなアドベントカレンダーが店頭に並ぶ。これを楽しみにしているのは子どもたちだけど、大人向けのものもあって、こちらは窓の中に入っているのがリキュールの小瓶だったりティーバッグだったり化粧品だったり、セックストイやグッズが入ったアドベントカレンダーもある。「も~うい~くつ寝ると~」で日本にやってくるのはお正月だが、ドイツまたはキリスト教圏ではクリスマスなのだ。

このアドベントカレンダー、市販品の他、手作りする人も結構いて、窓を開けるタイプだけじゃなく、24個毎日プレゼントが開く仕掛けのアイデアは他にもたくさんある。壁掛けのタペストリーにポケットが付いたものだったり、小さな引き出しがたくさんついた箱だったり、というカレンダーの部分だけを買い、そこに各々のプレゼントを入れることもある。

わが家はといえば、昨年はこの時期日本にいたし、子どももまだ小さかったのでわからんだろうと思って私は何もしなかったのだが、今年はドイツで過ごすことになったし、ならば伝統らしいことをやってみるかと奮起したのはいいけれど、はて「どんなのを作ろう??」。市販のお菓子はほとんど与えてないのでチョコレートは論外だし、あんまり小さな小物をあげても口に入れて誤飲でもされたら困るし、そんなにお金をかけたくないし、と考えあぐねているうち月末になってしまった。どうしよう!と焦った頭に、数年前に同じく慌てていた友人の言葉が浮かんだ。「お弁当のパンを入れる袋で適当に作ったよ~」

そこでドラッグストアに行ってそれを探す。ドイツの小学生は午前中の休み時間に軽食を取るのだが、チーズやジャムを挟んだだけのパンを持たせる家が多い。そのパンを入れるための小さな封筒みたいな袋のことである。あった、と手に取ると、その横には同じ製品で赤い色のクリスマス仕様のものが。パッケージの裏には、この袋を器用に折りたたんで飾り付けに使えたりもするよー、という事例写真が貼ってある。そして24枚入り。これ、まさに私と同じこと考えている人のための季節限定品だよね。しかも値段は通常の80枚入りと同じだって。でもこれさ、1枚でも間違って破いちゃったりしたらアウトじゃん……。ということで私は普通のを買いました。

袋は買ったが、次の関門は「これで何しよう? これに何入れよう?」である。こんなときのグーグル頼み。早速ググってみると、ほう、出てくる出てくる、24個分のこの袋を使ったすてきなカレンダーアイデアが。そして中身に入れるものは袋に入る適当な大きさのもの、ということで、近くのスーパーで売っていたおもちゃの魚釣りセットにする。魚の形に切られた小さな板をマグネットのついた釣り竿で釣り上げるというおもちゃで、箱には21ピースと書いてある。よっし、ということはあと3個、何を入れるかを考えるだけでいいじゃん!

カレンダーアイデアは枝に袋をつるすものにした。翌日、散歩に出かけた墓地で適当な枝を拾い、裏庭のもみの木から葉っぱを数枚失敬し、もらい物のパッケージについてきたと思われるリボンや、イースターのお菓子についていた鈴なんかを飾ってみると、それらしく見える。お、いい感じ。そしてそこにつるす袋詰めをするべく魚釣りおもちゃの箱を開けたら、あれ? 魚の板は15枚しか入ってない! 21ピースというのは、釣りざお2本と釣り堀を組む板4枚を合わせた数だったらしい……。慌ててプレゼントの数を増やすべく、入れられそうなものを探す。

とまあ、行き当たりばったりな作業だったが、なんとか前日の夜には完成。居間のドアに掛けておいたカレンダーを無事、12月1日の朝に子どもは発見し、以来毎朝「いっこ」と人さし指を立ててドアの前にやってくる。うん、作ってあげてよかったな。

そしてどこの家庭でも、毎日ひとつずつカレンダーのプレゼントが開けられてクリスマスが近づいてくるのと同時に、ドイツにおける新型コロナウイルスの感染者数や死者数は日々増えていき、12月半ばを目前にして、とうとうロックダウンはライトからハードになることに決まった。11月末の時点では、クリスマスから年明けまでの制限緩和が決まっていたのにそれも短縮され、24日から26日までの期間限定緩和になった。メルケル首相が最後の判断と繰り返していた、学校と保育の閉鎖も決まったので、本当に最後の崖っぷちまで来てしまった、ということだ。家族の交流をなんとか、という気持ちはわからないでもないけど、これでクリスマス緩和してもいいのか、ちょっと疑問にも思うところ。ただドイツは別世帯にわかれて暮らす家庭も多いから、子どもと親が一緒に過ごす機会を考えると、そういう決め方しかできないのかもしれない。閉鎖と言っても、本来は冬休みまでまだ1週間授業がある学校は可能な限りオンライン授業への切り替え、保育の閉鎖についてはわが州は、最終判断は預ける各家庭と保育士に個別に任せるとなった。有給休暇を取れる親はそうしてください、とのことだが、週末に急に決まったことなので、対応できない家庭も多いだろう。

閉鎖が決まった理髪店もいっぱい、生活必需品以外の店も閉鎖になるので、クリスマスのプレゼントや飾り付け用品を慌てて買い出しに来た行列も見かけた。そんなてんやわんやの決定と施行後、どれだけ感染拡大が抑えらえるのかは誰も明言できないが、年明け以降もこのロックダウンが続くのではないかと、皆がうすうす思っている。まずはクリスマスまで、これ以上状況がひどくならないこと、小さく静かでも楽しいクリスマスを迎えられるますように。そして年明けた来年はどうなるのだろう?


写真:
©Aki Nakazawa
私にとっても子どもにとっても初めてのアドベントカレンダー。魚の板の他、すでに冬用に買ってあった靴や洋服を急遽プレゼントとしてもらえるということにして、それらの手書きのクーポンを入れて数を間に合わせました。

写真:
©Aki Nakazawa
普段はクリスマスマーケットが立つ広場には、代わりにPCR検査所の白いテントが立っています。その広場の裏側の一角にひっそりと、普段だったらクリスマスマーケットに立つはずのお菓子屋さんと食べ物屋さんの屋台が立っていました。11月のロックダウン・ライトの「テイクアウトだったらOK」というルールを解釈したのだと思いますが、結局屋台の周りで一緒に食べ飲みする人々が増え、感染対策とならないと首相が指摘する羽目に。今週から始まったロックダウン・ハードではもうこの屋台も営業できないのかな。

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中沢あき

中沢あき(なかざわ・あき)

映像作家、キュレーターとして様々な映像関連の施設やイベントに携わる。2005年より在独。以降、ドイツ及び欧州の映画祭のアドバイザーやコーディネートなどを担当。また自らの作品制作や展示も行っている。その他、ドイツの日常生活や文化の紹介や執筆、翻訳なども手がけている。 

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