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医療の暴力とジェンダーVol.13 私のマスタベーション 〜障害のある体に喜びを求めて〜

安積遊歩2021.08.23

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先日、ウーマナイザーについてのトークを聞いた。さまざまな点で興味深かったが、「マスタベーションを1人でする革命」という言葉が一瞬言われていたのを耳にし、私は12歳の頃からすでに革命家だったのだな、とぼんやり思った。

障害を持っていると、自分が性的存在であるという認識を持つことは、絶対的なタブーであるし、危険なことだ。それでも男性ならまだしも、障害を持つ女性が性に関する様々な悩みや苦しみを、口にすることはあってはならないことと幼い時から刻印される。

もちろん中途の障害であれば状況は若干違うが、生まれた時から、あるいは幼い時から障害をもつ女性にとって、性の話はどこか遠くの別世界の話だった。まず、月経についてであるが、私は施設にいたので、そのことをちゃんと大人たちから伝えられたことはなかった。

2年8ヶ月いた施設の中の6人部屋で、私は一番年下だった。4人くらいの年上のお姉ちゃんたちが、その頃世間に売られるようになった生理用ナプキンを、看護助手のおばちゃんに頼んで手に入れていた。それを内緒でこそこそと分け合っているのを横目で見るだけで、それがなんなのかを知るまでには随分かかった。好奇心が強い私だったから、しつこく聞けば聞くほど、「ませガキ」とか「知らなくていい」と罵られ、軽いいじめにあっていた気さえする。

しかし、隣の部屋の、私を可愛がってくれた子が1人いて、その人からなんとなく聞くことで、「そうか。女性になるためには、生理を迎えなければならないのか。ただ、こんな小さな身体にそれがくるのだろうか…。」と悩んだ。

その施設には、3歳から18歳までの男子女子各約50人ずつの子が収容されていた。目的は、リハビリや手術を施して、「障害のない身体に少しでも近づける」というもので私にとっては恐ろしい施設であった。ただ、その施設に入園すれば、隣接した養護学校から手術で動けなくても、教員がやってきてくれるということで、学校で遅れてしまいたくないと、その施設に入園したのだった。

さて、月に一回、大人の女性になるためには、月経が必要だと思った私は、ある日、男子部屋から回ってきたエロ本を見て、驚愕した。大人の女になるためには、生理にプラスして性的な魅力が必要だというポルノ情報が満載だったから。1ページ1ページ、それこそ毛布を被って隠れ読みをするように、私は読み耽りそのうちマスタベーションをするようになった。

マスタベーションをすればするほど、早く生理になれるかもしれないという希望と、でもそんなにしていたらどこかがおかしくなってしまうのではないかという不安とに引き裂かれ続けた。そのうち、生理のくるまえに施設を出ることになった。彼女らの“秘密のパーティ”には一度も加われず、その上マスタベーションをしていることでの罪悪感を誰にもいえず、迎えた退園。

施設の暮らしは、あまりに管理管理で少しも自由がなかった。何をするにも、大人の顔色を見て、怒られないように、嫌われないように振る舞うということが、本当に嫌だった。だから辛い秘密を抱えていても、そこからの脱出は私にとっては、自由への逃走であった。

しかし退園してからの日々は、自分の家ではあっても、8時間も1人で過ごさなければならずあまりに孤独だった。つまり、退園したら、中学1年の3学期から地域の学校に当然転校できると思っていたにも関わらず、差別によってそれは拒まれた。転校を拒否され、ひとりぼっちの私を救ってくれたのが、父や兄の本棚にあった雑誌や書籍のポルノチックな文章の数々だった。就学を拒否され続けた3ヶ月、家族がみんな学校や仕事に出払った後、私は中学生の妹が帰ってくる16時ぐらいまで、飽きることなく本を読んではマスタベーションを繰り返した。

あまりにも、辛い孤独の中での切迫感満載のオナニーだった。30代になって、それを何回か文章にしたことはあるが、65歳になった今は、さらに「あの時の時間の過ごし方としては最高に賢かったのだよ」と、手放しで何度も何度も褒めてあげたい。

障害を持っていると身体は痛みや苦痛の源であることが多くなる。それに対してオナニーは、自分の体の喜びを探る本当に「素敵な旅だ」と言う認識が広がるまでどれくらいかかるのだろう。障害を持っているからこそ、そのことを大事に伝えられて、そんな時間を大切にしていいと言うことを若い仲間たちにもっともっと伝えられたらと願わずにはいられない。

ただほとんどのセックスファンタジーが男目線の男だけのものであること、その差別と抑圧にこれからどれくらい、あらがい続けなければならないのだろう…障害を持つ女性にとってのそれが自由に公に語られる日までどれくらいの時が必要か、私は自分の物語を語り書くことで少しでもその時を短くしていきたいと心から願っている。

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安積遊歩

安積遊歩(あさか・ゆうほ)

1956年2月福島市生まれ
20代から障害者運動の最前線にいて、1996年、旧優生保護法から母体保護法への改訂に尽力。同年、骨の脆い体の遺伝的特徴を持つ娘を出産。
2011年の原発爆発により、娘・友人とともにニュージーランドに避難。
2014年から札幌市在住。現在、子供・障害・女性への様々な暴力の廃絶に取り組んでいる。

この連載では、女性が優生思想をどれほど内面化しているかを明らかにし、そこから自由になることの可能性を追求していきたい。 男と女の間には深くて暗い川があるという歌があった。しかし実のところ、女と女の間にも障害のある無しに始まり年齢、容姿、経済、結婚している・していない、子供を持っている・持っていないなど、悲しい分断が凄まじい。 それを様々な観点から見ていき、そこにある深い溝に、少しでも橋をかけていきたいと思う。

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