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今夜は満月だった。綺麗なお月様だった。しかし私が事あるごとに「月が綺麗ですね」と伝えていた人は私の隣にはもういない。彼女は、私に「どうしてトモちゃんはそんなに日本をヘイトなの?」と尋ねた人でもあった。その際は返答に窮してしまったが、むしろ、どうして平気なのかと質問に質問で返したかった。杉田水脈の例の発言の後であり、電車の中でおじさんたちに散々嫌な目にあわされた後でもあり、その前にセクハラという性暴力を経験した私が、どうしてこの国を愛せると思ったのだろうか。平気な顔で生きていけると思ったのだろうか。考えてみれば、この頃から少しずつ、二人が描く将来像がズレ始めていたのだろう。

あれから3年近く経ち、私は長年住んだ東京を離れ、主に中高時代を過ごした福岡にやってきた。現在THE・無職。家も少しずつ整いつつあるが、これを書いているのは兄から借りたキャンプ用の簡易机である。最寄り駅までの道にも違和感を覚え、私が極端な選択を幾度か試みてしまったため、一人で出歩くこともまだ許されていない。体力も十分ではなく、どこかに出かけた翌日には寝込み、食事にすら疲れてしまうのが現状だ。

長年患っているうつ病のために紹介された精神科に行ったら「①うつ病 ②社会不安障害 ③ADHDですね」との診断が下った。”ジェットストリームアタック”直撃である(?という方はお近くのガンダムファンまで)。

こんな状況で「自分は何をするために生きているのだろうか」と考えてしまうのも無理はないと思う。「自分は何者なのか」とも。

コロナ禍で似たような息苦しさを感じている方も多いだろう。国民の、そしてアスリートの命の危険を顧みずに強行されたオリンピックでは「多様……性?」とモヤモヤした気分にさせられ、その後に待っていたのはお偉方の権力争いだ。

何よりこの夏、私が胸を痛めたのは”フェミサイド”という言葉だった。あんな恐ろしいことが起きてしまうとは。しかし、その続報はTVでは流れない。

歯痒い。悔しい。情けない。あらゆるネガティブな感情が渦巻く中、入院(結局しないで済んだが)用に兄にせがんで買ってもらったkindleでアルテイシアさんの最新エッセイ、フェミニズムに出会って長生きしたくなった(幻冬舎文庫, 2021)を開いた。

そして思い出した。「そうだ。オラもフェミニストだった」と。自分にはまだやりたいことがあるのだと。

これまでのエッセイと同じく、共感しすぎて読んだいる間ずっと赤べこ状態だった。私は何のために”フェミニスト”と名乗っているのか。それは、後の世代に同じ苦しみを味わわせないためだ。

アルテイシアさんはこう述べている。

”だが昔よりマシと言われて、若い女の子たちの生きづらさが減るわけじゃない。1人1人が地道に声を上げ続けて、クソゲー社会をアップデートしていくしかない。それがJJが後輩たちのためにできることだろう。”

ボコボコにやられて「カ……カペペ」となっている私に仙豆が渡された(?という方は最寄りのDBファンまで。仙豆はユンケル黄帝みたいなものだと思ってほしい)。

私はアルテイシアさんのいうところの”典型的な日本人”だった。無理なことを無理と認めるのが苦手で、”限界まで頑張り続けてぶっ壊れた”のだ。ありがたいことに、ぶっ壊れたがゆえにその状況からは逃げ出せたが、壊れた私はもうその前には戻れない。

それなら私にできることは何だろうか。1人でも多くの人に「壊れるまで頑張るな」と伝えることであり、頑張らなくていい世の中にしていくために何でもいいからアクションすることだろう。これまで散々傷ついた経験を、痛みを糧に。(広告代理店時代のつらい経験を語って)

”そんな痛みを知っているから、後輩たちを守らなきゃと思うのだ。年を重ねるごとに、その思いはどんどん強くなっている。そして「誰かを守りたい」という思いは、人間を強くする”

とアルテイシアさんはエールを送ってくれた。
強くなりたい。女で、性的マイノリティーで、障がい者の私でも、強くなりたい。いつの日か駅のホームで笑う女子高校生たちや小学生たちを見て思った「あの子たちに同じ思いをさせたくない」という強い気持ちを忘れたくない。失いたくない。そう思った時点で、昨日より少し強くなっているのかもしれない。私があげられる声は小さな小さなものだ。それでも、コラムを書く場をいただいて、こうして思いを発信することができている。ありがたいなぁ、と改めて感じた。読者の皆さま、ありがとうございます。

話は戻るが私が守りたい対象は女性だけではない。私のフェミニズムには”ジェンダーバイアスからの解放”も含まれているからだ。女性も男性も、男の子も女の子も、皆理不尽な決めつけから自由になっていってほしい。このことについては来月詳しくお話ししたい。

私が福岡に来た翌日、兄夫婦の元に男の子が生まれた。私はおばさんになったのである。もし理不尽なジェンダーバイアスの棍棒で「男なら云々」と殴りつけようとする輩がいたら、おばさんが守ってあげるからね。何なら棍棒を奪ってフルスイングで相手を甲子園のバックスクリーンに叩きつけてやるからね(もちろんイメージです)。

最後にひとつ。アルテイシアさんの本を読んで新たな目標ができた。スウェーデン語を勉強することである。元会社の同期でフィギュアスケート(ダブルくらいなら跳べるらしい。すごい)とスウェーデンが好きな男の子がいるため、彼におすすめテキストを聞いたので近々購入予定だ。後輩を守るとは言ったものの、自分がボロボロになってしまっては何にもならないため、いざという時に国外脱出する準備をしたいのだ。

アルテイシアさんのご友人で「日本で子育てはできん」とスウェーデンに移住された久山葉子さんのエピソードを読んだらどうしてもスウェーデンに行きたくなった。フェルゼンよりアンドレ派だが。そして久山さんが私の大好きなレイフ・GW・ペーションの『許されざる者』(創元推理文庫, 2018)の翻訳者さんだと知り、もうこれは運命だと感じてしまったのである。現地の語学学校はきっとスウェーデン語と英語で授業が行われるだろうから、英語もブラッシュアップしないといけない。手元にあるフェミニズム本を翻訳してみようか。もちろんあちらでも生活費も貯めないといけない。そのためには健康な体づくりをしないと。

何もできないと嘆いたいたはずなのに、やりたいことが山積している。やはりフェミニストたるもの、長生きする必要がありそうだ。

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行田トモ

行田トモ(ゆきた・とも)

エッセイスト・翻訳家
福岡県在住。立教大学文学部文学科文芸・思想専修卒。読んで書いて翻訳するフェミニスト。自身のセクシュアリティと、セクハラにあった経験からジェンダーやファミニズムについて考える日々が始まり今に至る。強めのガールズK-POPと韓国文学、北欧ミステリを愛でつつ、うつ病と共生中。30代でやりたいことは語学と水泳。

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