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身体の話をしよう ①わたしはキレイ”だった”

行田トモ2022.02.28

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同じ講義を受ける男の子がコーヒーを買ってきてくれた。
どのショップに行っても「細いですねー」と驚かれた。
意中の女の子とデートする前日に男の子から告白された。
「行田は美人だから」「とってもキレイだし、これから何でもできるわよ」と言われた。

わたしはキレイ”だった”

ラブピ読者の皆さま、こんにちは。行田です。
今月から身体についていくつかお話しできればと思います。
なぜなら、自分の身体そのものが、今生きているわたしを最も悩ませるものだからです。

病に、脂肪に、他者からの視線に苦しめられつづけてきた、この身体の話を聞いてください。
福岡に来て約半年。毎日うんざりする量の薬を飲んでいても、うつ病は一向に良くなりません。11月に仕事を始めましたが、身体がついていかずに2日で辞めてしまって以降はほぼ寝たきりのまま、年末年始を過ごしました。ちょっと起きてテレビを見るのが精一杯。両親の前でさえ落ちつかず、かっこむように食事をしてはすぐに部屋のドアを閉める日々でした。

そんな生活をしていると、当然のように消えたくなってしまうのです。なぜ生きていかなければならないのか、この苦しさがいつまで続くのか。不安にどっぷり浸って、心身ともにボロボロになりました。
ある日、鏡を見たらそこにはくたびれ果てた自分の姿が。
伸び放題の髪、胸より出たおなか、正気のない目、荒れ放題の肌。

「もう終わってんな」

そう思いました。
ショックを受けたというより、「もういいや」と諦めたのです。もういいや。もうこのまま変われない。変わらない。何をしたって意味がない、と。
しかし、心のどこかでは傷ついていたのでしょう。不安が爆発したとき、わたしは泣きながらこう叫んでいました。

「あんなにキレイだったのに」

ボロボロを超えて、放心したように、母いわく「お人形のように」椅子に座って何もしない日が続きました。そのまま一月の大半を過ごし、かかりつけ医はわたしの薬を変える決断をしました。
新しい薬との相性はよかったようで、頭の中の雲が少し晴れたような気がしました。そして、ふと考えました。「これからどんな自分になろうか」と。そのまま答えが出せないでいます。
今の身体が居心地がいいかといえば、そうではありません。病気だし、太っているし、キレイじゃなくなってしまったし。自己肯定感ゼロの状態。どうしてこの身体を受け入れられるでしょうか。

わたしは過食性障害(Binge eating disorder)でした。嘔吐や下剤の使用といった代償的な行動を伴わずに過食を繰り返すため、「むちゃ食い障害」ともいわれます。最初は食欲が増して喜んでいました。痩せすぎだったので、体重が40キロを超えたときは嬉しかったのです。しかし、平均体重を超えても食欲は増幅する一方でした。

家にあるものを食べ尽くしてしまうと、Uberを3件ほど一気に頼んで過食をしました。それすらなくなったら、冷蔵庫の前でバターをかじり、キッチンカウンターの前にしゃがみ込んで、泣きながら粉のままのミロを食べました。東京で過ごした最後の2年で体重は20キロ以上増えました。その結果として、自分のイメージよりひとまわりもふたまわりも大きい、鏡を見るたびに「これがわたしなの?」と傷ついてしまうような身体になったのです。

でも、「キレイ」って何でしょう。
わたしの「身体」って何なのでしょう。
泣きながら「キレイだったのに」と叫んだ自分を振り返って、ひとつわかったことがあります。それは、わたしが他人からの評価にプライドや自尊心の大半を預けていたということです。しかも、「見た目」という非常に不安定で移ろいゆくものに。そして、それが崩れてしまった今、自分を大切に思えなくなってしまいました。

そう、わたしはフェミニストでありながら、ルッキズムを内包していたのです。

「ボディ・ポジティブ」という言葉が世に出てからしばらく経ちます。少しずつですが、「ひとつの体形だけが美しいのではない」という考え方を具現化するブランドが日本にも登場し始めたことを嬉しく思いました。自分は反ルッキズムの人間だと信じて疑いませんでした。
ですから、テイラー・スウィフトがNetflixのドキュメンタリー『ミス・アメリカーナ』で摂食障害だったことを語るシーンに深く共感しました。

テイラーは1枚の写真がきっかけで「太って見える」と落ち込み、食べずに運動をしたり、ライブ中に気絶しそうなことが普通だと思い込んだりしていたと過去を振り返ります。しかし、彼女は考えを変えました。

「食事は力の源で強くしてくれる ライブ後でもヘッチャラ 偉大なる新発見って感じだって今の自分でいられることが幸せなの もう気にならなくなったわ 太ったと言われても その方がずっと幸せだから 服のサイズも大きくなってよかった(サイズ00からサイズ6になったと答えています) 」

「ツラかった 本当にね じわじわ進むから(摂食障害に)本人は気づかないの 美しさの基準はひとつじゃない 痩せるとお尻もペタンコになる お肉がつけばいい形に でもおなかも出る 何が理想よ」

そう、理想の身体なんて存在しないのです。
皆がモデル体形を目指すなんておかしいし、人にはそれぞれの美しさがあって、それらは尊重されるべきものだと考えていました。
しかし、自分に対しては「洋服を試着して、入らない、なんてことはあり得ない」「何を食べても太らないのがいいこと」「キレイじゃなければ意味がない」と、ゴリゴリのルッキズムを押し付けていたのです。

後述する”摂食障害になりやすい心理傾向”にも含まれていますが、わたしは完璧主義者で「〜べき思考」と常に戦っていました。「女ならこうあるべき」「社会人としてこうでなければならない」などなど。こんなこと、友人には決して言わないのに、どうして自分を自由にしてあげられないのでしょう。大切な友人はわたしの見た目が変わったからといって異なる態度をとるでしょうか。信頼して仕事を任せてくれた人はわたしの能力なんて見ていなかったのでしょうか。太ってしまったからといって、それは自分を大事にしない理由になるのでしょうか。

答えは全てNOです。

友人はわたしの個性を好いてくれています。仕事を頑張れたことと外見は関係ないし、どんなわたしであっても大事なはずです。
頭でわかってはいても、実践はなかなか難しいです。難しいけれど、これは時間をかけてしっかり向き合っていかなければならない問題です。他人は許せても自分は許せないなんて、あまりにわたしがかわいそうじゃないですか。

どんな自分でも「これがわたしだ」と受け入れること。そのためにまずは真正面から自分と向き合うこと。ここからちょっとずつ進んでいきたいです。

最後に摂食障害になりやすい心理的傾向を引用します。個人的には、うつの傾向にも通じるものがあると思います。今、あなたが生きること、食べることで苦しんでいるのであれば、すぐにでも病院に行ってください。残念ながら、お医者さんとは合う、合わないがありますが、どうか諦めないで、あなたの言葉に耳を傾けてくれる人を探してください。

1.自分の中で決めた目標が高すぎる
2.「完璧主義」だったり、「〜べき思考」がある
3.人からの反応や批判が気になる
4.空気を読みすぎる
5.嫌でも「イヤ」と言えない(いわゆる「いい子」)
6.人間関係で自分が出せない
7.融通が利かない(真面目すぎる)
8.体の一部にコンプレックスを持っている
9.何らかの挫折体験がある
10.親と子の境界線があいまい
(『その食べ方、病気です!メンタルブロックを外して摂食障害を治す21日間プログラム』安田真佐枝著, 合同フォレスト株式会社, 2020 p.78)

次回は、他者の目線にさらされてきたわたしの身体についてお話しできればと思います。

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行田トモ

行田トモ(ゆきた・とも)

エッセイスト・翻訳家
福岡県在住。立教大学文学部文学科文芸・思想専修卒。読んで書いて翻訳するフェミニスト。自身のセクシュアリティと、セクハラにあった経験からジェンダーやファミニズムについて考える日々が始まり今に至る。強めのガールズK-POPと韓国文学、北欧ミステリを愛でつつ、うつ病と共生中。30代でやりたいことは語学と水泳。

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