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フラワーデモ名古屋が声をあげて2年半。

#MeToo#WithYou
私たちはもう黙らない。
泣き寝入りを強いられない社会へ。
声をあげた人が孤立することのない社会へ
(FLOWER DEMO NAGOYA Twitterより)

性暴力と裁判の不当判決に抗議する声があふれ出して生まれたフラワーデモ。その時間と出会いの数々、私たちの声、その声は社会を動かせる希望になった。
性犯罪規定改正の法制審議会の今後の動静が気になる今、ふりかえってみたい。

フラワーデモ名古屋はスタンディング&スピーチを心がけて毎月続けてきた。コロナ禍ではオンライン、Twitterデモにふりかえた。
31回目の10月は、秋空の下、日中の明るい日差しの中で30人が集まった。この日でスタンディングデモの参加者はのべ1430人。私が個人で参加した東京法務省前フラワーデモ(以下、FDと省略)、大津地裁前FD、滋賀FDの遠方参加を入れると通算34回だ。
FD名古屋は、メキシコのフェミニスト・アーティスト、モニカ・メイヤー氏が生んだ「Our Clothesline」グループが加わって、たくさんの人たちの声なき声をさらに可視化している。日常の抑圧や性差別への思い、経験が書かれたメッセージカードの展示は、フラワーデモの場で、「私たちは黙らない」声が共鳴しあい、相乗効果を生み出している。


写真:2021年10月10日(日)フラワーデモなごや
31回目スタンディング&スピーチ
FLOWER DEMO NAGOYA Twitterより
撮影:フラワーデモなごやスタッフ
上:スピーチする筆者 下:終了後の集合写真 (撮影可の人たちで)

2019年4月11日、夜の東京駅前行幸通り。

「あの晩、日本の#MeTooが大きく動いた」
(『フラワーデモを記録する』(エトセトラブックス刊)裏表紙より)

「花をもって集まりましょう」と。
今思い返しても、これは衝撃的な呼びかけだった。あの場にいなかったことを悔やんだ。

2カ月後の6月11日、名古屋で初めて開催したフラワーデモ。
不安定な空、天候が恨めしかった。TV6局、新聞5紙のメディアが取材に押し寄せて驚いた。フラワーデモへの注目の高さ、性犯罪報道の社会の変化を痛感した。
集まった参加者は150人。予定していた8人のスピーチが終わっても「私も」と声が続くのには驚いた。
#WithYouがあるから、#MeTooの声があげられる。本当にそのとおりだった。
こんなに待ってる人がいたなんて、もう黙りたくない、声をあげたい人がいたなんて。
花をもって一緒に立ちながら、胸が熱くなった。
途中から雨がひどくなる中で立ち続ける人たち、1時間半で中断を余儀なくされた第1回フラワーデモ。
「名古屋で#MeTooが動いた」夜だった。

天候による中止、コロナ禍のスタンディングの自粛と、毎回試行錯誤しつつ続けたフラワーデモ。一人じゃ無理だった。一緒に行動して声をあげるメンバーがいるから、そして参加者がいるから続けてこられた。シスターフッドを感じる場だった。

私たちの声は、確かに司法に政治に社会に、少なくない影響を与えたのは確かだ。
無罪判決3件のその後を記録しておく(一審で無罪確定した静岡の1件を除く)。
2020年2月福岡久留米事件の控訴審逆転有罪を皮切りに、3月名古屋岡崎事件、静岡の12歳長女への強かん事件も控訴審で逆転有罪となり、一審無罪を覆した。
「私たちの声を無視しないでほしい」
司法はこの声を無視できなくなったと感じた。
声をあげたら、社会は変えられる、そう思えた。
その後、加害者たちの上告は最高裁ですべて棄却され、2021年9月最後の1件が棄却されて、すべて有罪が確定した。私たちは勝った!



フラワーデモは誰もが安全で安心して参加できるよう、できる限りの配慮をしている。Twitterやメディアの撮影は個人が勝手に行わないのをはじめ、一人一人の気持ちを尊重した運営を心がけている。
自分のことをスピーチで話してくれた参加者に、取材を受けた人が何人かいる。
個別取材には主催側が関わることはせず、本人と直接やりとりするようお願いしている。
名古屋はたぶんほかの地域より取材が多い気がする。
テレビ番組や新聞で紹介された人、カメラが密着するドキュメンタリー番組で自分の姿を映し出した人もいるので、一部紹介したい。

『がらくた~性虐待、信じてくれますか~』(中京テレビ制作)は2020年の日本民間放送連盟賞テレビ部門グランプリとなった。 
何度もフラワーデモに足を運んで、静かにじっと話を聴いていたNamiさん。
ある日「私もスピーチしたい」とメールをくれた。そして、実の父親から受けた性虐待への思い、母親への思いを語ってくれた。
番組となった映像を見て、彼女のトラウマの深刻さに触れた。そのトラウマの記憶に苦しめられるありのままの姿をカメラの前に映し出して、私たちに「信じてくれますか」と問いかけている。
今、彼女は「雪花菜―きらずー」という近親姦の当事者の繋がりの場を生み出している。

「性虐待を受けた自分自身を切り離さなくてもいいように、人との縁を切り離さないように名付けました。」
(雪花菜HPより)

とある。

NNNドキュメント『ほころぶ~性暴力被害者 それぞれの一歩』も、ぜひ紹介したい。
フラワーデモで、16歳で受けた性被害を語ってくれた大学生のかや子さん。
番組では「自分の性被害を話さないといけない。話さないと私の中でつじつまが合わないから」と話し、同世代の性や人権に取り組む学生たちとつながってグループ「SEOセックスプロジェクト」を立ち上げ、「性被害者のその後の一歩」をふみだしている。
「ひとりじゃないよ」と、自分たちならではの言葉での発信の形は、
「#SEOセックス」安心して性知識が得られるサイトを検索上位に出してください!
インターネットで性に関するワードを検索しても、検索上位には、信頼できるサイトが表示されない場合が多いため、必要なときに必要な性の知識にアクセスできない状況を変えてほしいと要望書を出し、キャンペーン行動を展開している。

一方で、声をあげて裁判に立ち上がった人が、残念ながら、さらに二次被害や暴力的な苦痛にさいなまれる状況がある……忸怩たる思いでいる。
知人男性からのセクハラを民事で訴えたSさんは、反訴の名誉棄損で負けるという理不尽な判決だった。賠償金を支払えと、銀行口座を差し押さえるなど、相手弁護士は容赦のない強硬手段に出ている。傍聴席で聞いた公開弁論での人格攻撃は、弁護士の人格を疑いたくなるようなものだった。
判決後、「もう相手にしたくない、控訴はしない」と言っていたSさんが、「やはり」と気持ちを奮い立たせ、控訴に立ち上がる思いを固めた。
そうは言うものの「もう辞めたい」と漏らしたり……それが本音だろう、胸が痛い。
「公訴のこと、一度きめたからといって、相手にする値打ちもない奴らなら、いつだって引き返してもいい、やめてもいいと思う」
そう返した私に、
「控訴や訴訟手続きについて、一度決めて進んでる以上、もう引き返せません」
というSさん。返す言葉が見つからない自分の力不足が情けない。

岐阜地裁から名古屋高裁に書類が発送されたとの連絡が入った。
これから名古屋高裁で、Sさんの戦いが再び始まる。

フラワーデモで出会う人たちの回復と再統合への姿はさまざまだと痛感する。
一人ぼっちで閉じ込め、抱え込んでいた自分の声に向き合うことはたやすいことではない。でも、「私ひとりじゃなかったんだ」「黙らなくてもいいのかな」……声に出せる場としてのフラワーデモの場で、彼女たちが自分の扉を自ら開けていった。
秘密になんてする必要がなかった扉だった。

フラワーデモは、来たい人が来て、話したい人が話し、聴きたい人は黙って聴く。そんな場だ。
寄り添い、受け止め、見守る人たちのまなざしが、その人の輪が温かい包囲網のように包み込む光景だ。
好きな花をもって、自分の思いを語り、聴く、このゆるやかで温かい空間のフラワーデモが、私は好きだ。

性暴力をめぐる法律の現状は、まだ道半ば。
「性犯罪に関する刑事法検討会」の論議を反映した「被害者の立場に立った刑法改正」を見届けないといけない。
政治の場にジェンダー平等の議員を! 司法の場にジェンダー平等の裁判官を!

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具ゆり

具ゆり(ぐ・ゆり)

フェミニストカウンセラー
フェミニストカウンセリングによる女性の相談支援に携わっている。
カウンセリング、自己尊重・自己主張のグループトレーニングのほか、ハラスメント、デートDVやDV防止教育活動など、女性の人権、子どもの人権に取り組んで20年あまり。
映画やミュージカルが大好き。
マイブームは、ソウルに出かけてK-ミュージカルや舞台を観ること。

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