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NHKのドラマ10で『お母さん、娘をやめていいですか?』(1月13日初回 8回連続)が始まりました。ズバリのタイトルです。
「母娘がテーマ、信田さよ子さんが臨床心理考証を担当するんだって」という情報が回ってきました。信田さんは『母が重くてたまらない 墓守娘の嘆き』(2008)の著者です。
ここにきて「母娘」かぁ、観る価値ありかな~・・・、と思いつつもフェミカンでは「母娘」は重大テーマの1つですから。普段はもっぱら韓ドラ専門の私ですが、それなら、どれどれ・・と、期待値低めで、初回を録画で観ました。

(NHKのHPよりドラマ紹介文を転載します)
「複雑に絡んだ母娘の物語をサスペンスフルに描くモンスターホームドラマ」
「母(斉藤由貴)の呪縛から逃れようとする娘(波瑠)と、暴走していく母の火花の散るようなバトル。さらに、娘の恋人(柳楽優弥)をめぐる三角関係。二人を止められない父(寺脇康文)」
「その娘と母は一番の親友であり、まるで恋人のようだった。しかし、その蜜月は、娘がある男と出会うことで、一変していく。母娘の関係に目をそむけてきた父が、最後の希望を託したマイホーム」


「モンスターホームドラマ」がどういう意味かよくわからないけど、斉藤由貴演じる母がモンスターになるってことかな? それとも彼女がモンスターマザーとして登場することを言ってるのかな。これも新語でしょうか。「毒母」や「毒親」、モンスターペアレントもありますからね。

初回は、娘を溺愛(盲愛かな?)する母親の異常ぶりがクローズアップされています。「仲良し親子」というけど、実は娘はかなりの無理をしていること、母親に同調してきたこと、その弊害やストレスは、娘の心身の状態に表れていることアリアリ。徐々にそのおかしさに気づき始める展開を見せています。これがさらに、どのようにエスカレートしていくのか。そこはやはりドラマですから、フィクションとしての盛り上げはあるでしょう。もしかしたらありえない展開が待っているかもです。

私が一番印象に残ったことは、その母には実は「大嫌いな母」がいるという背景を滑り込ませていること。登場時間はわずかでしたが、私のように気づいた人はほかにもいると思いますよ。
母役の斎藤由貴にもモンスターマザーがいて、大空真由美演じるその母の姿はリアルそのもの。母娘問題の本来の怖さを示唆しているし、そのやりきれなさと歪んだ連鎖の形を見せようとしたことは、いけてるんじゃないかと思います。実際には、大空のような母親こそ、娘にとっては厄介で、自分を苦しめ続けた、どこにでもいそうな母親ですから。「母娘問題」の母親の姿の代表格ともいえるかな。こういう人は、娘にどれだけひどいことをしていたかなんて、ほとんど自覚していません。やっとの思いで訴えても、「そんな昔のことを、今さら」と一蹴されるどころか「育ててやったのに、その恩も忘れて」と泣かれたり。「自分は不幸だ、もう死にたい」と嘆いたり「あんたは私を裏切った」と責めたりと・・・。(あぁ、嘆息・・・)

ドラマは、そんな母に育てられたがゆえに、自分の子どもに歪んだ過剰な愛情を注ぎ続ける母親と、徐々にそんな母の重さ、母の呪縛に目が覚めていく娘。そんな展開を思わせます。

母のことで苦しんできたからこそ、母のようにはなるまいと自分を生きる女性がいる一方で、気がつくと嫌っていたはずの母と同じことをしている、と苦しむ女性もまた辛い思いを抱えているのです。

視聴者の声をみると、初回放送が終わった時点でかなりの反響です。世代を超えて、性別を超えて、やはりインパクトがあったようです。自分に起きたこと、その気持ちが寄せられています。男性の深刻さも無視できません。
ドラマを通して、自分の気持ちをかき乱されたり、何が起きていたのかを改めて悟ったり、生の反応にはその人のリアルが見えてきます。
「親との共依存だとはわかっているけど、その縁は切れない」と苦しんでいる人。「言いなりに生きるしかなかった、そのせいで自分の人生に破たんした」けれど、親を捨てるわけにいかないと呪縛から抜けられない自分と格闘している人。決して変わる人ではない親に、今も傷つけられ続けている人、「主人公の気持ちが痛いほどわかる」人・・・。

「母娘」が主訴の相談では、娘の側(被害者)が来ることがほとんどと以前にも書いたと思います。彼女たちの訴えに共通しているのは、「母に会いたくない。会っても話すこともない。顔を見るとイライラしてしまう。それでも会いに行かないといけないと考えてしまう。冷たい娘だといわれると、そんな自分がいけないと思える。小さいころから大切にしてもらった記憶はない。ひどい母親だと思うけど見捨てるわけにもいかない」
相談に来られるようなケースでは、こんな娘の訴えを、その母親は今も受け止めようとはしてくれません。それが現実です。

こんな親、変わると思う? 変わらない親だけど、関わらないわけにもいかないとしたら、どの程度なら関わっていいと思ってるの? したくないことと、してもいいことを仕分けてみようか。あなた自身が決めていいことです、どうなりたい?
「楽になりたい・・・」
何を言っても、おそらく話は通じない母と、ここまでよくやってきたね。ひどいこともたくさん言われてきたんでしょ? 「お前はブスだ、バカだ、何をやらせてもダメだ・・・」ひどいことをさんざん言ってきたくせに、「そんなこと、言ってない」「言うわけがない」・・・本人が何百回言われて傷ついてきたことなのに。それ、虐待だよ。
それって、親のすることかな? 自分のしてきたことに、本人は罪悪感のかけらもなくて、親の権威をあいかわらずふりかざして、あなたには娘としてあるべき姿をおしつけてくる。子どものころから、母の言うことをきくしかなかった、従うしかなかった、そうやって調教されてきた、プログラミングされてきたといえないかな? うまいんだよ、こういう人は。自分に都合のいいようにあなたを動かそうとするのがね。これは暴力の構造そっくり。被害者に罪悪感を抱かせて、自分は開き直って、責任転嫁するあたりがね。
親は産んだ以上、子どもを育てる義務があるの。育ててもらって当たり前。恩をきせられなくていいんだよ。あなたが母との距離をとりたい、逃れたい、と本音で思うのは、その種をまいたのは、母その人本人じゃない? だとしたら、母にはその結末を受け入れてもらいましょう。
あなたがたっぷり学習してきてしまったこのコントロール、母の呪縛から抜け出すのは大変だけど、ラクになろうよ。母からの脱出、そのために来たんですよね。


面接では、それぞれ固有の問題に違いはありますが、私のスタンスはこんなところです。

さて、ドラマの話に戻ります。これから母はどんなモンスターになっていくのか、そこが見どころでしょう。娘(波瑠)はどうやって自分の道をつかみとっていくのでしょうか?
リアルな相談と重ねながら、久しぶりの連ドラを通して、母娘問題を改めて考えてみたいと思います。

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具ゆり(ぐ・ゆり)

フェミニストカウンセラー
フェミニストカウンセリングによる女性の相談支援に携わっている。
カウンセリング、自己尊重・自己主張のグループトレーニングのほか、ハラスメント、デートDVやDV防止教育活動など、女性の人権、子どもの人権に取り組んで20年あまり。
映画やミュージカルが大好き。
マイブームは、ソウルに出かけてK-ミュージカルや舞台を観ること。

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