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もうすぐ世界メノポーズデー。正しいヴァギ活のすすめ。腟に安心なローションの成分を考えよう!

北原みのり2024.10.02

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 先日、百貨店のイベントに出店しているときのこと。
 イギリスの腟の保湿ローション「YES」が紹介されているチラシをギュッと握りしめたお婆さま(80代半ば頃だろうか)が、「これちょうだい! あそこが痛くて、血が出るのよ」と、私に声をかけてくれた。私が深く腰をかがんでちょうど目線があうくらいの小柄な女性。「血が出ているのですか、それは痛いですね・・・」と話しかけると、今もひりついていて、今すぐ今すぐにでもほしいの、ずっと我慢していたのよ、こんなものがあるなんて知らなかった、驚いて買いに来たのよ、と勢いよく話してくれた。まさに「チラシを握りしめて」来てくれたのだ。ラブピースクラブをやっていて良かったなぁと心から強く思う瞬間だ。( ↓ このチラシです)



 腟は乾く。
 その事実を私は50歳を過ぎて実感している。
 女性ホルモンが急激に減っていく年頃の全ての女性が経験することとはいえ、実はあまりこの話、女性どうしの話にも出てこない。なぜかといえば、多分、「腟が乾いていることに気付いていない」という女性が多いからではないかと思う。

 アラフィフの女たちの性の会話といえば、「性欲がなくなっちゃって、つまんない」または「性欲がなくなって、楽になった」などの性欲を巡る立ち場表明だったり、「生理がなくなって、気楽〜」という話の方がリアルだったりする。だいたいパートナーと継続的にセックスをし続けている女性は激減している(ご新規がいる方は別として)。性欲が薄れた上にセックスもマスターベーションの数も激減している状況で、しかも閉経をしていたら、そもそも自分の腟に指を入れる機会がなくなる。つまり乾いていることに気が付かないのだ。

 だから腟が乾いていることに気づくのは、久しぶりに性交したときに入らなかったり、排尿・排泄のトラブルが起きたときだったり、腟の萎縮による炎症で痒みや匂いのトラブルがあったときや、子宮脱(子宮が降りてくる)や、腟の粘膜が薄くなりすり減り血が出てきてしまうようなトラブルが起きたときだ。
腟なんていつも湿っているものでしょ! と信じていた若い頃には考えられないことが、閉経以降に訪れるようになるのだ。

「生理でもないのに腟から血が出る?」「腟から子宮が飛び出す?」 そんなばかな! と20代の頃には想像できなかったことが、「実はとてもよくあるフツーの加齢話」として聞こえてくる。程度の差はあれ、加齢していく上でフツーにおきる自然現象だけれど、経験する側としては「人生初の体験」だ。とても怖いし、不安になる。

 いやほんと、若い時には想像できないことが面白いくらいに40代後半くらいからやってくるのだ。今思えば、40歳になったときに大騒ぎして「40歳になりました!不惑です!」みたいなことを言ってた自分が小娘に思えてくる。モノを知らない小娘だよ!  50歳を超えて思うのは、大騒ぎすべきは50歳なのだ、ということだ。でも50歳になると、騒ぐ気力がでないのである。自分の身体に起きる変化についていけなくて大騒ぎしたいのに、できないのである。

  話がずれてきたけれど、そう、腟は乾く。
     女の摂理として乾く。
     そしてもちろん、乾いた腟は潤すことができるのである。人の知と技術で腟は潤う。21世紀の真理だ。

 と、こういうことを私はお店に立ったときに同世代の女性によく話すのだけど、それでもガンコな女の人はいて、「でももうセックスしないし、今困ってないし」とか「乾いているかどうか、わからないし、あまり考えたくない」と拒否されることは少なくない。悲しい。それはその人にとって腟が、自分のものではなく、ペニスを入れるもの・・・という存在だと言われている気がするからだ。悲しいですよ。

 セックスしようがしてまいが、潤ってた方がいいに決まってるのにね。口のことを考えると、よくわかるかもしれない。口腔が乾くと痛いように、腟も痛い。口腔が乾くとpHバランスが崩れ虫歯菌が増えるように、腟が乾燥するとpHが崩れるとトラブルも発生する。口腔が炎症すると生活の質がぐんと下がるように、腟のトラブルは日常生活に支障を来す。粘膜は潤っているべきなのだ。口と同じように腟もケアが必要だ。

 だから。セックスしてもしていなくても、腟のケアは日々の習慣としてやりましょう! と「もうセックスしてないから」と逃げる女の人を私は追いかけたくなるのだ。
 なんでも「○活」というのはバカバカしいと思し、婚活とか、妊活とか、若い女性にプレッシャー与えないでよ! と思うけれど、ラブピとして声を大にして宣言したいのは、ヴァギ活はやった方がいい、ということだ。ヴァギ活とは、ヴァギナを幸せに潤す活動である。私が20代の時に「女はバイブを絶対に使った方がいい!!!」と確信してバイブ屋を始めたように、50代の私は「女は絶対ヴァギ活した方がいい!!!」と確信をもって全国民に伝えたい、という気分なのである。ほんとよ。

*9/19-22 あべのハルカス近鉄本店のイベントでフェムケアセミナーで腟の健康について熱弁ふるいました。全てはヴァギナのハッピーのためよ。

 もうすぐ、世界メノポーズデー(10月18日)である。
 昨年の世界メノポーズデーで、ラブピースクラブでは全国の40代〜50代の女性1000人にアンケートを採った。私は最初、この世代の悩みの一番は尿漏れなのかな・・・と思っていたのだが、蓋を開けてみれば一番大きな悩みは性交痛だった。3割の女性が性交痛を感じていたのだ。そしてさらに驚いたのは、性交痛に対して7割の人が何も対策をしていないことだった。性交痛とは、腟の乾きの問題そのもの。そしてその対策の術を、未だに多くの女性が知らないということなのだと思う。

 冒頭の80代の女性が求めてくれたYESは、まさに「腟の乾き」という概念をイギリス社会で一般的にしたブランドだ。



 創設者の女性二人、サラとスージーは、もともとファイザーという製薬会社でバイアグラをローンチしたチームにいた化学者。バイアグラが発売された後に、中高年男性のパートナーの女性たちが性交痛に苦しみ、なかには離婚にまで発展したケースが後を絶たなかったという。そこで二人はファイザーを辞め、女性の膣を潤すものは何か・・・を模索してつくったのがYES。今、イギリスでは性交痛は治療の対象であり、実際にイギリスの病院ではYESが潤活剤として処方されている。すごいのよ、YES。

 残念ながら日本では未だに腟の健康についての概念は乏しく、そもそも腟に入れるのに「どんな成分が相応しいか」という研究はほぼない。「グリセリン」はカンジダ菌を増殖させるリスクがあったり、「パラベン」はホルモンに影響させるから、腟に入れてはダメよ・・・という安全基準すらなく、今も日本の腟潤活剤には当たり前のようにそれらの成分が使われている(顔に使う分には悪くないのだけど、腟には向いてない)。
 というか、それ以前に腟に使うにはリスクの高いポリアクリル酸のローションが、フツーに売られていたりする(ポリアクリル酸は腟に吸収されずに粘膜に張り付くので、腟の本来の水分を奪い腟を乾燥させる。粘度の強いポリアクリル酸ローションを頻繁に使うと腟の痒みや炎症などが起きます。よほど健康で頑丈な腟でない限り使わない方がいい)。ラブピースクラブには性産業で働いている女性から、お店で支給されるローションがキツイ・・・と自費でYESをご購入して下さっているお客様がいる。ボーイフレンドがもってくるローションを使って腟の痒みが止まらないという女性は本当にたくさん・・・たくさん、いる。
   ペニスの滑りを第一に考えた潤活剤に腟が苦しめられるなんて、冗談じゃないですよね。腟の健康を第一に考えたローションを私たちは選ぶべきですよね。

・・・と、ローションに関しては本当に言いたいことがたくさんあるのだけれど、まずは私たち自身が自分の腟の健康に向き合う姿勢で、腟を潤すヴァギ活しよう! 世界メノポーズデーをきっかけに、メノポーズ世代の女性たちが楽しくヴァギ活することを望みます。

 今週発売のAERAは更年期特集を組んでいます。特集のなかでメノポーズカウンセラーであり、美容家の吉川千明さんと対談しました。ぜひ手にとっていただければ!

 では復習。
 ヴァギ活の第一歩はまず保湿。
    毎日のお風呂あがりに、pHを整える優しいソープで外陰部を洗い、お風呂後にはウォーターベースのYES VMを指にとり、腟の中に指を入れて軽くマッサージ。


https://www.lovepiececlub.com/shop/products/detail.php?product_id=3779

YES VMは、名前の通りVagina(腟)をMoisture(潤す)ローション。イギリスでは婦人科で処方される医療用品として使われている。腟の乾きに苦しむ全ての女性に、ホルモン治療などで苦しんでいる女性に、肌が敏感な女性に、人類が長年使ってきて安全が証明されている成分だけでつくられています。イギリスの国が認証するオーガニック認証SOILを受けていて、これは世界で最も厳しい基準のオーガニック認証。全ての成分がトレースできるという厳しい基準なので安心して使えます。安全基準にかなり厳しいからこそ、腟に優しいのです♡

VMの後には、シアバターベースのYES OBでさらに膜を張るようにケアすると完璧です。痛みがある時、痒みがあるときは、VMを使わずに、そのままOBを塗るのもオススメです。冒頭の女性のように血がでている時は、OBでまず腟をカバーし保護するのがオススメです。


https://www.lovepiececlub.com/shop/products/detail.php?product_id=3777

シアバターは肌の乾燥を防ぐためにアフリカで古来から使われてきました。YESは、ブランドとして香料は基本的に使わないという方針。腟の粘膜に香料、必要ないよね、という考えなので、これもナチュラルなシアバターの原始的な香りそのままです。使い続けるうちにしっとりと腟がやわらかくなるのを感じられると思います。

 腟の中から身体を変える、という感じで、楽しくヴァギ活していきましょ。

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北原みのり

北原みのり

ラブピースクラブ代表
1996年、日本で初めてフェミニストが経営する女性向けのプレジャートイショップ「ラブピースクラブ」を始める。2021年シスターフッド出版社アジュマブックス設立。
著書に「はちみつバイブレーション」(河出書房新社1998年)・「男はときどきいればいい」(祥伝社1999年)・「フェミの嫌われ方」(新水社)・「メロスのようには走らない」(KKベストセラーズ)・「アンアンのセックスできれいになれた?」(朝日新聞出版)・「毒婦」(朝日新聞出版)・佐藤優氏との対談「性と国家」(河出書房新社)・香山リカ氏との対談「フェミニストとオタクはなぜ相性が悪いのか」(イーストプレス社)など。

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