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浦安市の「卵子凍結」支援政策に待った、の声。 産む・産まない、決めるのは誰?

栗林デバ子2015.02.09

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去年ぐらいだったでしょうか。
米IT大手のアップル社とフェイスブック社が社員の卵子の凍結保存を資金面で支援することにした、というニュースが出てました。
社員の配偶者や契約社員まで認めるかどうか、養子縁組についても支援するのかどうかなど、条件面で少し違いはあるようですが、両社とも優秀な社員を引き留め策のひとつだそうです。すごいっ!!自分の会社の資産は「人」だって思ってるんだね。そこには女性も入っているんだ。本気なんだ、と感動しました。
で、日本でも今年になって、千葉県浦安市が健康な女性の卵子凍結を支援する取り組みを始める、と発表しました。自治体として全国初めての試みで、実現すれば100万円近くかかる凍結費用が自己負担30万円程度で済むようになるそうです。男性の精子保存についても検討中だそう。
結婚してる、してないにかかわらず、女の人なら(男の人もそうかも)一度は、人生において子どもを持つかどうかを考えたことがあるんじゃないでしょうか。
でも当たり前のことだけど、生物学的な産み時と、自分的な産み時がぴったり重なるのか。そこが難しい。パートナーのこと、仕事の状況、そう単純じゃないです。
すでに複雑な状況下で、選択肢が一つでも増えることは、女の人を自由にするんじゃないかなと思いました。
ところが、この浦安市の卵子バンク構想について、日本産科婦人科学会(苛原稔倫理委員長)が「健康な女性の卵子を凍結することは推奨しない」という声明を出したんです。
理由は2つ。①卵子を凍結保存しても将来妊娠できる可能性は低く、有用性がはっきりしない ②妊娠を先送りすることで出産年齢が上がりリスクが高まる、からだそう。
うーーん。この声明を聞いて、ちょっと考えてしまいました。
確かに通常の卵子よりも凍結した卵子は、着床、妊娠する可能性は低くなるのでしょう。でも一方で、現在不妊治療中の「既婚女性」やがんなどの治療で卵子が影響を受けるおそれのある女性については、日本産科婦人科学会も認めているわけです。
病気でやむをえないと判断した女性については認めている方法を、健康な女性には「有用性がはっきりしない」とストップをかけるのはどうなんでしょうか。
しかも、民間の卵子バンクが開くセミナーに参加する女性はけっこういて、関心を持っている女性は現状として多いわけですよ。
2つ目の出産年齢があがることでリスクが高まる、というのは当たり前っちゅーか、だいたいの人は「そんなこと知ってるよ」という話じゃないですか。
誰も卵子凍結が低負担でできるようになったからって、安心して「ゆっくり老後にでも産むか」と思うはずないでしょ!
実際、浦安市も晩婚化、少子化が進む厳しい状況のなか「選択肢を増やすことにつなげたい」という思いで取り組みを検討しているわけで。
そしてもうひとつ。デバ子がこの手の妊娠、出産の問題に対する“エライ方々”の見解に疑惑の目を向けてしまうのは、日本が女性の自己決定権を認めることを徹底して避けてきたから。
ご存じの方も多いと思うのですが、日本で低容量ピル(経口避妊薬)が認められたのは、先進国ではもっともおそい1999年のことでした。
これだけ妊娠中絶が多い国で、21世紀になる直前まで基本的に避妊するかどうかは男任せだったんです。解禁されてからも「太る」「浮腫む」など副作用のことばかり過剰にメディアには取りあげられた気がします。解禁はされたが、飲まないほうがいいといわんばかりに。(ED改善薬、バイアグラはあんなにすみやかに承認されたのにね!!)
しかもたちが悪いことに、それら忠告の多くは「女性の体のことを心配して言っているのだよ」というロジックだった気がします。
日本産科婦人科学会の見解にも、「女性の出産のリスクを心配しての忠告」なのだという裏側に、男たちの「女性に妊娠、出産の自己決定権をゆだねたくない」という匂いを感じてしまうのです。(既婚女性でないと、不妊治療の補助を受けられないというのも、独身女性がどんどん一人で生み出すと困る、という男側の論理な気がするし)
心配の仮面をかぶった脅しって、ほんと怖いですね。
希望者が増えれば凍結技術も向上していくでしょうし、税金で補助するのかどうかは、浦安市が(ひいては日本が)が本気で少子化に取り組むのかにかかっている気がします。

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