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「なりたい自分」になれても、過去は変わりませんから!

2016.03.17

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 玖保樹です。いや~ショーンK氏、やらかしちゃいましたねえ。見た目的にはストライクゾーンではありませんでしたが、報ステを見るたびに「ああ、いい声」と思っていたので、私もビックリしています。
 ハーバード・ビジネススクール出身のMBAホルダーという華麗な経歴はウソで、本名もショーン・マクアードルではない模様だとわかり、「え?」と思った人は多いことでしょう。「報ステは出演を依頼する前に経歴を調べなかったのか!」という声もありますが、昭和の人権侵害的な「就職時の身元調査」じゃあるまいし、いちいち問い合わせることはしなかったはず。そう考えるとたまに耳にする「歌手の××と同級生だったけど、すげえ変なやつだった!」とか、「女優の○○って、男と女で態度が違ってクラスの女子から嫌われてた!」といった話は、逆に言えば「ちゃんとその学校に存在していた」ことの裏付けになるのかもしれません。

 ウソの自分でメディアに登場することに、後ろめたさはなかったのか。これは私の推測でしかありませんが、おそらく本人が一番「俺ワールドこそがリアルワールド」だと思い込んで疑わなかったのではないかと思います。私も週刊文春の記事をもとに書いているので、直接取材したわけではない。のであくまで憶測にすぎませんが、「なりたい自分」に近づこうとするあまり、「なりたい自分が本当の自分」だと錯覚するようになってしまった。つまり本人自身が「俺って稀代の詐欺師だよなあ」という自覚や後ろめたさはなく、「そういう人間」だと信じてやまなかったのではないでしょうか?

 現実の自分のイケてなさを克服するために外見を磨いたり、勉強したりメンタルを鍛えようと自己啓発セミナーに通ったり、挙句の果てには一念発起して海外に居を構えたりと、「こうなりたい」に向けてセルフプロデュースするのは、素晴らしいことだと思います。でもそれはあくまで「イケてない自分を未来に向けて克服する」ためであって、過去の事実は、覆ることは決してありません。ショーンK氏も「熊本から上京してド根性で成り上がった、高卒の経営コンサルタント」としていたら、ツッコまれなかったかもしれません。でもこれじゃあまるで田中角栄か『いなかっぺ大将』の大ちゃんみたいで、泥臭いったらありゃしませんねえ。洗練された外見と声、そして誰もがうらやむような素晴らしい経歴があったからこそ、メディアが出演をオファーしたのは事実だろうし。

 あと「どうして誰もが、彼の話を鵜呑みにしていたのか」という意見も耳にしましたが、もしかしたら彼のウソを、皆どこかで信じたがっていたのかもしれません。
 たとえば私の周りにも、週刊実話あたりで仕入れてきた知識をもとに「ヤンチャしてた俺の武勇伝」を語る男がいます。私は別の人から彼の過去を聞いていたので、「あーまた始まったよ」とスルーしていますが、何人かの友人は「すごいね~」と楽しく聞いています。一度たまりかねて「あいつのあれ、全部ウソだから」と指摘したことがあるのですが、友人たちは「そうなんだ~」と言いながらも、あまり気にしている風ではありませんでした。私はこの時、悟ってしまったのです。「愉快な話を聞いて楽しくなれれば、それがウソでも関係ない」と思ってしまう瞬間が人間にはあることを。彼女たちにとっては、彼の話が真実かどうかよりも、「彼が私たちを笑わせてくれる」ことの方が大事なのでしょう。まあ確かに恋人でもなんでもない飲み友程度の間柄だし、そのウソが彼女らの人生に悪影響を及ぼすこともないだろうし……。
 おそらくショーンK氏の周りの人や応援していた視聴者は、「こういう人がいたらいいな」を地で行く彼の姿を、自分の心を満たすために見ていたかったのでしょう。実は私も、ちょっと見てたかったです。すいません。でもこうしてウソが暴かれると、なんだかいたたまれない気がしますね。だって画面を通して見ているこちらも、彼に「熊本から上京したド根性」を求めていなかったからこうなったのでしょうし。なんだかんだいっても結局は学歴や外見、経歴や資産で相手を判断してしまうところがあるのでしょう。私も反省しきりです。

 人間って、「なりたい自分」に万一なれたとしても、その姿に憧れていた過去は消すことはできない。そしてそれ以上に、「なってもいないのになったと思い込む」のが一番カッコ悪いことだと、彼は身をもって教えてくれた気がします。酒飲みタイムの武勇伝程度ならギリギリ許されるかもしれないけれど、他人の人生や仕事(この場合は彼が関係していた各番組のスタッフやスポンサー、本当にコンサル業務をしていたのであればクライアントなど)にも影響する類のウソは、「実は盛ってました」では到底済まされません。そしてちょっと前にも書きましたが、やはり「地道に勝る宝なし」なのかも。まだ3月なのに、2016年の教訓がすでに決まった気がします。

 とはいえ「いい声」という武器は偽装のしようがないので(アテレコするほうがよほど手間もコストもかかるから、さすがにそこまではないと思います)、それを活かしてショーンK氏には、今後もナレーターや声優などにはチャレンジして欲しいと個人的には思うのだけど、どうでしょう? 皆さんはどう思うか、今度機会があれば教えてください!

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