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小さい自己決定を積み上げていくことが、生きる力になっていく!

栗林デバ子2016.05.06

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 最近、視覚障害者のメイクについて関心をもっています。
 今まで知らなかったのですが(というより関心を持ってこなかったっていうのが正しいのかも)、視覚障害者って多くの人が化粧をしていないんです。
  日本眼科医会によると、全盲でなくても、視野が狭かったり、色覚(色を見分ける力)が低かったり、日常生活に不自由さを感じる感じるロービジョンの人は全国に160万人程度いると言われています。
 ざっくりいえば、そのうちの半分が女性。先天性の人だけでなく、途中から病気や事故でロービジョンになる人もいる。その方たちがお化粧をしたいと思っても、周囲からは「見えないんだし必要ないんじゃない?」「メイクしなくても十分キレイよ」「お化粧なんて必要ないわよ」そう言われてしまい、そのうちに「化粧をしたい」という気持ちそのものを心の中にしまいこんでしまうんだそうです。

 その話を視覚障害者の方から聞いた時、ああどんな抑圧も構造は一緒なんだなぁと思い、心が痛くなりました。
 決して意地悪で厳しい言葉じゃない。「あなたのためを思って」吐かれた一言や、その人なりの思いやり、時に優しい言葉が、じんわりとその人の欲望や自己表現をあきらめさせたり、チャンスを奪っていくんですよね。

 もちろんケアに携わる人や周囲の人の中にも悩んでいた人は多いのかもしれません。
 ただ、化粧はファンデーションがムラなくキレイにのばせるか、似合う色のリップをはみ出さずキレイにぬれるかなど、視覚に依存する行為。絶対に視覚障害者の人はできないと思いこんでいた。
 いま日本では化粧訓練士の大石華法さんという女性が視覚障害者のメイク法「ブラインドメイク」を発明し、普及に取り組んでいます。技術を身につければ、視覚にとらわれず、視覚障害者は1人でもメイクができるようになるそうです。

 メイクをした視覚障害者は、たとえ自分でメイク後の顔を確認することができなくても、指や手のひらで自分の肌の柔らかさ、なめらかさを確かめ、大切に自分の顔を扱うことで自分っていいな、愛おしいなって自分を慈しむ気持ちや自己肯定感が高まると言います。家族や友だちから「すごくキレイ!」と褒められたり、周囲から親切にされることで自信を取り戻し、うつむきながら歩いていた人もメイク後は晴れやかな表情で顔を上げて帰って行くそうです。

 そんな話を聞くうちに、その気持ちわかる!わかる!って涙が出そうになりました。
 これは視覚障害者だけの問題じゃないって。

 女性もどれほどのことを社会から「女だからバカでいいのよ」「勉強なんかしなくていいのよ」「女は可愛い野が一番」とか、時に優しい圧力でいろんなチャンスを奪われてきたことか。
 デバ子自身は(って、自分がふだんメイクをどう考えてしているかを考えたえことがなかったことにも気づかされたんですが)、人がするのを見るのも自分がするのも好きな方だと思います。韓国に行けば安くて可愛い化粧品を探しちゃうし、季節ごとに新商品が出ると気になったりする方です。
 でもメイクをし始めたころ、親に「色気づいてる」って言われて、すごく恥ずかしいことをしている気持ちになったことや、知り合いに「化粧うすいよね」(←けっこう自分ではちゃんとフルメイクしているつもりだった)と言われて、もっと濃い方がいいのか?と悩んだりとか、自由な気持ちでメイクを心から楽しんできたかというとそうでもなかった。

 きっと目が見える人たちの中にだって、他者のふとした一言で、自分の中の「メイクをしたい」って気持ちにフタをしてしまった人も多いんじゃないでしょうか。
 逆に、まったく化粧に興味がないのに、「社会人なんだからすこしは化粧しろよ」って女性だからという理由で身だしなみとしてのメイクを強要されて、すごくイヤな気持ちになる女性がいるのもよくわかります。
デバ子はメイクは好きだけど、ストッキングは大っ嫌いです。もちろん単純にキレイに見えるからってことではいてる人もいると思いますが、「生足を見せちゃいけない」ってことであの変な薄い布を纏わなきゃ行けないのかと思うと本当にいや!

 いずれにしても、化粧もストッキングも、するもしないも自分で選ぶことができない、ってことがイヤなんだ。きっと化粧をするという選択肢を持った上で、「私は素顔でいい」って決めた視覚障害者の人はきっとうつむいていないはず。
 そういう小さい自己決定を積み上げていくことが、「自分は自分の思うように生きることができるんだ」って自信や生きる力になっていくんだなぁって思いました。

 ちなみに、大石さんのもとにはLGBTや男性もメイクを習いに来ているそうです。
 そう、メイクって目が見える人だけのものでも、女だけのものじゃないもんね。

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