ラブピースクラブはフェミニストが運営する日本初のラブグッズストアです。Since 1996

  • TOP
  • 立ち止まったままの男性の表現と、前に進む女性の表現

立ち止まったままの男性の表現と、前に進む女性の表現

2017.07.25

Loading...


 暑中お見舞い申し上げます。
私生活では断酒を強く誓う出来事が起きた、反省部屋行きの玖保樹であります。

 さて皆さん、壇蜜の「上、乗ってもいいですか?」だのサントリービールの「コックゥ〜ん! しちゃった……」だの、相も変わらず女性蔑視表現が生産されまくりな今日この頃ですね。ご存知ない方に一応説明します。まずは宮城県や仙台市などで作られている、仙台・宮城観光キャンペーン推進協議会の「仙台・宮城『伊達な旅』夏キャンペーン2017」のPR動画に壇蜜が起用され、これがまたセクシャルメタファー満載の内容だったんです。そして「コックゥ〜ん!」は『頂』という新商品のWEB CMで、これまた女性に性的にしか聞こえないセリフを言わせて1日で打ち切り、ということがあったんですよ最近!

 そして極めつけが、7月3日発売の週刊少年ジャンプに掲載された『ゆらぎ荘の幽奈さん』の巻頭カラーでしょうか。登場人物の美少女たちの水着がはだけて全裸になり、でも局部は見えない不思議状態で描かれていたのです。しかも話の展開にどうしても必要、というわけでもなさそうな「ラッキースケベ」(たまたまそうなっちゃったスケベな状況)で……。ジャンプは以前も女性の性に関してやらかしているのですが、教訓が生かされてないことに私はがっくりきました。またこの作品に対し、「息子には読ませない」と言った弁護士の太田啓子さんはじめ、異を唱えた女性たちへバッシングも起きました。批判的な人たちを「ラディフェミ」と呼び悪質クレーム扱いして、挙句の果てには「子供はエロで育つのだから」と、怒るお前らがおかしいと言いたげな言説まで飛び出し……。まさに「やれやれだぜ」ですよ!

 私がわざわざ言うことではないですが、これらに怒っているのは別にセックスフォビアだからでも、表現の自由を奪おうとしているのでもありません。娯楽や商品を売るために性を消費するコンテンツを作るのって、ちょっと卑怯じゃないの? ということです。それこそ内臓見せて周りをびっくりさせて注目を集めるのと、どう違うのか。

 そんなこんなのこの7月。だったけど私は同じ時期にフィール・ヤング(祥伝社)という女性マンガ雑誌を手に取り、別の衝撃を受けました。
 まずドラマにもなった『あなたのことはそれほど』(いくえみ綾)の、最終回が載っていました。結婚してもなお運命の人を追いかけまわす主人公・美都を波瑠が演じ、一見よくできているけど、彼女を色々な意味で支配しようとする夫・涼太を東出昌大が演じていたので、見た方も多かったのではないでしょうか。
 運命の人・有島くん(既婚者)を追いかけまわし、離婚した彼女を待っていたのは、長らく反目していた母親の介護でした。病院を出た彼女は「あーあ 今日も家に帰って寝るだけか。ま、それもいっか」と1人つぶやきます。
 決して結婚が幸せで、離婚が不幸だとか言うつもりはありません。ただ、美都の目の前にはキラキラしていない現実があって、彼女はそれと向き合わざるを得ない。ドラマの美都が「自分を大事にする」ことを選び、葛藤を乗り越えたように見えたのと比較すると、結構しんみりした感じでした。

 私は高校生の頃、よく授業中にひざの上に別冊マーガレットを置き、こっそり読んでました。当時好きだったのは、くらもちふさこに多田かおるにいくえみ綾。なかでもいくえみ綾の描く『POPS』などのキラッキラの青春モノにハマった私は、男友達にも無理矢理読ませてたほどでした。
 そのいくえみ綾は今や、キラキラしていない大人の女の現実を描いている。いつまでもいつまでも少年マンガがおっぱいやお尻やラッキースケベにこだわっているのに比べると、どうでしょうこの進化ぶりときたら。
 そしてこの号では16年ぶりに『ハッピーマニア』(安野モヨコ)の続編、『後ハッピーマニア』が始まりました。『ハッピーマニア』といえば、ひたすら恋を探し求める「シゲカヨ」と、彼女に面倒を押し付けられる東大生の「タカハシ」、年上の友人「フクちゃん」とその恋人「ヒデキ」が織りなす暴走恋愛劇で、最終回でシゲカヨはタカハシと結婚したのですが……。


 45歳になったシゲカヨは無職&離婚危機と、ひとつも笑えない状況に陥っていました。フクちゃんも58歳美魔女にヒデキと息子を奪われそうだし、なんなんだこの2人は! 結婚したってちっとも幸せじゃねえ!
 でも人生って割とこんな感じかも。少女マンガを読んできゅんきゅんしていた私たちにも、別れやパートナーとのイザコザや親の介護は、もはや身近な存在になってしまってますよね。そういう「キラキラしていないもの」を、憶することなく描く女性向けマンガの作家に比べて、男向けコンテンツのエロ頼みとは。なんと寂しいことよ……。
 つーことで寂しいついでにオチ無しっぽくてすいません。今回はこれにてドロンします。

RANKING人気記事

Follow me!

  • Twitter
  • Facebook
  • instagram

TOP