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#With you で、セクハラをスルーしてきた自分をようやく許せた

2018.05.17

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 5月15日、厚生労働省内でおこなわれた『メディアで働く女性ネットワーク』の設立会見に参加してきました。
 同ネットワークは福田淳一前財務事務次官のセクシャル・ハラスメント問題を機に、新聞・テレビ・出版・ネットメディアやフリーランスで働く女性たちが集まり、5月1日に結成されたものです。5月15日時点で31社とフリーランス合わせて86人の会員が参加していますが、代表世話人の林美子さんはネットワーク立ち上げのきっかけを、「『福田氏のセクハラ、酷いね』という話を仲間としていた際、麻生財務相や安倍首相にきちんと申し入れをするのであれば団体を作ろう……という流れで生まれた」と説明していました。

 メディアで働く女性は増えたものの、女性記者は記者全体からするとわずか2割で、2017年時点の日本のジェンダーギャップ指数は世界144か国114位。女性が働くにはまだまだ、この社会には壁があります。でも
「女性たちが政治や経済、文化などあらゆる分野で活発に報道していくことは、多様な視点を社会に提供し、誰もが生きやすい社会を作ることに繋がります。さらに女性がメディアで働きやすい環境を作ることは、憲法21条が保証する報道の自由と知る権利を守り、ひいては民主主義社会の根幹を強化していくことーー」
と、このように記者会見では設立の趣旨が語られました。
 さらに会員たちがこれまでに受けてきた「自治体幹部に無理やりキスをされた。それを先輩に打ち明けたら、彼女も同じような目に遭っていたと知り愕然とした」などの、被害の実例報告もありました。

 以前もちょっと書きましたが、玖保樹自身も、仕事の現場でこれまで数々のセクハラに遭ってきました。
 最初に「これは……!」と思ったのは大学時代。某スポーツ関係のメディアでアルバイトをしていた時のことでした。バイトを始めて間もない頃、隣席のデスクが突然私の頭をむんずとつかんで、自分の股間ギリギリに寄せたのです。「えー!」と叫んだらすぐに解放されましたが、デスクは終始無言。その後はニヤニヤしながら仕事を続けてましたっけ。この部署では他部署の女性バイトや来客を見ては、社員男性が「美人」「ブス」と言い合うのがお約束で、そのへんにエログラビアを載せる週刊誌がゴロゴロ落ちてました。いくら友人の紹介とはいえ、なんなのこの会社……? と思っていた矢先、バイトリーダーの女性・Uさんが私にこう言ったのです。「ここはセクハラパワハラ当たり前だけど、すぐ慣れるから」と。

 就職して1年目の頃、編集作業が深夜に及んだ際にある先輩から「お前、俺とセックスしない?」と突然言われました。ちなみにこの方、当時結婚したばかり。私が「えっ?」と言ったきり固まったら、やはり何事もなく業務が続いていきました。
 その後も30代ぐらいまでは色々あり、酷い場合は当時のパートナーの上司にタクシーの中でホテルに誘われたり「ダメなら手ぐらい握らせてよ」と言われたりと、まー散々でしたよ。で、私はどうしてきたか。はい、Uさんに言われたとおりすぐに慣れました。下品なトークは耳に入れないふり、何を見せられようが淡々と仕事をこなせるようになりました。自分に矛先が向いたら「まあまあ」と言って逃げるか、「えーやめてくださいよ(笑)」で終わり。誰かがそれをされていてもスルー。それどころかかつてのUさんのように「仕事の現場ではセクハラパワハラ当たり前!」と勝手に決めつけて、被害を訴える人を「耐えられないなら辞めれば?」と思い、自分はそっち側ではないからうまくやれていると錯覚していました。まあなんというか私は、それは見事な「くされ名誉男性」になってしまっていたんです。

 でも数年前から女性の人権侵害や性暴力被害を取材をする機会が増え、それと前後して#me tooの声が耳に届くようになると、誰かが受けた被害だけではなく自分の傷も、見えてくるようになりました。平気だと思っていたけど、実は見ないようにしていただけ。それを改めて見つめる作業は、ハッキリ言って辛かった。と同時に、私を守ってくれなかった周りに対しての怒りがふつふつとわいてきたのです。

 フリーランスになってから私は、自分で自分を守るしかなかった。だから時には、「え~」とか言ってセクハラを意識的にスルーしてきた。だって干されたくなかったし、私の歴代担当や編集長はほぼ男性だったから。そんな私は時に、版元の女性社員から距離を置かれることもありました。彼女らは「男にヘラヘラして仕事もらってる、フリーの嫌な女」とでも思っていたのでしょう。でも私も
「あんたらは会社が守ってくれるからいいじゃん。私がどれだけ悩んでいるかわかるか? あんたらこそ社員の地位に甘えてんじゃねーよ」と、関わろうともしませんでした。
 とはいえやっぱり、1人で戦うのは辛かった。それに敵認定しなくてもいい相手をわざわざ敵にすることに、一体何の意味があるのか。そう思ったら自分に対しても怒りがわき、ここ何年かはずっと、過去の自分を否定しながら生きてきました。

 しかしこの会見で、正規・非正規の枠を越えて「同じ傷」を抱えた者同士がシスターフッドを作ろうとしていること、me tooやwe too以上に「with you」のハッシュタグで繋がろうとしていることを知り、「私は別に1人で戦わなくてよかったんだ」と、ようやく過去の自分を許せる気がしたのです。
 ネットワークは会見当日の15日に、テレビ朝日と麻生太郎財務相、安倍首相、野田聖子女性活躍相に、それぞれ要請書と要望書を提出したことを報告。今後は相談窓口などを検討しているそうです。また「男性が受けたセクハラに対しては?」という質問に対し、「男性にもセクハラ被害者はいるが、女性が支えあいエンパワーしていくことがネットワークの目的。だから正会員の対象は女性のみ」であることなども説明していました。

 個人的には女性がセクハラを訴えた際、必ずどっかから全力でやってくる「男性にもセクハラ被害者が!」を訴える方にはぜひ、ご自身で対策機関を立ち上げて欲しいと思っていたので、ほっとするやり取りでありました。ということで玖保樹も同ネットワークを今後、応援していきたいと思います!

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<写真キャプション>
共同世話人の松元千枝さん(左)と、林美子さん(右)。

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