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トルコの「処女性」に対する意識

安達智英子2014.03.07

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 トルコではここ10年くらい国産ドラマがお盛んです。それ以前は、お金持ちの美人女子と貧乏青年とかその逆のカップルの物語といった、メキシコやブラジルのソープオペラが大人気でしたが、現在は皆無と言っていいでしょう。10年でドラマの内容も随分と変わりました。
 

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 10年前までは、「婚前交渉は可なのか?」「婚前交渉をしてしまった娘の行く末」といったテーマが非常に多かった。(「婚前交渉」って、もう死語でしょうか?)やってしまったのに、結婚してもらえなかった女子は悲惨な目に遭います。田舎ならなおさらです。また、レイプに遭ってしまったりするともう一族中から村八分にされるどころか、「汚れた存在」になったその子は親族の手によって葬られてしまいます。現在でも南東部などの田舎では続いている「しきたり」です。一時期、この「しきたり」をテーマにした映画がやたら流行りました。ところが、2014年の現在、放映しているドラマでは婚前交渉しまくりの男女が登場します。クラブで出会ったその日にベッドイン、飲み会の後に意中の彼の部屋に押しかけてお泊り、などなど。一昔前、やってしまったらそのふたりは結婚せざるを得ない状況に陥っていたのがこんなに短期間にみんな変わっちゃったの?と、わたしも驚いていました。
 
 さて、実生活ではどの程度「婚前交渉」は自由になっているのでしょうか。言うまでもなく、女性にとっての話です。
 
 トルコの首都アンカラにある、アンカラ大学言語歴史地理学科が2002年に同大学の女子学生に行った調査では、女子学生の62%が「結婚するまで処女である必要はない」と答えていました。やはりアンカラのトルコのMITとも言える名門校、中東工科大学の女学生では、81.5%が「必要はない」と答えています。残念ながらこの頃の農村部などで行った調査結果がないのですが、トルコの超エリートの女子大生81.5%普通に優秀な女子大生62%、となっているところを見ると、高卒、中卒などの順でこの数字はどんどん下がっていくと思われます。農村部ではおそらく「0」でしょう。同様の調査がさらに遡ること20年前、つまり1980年頃にも行われたそうですが、その頃は「結婚するまで処女であるべき」が、男女ともにほぼ100%に近かったそうです。
 

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 さて、現在はというと、A&Gという大手調査会社の行った最近の調査結果では、同じ質問に対して52%の女性が「絶対」、24.1%の女性が「まあそう思う」で、合計75.1%が「結婚するまでは処女であるべき」と思っています。これがトルコ東部や南東地方などの女性の進出が遅れている地域ではより高く、イスタンブルも属しているマルマラ地方や、リゾート地が集中するエーゲ海地方では平均より低くなっています。とはいっても、これだけ巷に同棲や婚前交渉の情報があふれていても、トルコ女性の処女性に対する意識は、テレビドラマ並みにはなっていないということですね。やはりトルコは保守的なイスラム教の国です。昨年の調査ではトルコ女性の6割がスカーフをかぶっていますから、彼女たちは間違いなく処女性を重要視しているはず。そう考えるとスカーフ族とかぶっていない女性のうちの保守的な人が加わって、7割以上がいまだに「結婚するまではやらない」派だというのも納得できます。日本でそんなことを思っている人はいったいどれくらいいるんでしょうか。
 
 これはトルコ人女性一般に対して行われた調査ですから、前述の10年前のエリート女子大生は10年前からかなり先進国の女性に近い考えを持っていたと言えます。これはトルコの学歴による価値観の違いを浮き彫りにしていますね。
 
 とは言っても、イスタンブルはトルコ一の大都会。特に私が住む地区は外国人やキリスト教徒も多いので、同棲カップルもけっこういます。昨年反対派の大抗議に遭っていた親イスラム保守派AKP政党のエルドアン首相が、「学生の同棲をやめさせる」と言って、婚前交渉狩りに乗り出した頃行われた調査では、やはり7割の人が未婚者の同棲には反対という結果が出ていました。わたしの昔の職場の地方出身の同僚は彼氏と同棲していましたが、彼女は大卒で彼氏も留学経験者だったからあり得るかなと思いました。ところが断食も必ずやる知り合いの息子さんが、高卒で給料もそれほど高くないのに彼女と同棲を始めたときいて、「学歴や収入が高くない層まで始まったのか」と驚いたのですが、彼らはトルコでは例外の部類に入るのですね。トルコ全体で見れば、まだまだ保守的な人が主流のようです。
 
 保守的と言えば、男性のほうがもっとすごいですよ。同調査では「結婚する女性は処女であるべき」が77.1%もいます。これが小卒の男性では90.4%、大卒では56.8%となっています。でも既婚男性に「現在の妻が初めての女性でしたか」ときいてみると、ほとんどのひとが「ちがう」と言っているんですよ。自分は何人とやっていてもいいけど、妻は許さん!てことですかね。男は全く勝手です。
 
 
 
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安達智英子(あだち・ちえこ)

多摩美術大学 インテリアデザイン科卒。
トルコ留学後、トルコ民家の研究に携わる。現在は翻訳、通訳、取材コーディネート業の傍ら、トルコで折り紙の普及に努めている。
翻訳書:ノーベル賞作家オルハン・パムク著「新しい人生」(藤原書店)
    レハー・ギュナイ著「サフランボルの民家」(YEM 出版)
    トルコ語への翻訳では丸木俊の「ひろしまのピカ」(İleri Yayın)
著 作:「世界遺産サフランボル・民家とくらし」(自費出版)
共 著:「タビトモ会話トルコ語」(JTB パブリッシング)
挿 絵:「ゼロから話せるトルコ語」(三修社)

ブログ:masalgibi.blog.fc2.com
WEB :www.torukosoudan.com

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