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新春占い

中沢あき2016.01.15

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やや遅ればせながら、あけましておめでとうございます。私は7年振りにドイツでクリスマスと年越し。滞在していたミュンヘンは、いつもならこの時期雪と氷に包まれる筈なのに、今年は気味が悪いくらいの暖冬で、ハイキングに出かけた先の山肌も緑に覆われ、ソリをクリスマスプレゼントに貰った甥っ子は、いつ雪が降るのかなあと毎日天気予報と空を眺めていた。 日本も暖冬のせいでスキー場は雪不足で大変だったそうだが、皆さんのお正月はどんなでしたか?
お正月といえば初詣で引くおみくじ。日本での正月だったら私も必ず引くけれど、今年はドイツだったので、新春占いもドイツ式。 ブライギーセンというこの占い、元来は大晦日の夜にするもので、溶かした鉛を水に放り込んで出来た形から来る年の未来を占うものなのだが、甥っ子がせがむにも我が家の大晦日は年越しパーティとその片付けでそれどころじゃなく、結局やったのは1月も2日を過ぎてから。もっとも知人の家では家族の集まるクリスマスにやったとかで、現代ではそれぞれの事情に合わせてゆるーく楽しむこの占い。家族や友人が集まるこのクリスマスや年末年始の時期に、写真のようなパッケージがスーパーやドラッグストアなどで売り出される。
占い方は実に簡単。キノコや豚、太陽など、いろんなものを象った錫の塊(ブライは鉛のことなのだが、安全上の理由で、現在は錫を使うのが一般的だとか)から好きなのを選び、同封のスプーンに載せてロウソクの火で炙る。もちろん金属で毒物なので、扱いには注意。垂れたロウソクで既にテーブルクロスにしみをつけられてしまった義姉に言われて、甥っ子が下敷きにと段ボール紙を探し出してきて準備万端。 更に気合いを入れた彼が手書きで用意したくじを引き、当てた形を炙ること1〜2分程。溶けた錫を用意しておいた水の中に一気に放り込み、ジュッっという音と共に固まった銀色の塊をそっと掬い上げて、その形から色々な意味を読み取ってみる、というわけ。 十字の形は「我が道を真っすぐ行け」とか、星の形は「賭け事に運有り」とか、パッケージの裏には読み取り方の例も並んでいるけれど、この家ではめいめいが好きなように意味付けをしていて、女優を志す姪っ子の塊は、舞台の上で片足を高く上げた踊り子みたい、というわけで、そんな配役の機会があるといいね、と皆で応援。 私の塊は、ドラゴンみたい、とのご意見。辰年生まれに合う形だけど、水の神様は何を恵んでくださるんだろ?
そんな家庭でのささやかな幸せと希望の一年を占う一方で、この国の年明けは、まったくもって憂鬱なものとなってしまった。 大晦日の夜、ミュンヘンではイスラム過激派による自爆テロの計画があるとの事前情報が警察に入り、中央駅などが数時間閉鎖される騒ぎがあった。結果、具体的な事件には至らず、私たち夫婦もその後ミュンヘンからケルンに無事帰ってこられたが、そのケルンでは同じ大晦日の夜、中央駅に千人近くのアラブ系を中心とした外国人男性が集まり、花火を通行人に投げつけるなどの騒ぎを起こした後に、集団で通行人の女性たちを取り囲み、強盗や痴漢行為、中には性犯罪と言えるレベルまでの犯罪行為を300件以上も起こし、配属人数が足りなかったらしい警察も手も出なかったという事件が起きていた。 この事件が明るみになったのは年明け数日経ってからで、政治的配慮や内部の不始末を警察が隠蔽したのではないか、という批判や、拘束された者の中に難民認定証を所持していた者が何人も含まれていたことなどから、ドイツ政府の難民受け入れ政策への批判、この機会にとばかりにこれまた暴徒と化したデモを行った極右の動き、など、気の重くなるようなニュースが流れる日々が続いている。 友人たちとの間でもこの話題が尽きない。不安がありながらも、難民に手を差し伸べたいと思い、政府の政策を支持しようとしてきたドイツ市民にとっては、衝撃的な事件だ。年明け早々、先行きが混沌としていることを厳しく見せつけられたこの状況で、さすがに楽観的なことは言えなくなってきている。 けれども希望は持ち続けたい、とは思うのだが、さあ今年のドイツの未来はいかに…。
鉛を溶かして未来を占うブライギーセン(Bleigeissen)のパッケージ。2ユーロ弱とお手頃な値段。家族が集う年末年始の団らんの遊びです。 nakazawa20160115-1.jpg
© Aki Nakazawa

同封のスプーンに太陽(顔がありますが…)を象った錫の塊を載せて炙ります。 nakazawa20160115-2.jpg
© Aki Nakazawa

今年の運勢がここに現れる!それぞれ幸多い年となりますように…。 nakazawa20160115-3.jpg
© Aki Nakazawa

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中沢あき

中沢あき(なかざわ・あき)

映像作家、キュレーターとして様々な映像関連の施設やイベントに携わる。2005年より在独。以降、ドイツ及び欧州の映画祭のアドバイザーやコーディネートなどを担当。また自らの作品制作や展示も行っている。その他、ドイツの日常生活や文化の紹介や執筆、翻訳なども手がけている。 

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