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捨ててゆく私 VOL.07 パンツさん

茶屋ひろし2007.01.11

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パンツ(下着)を買ってくれるので、パンツさん。
彼との出会いは去年のバレンタインデーの時でした。

いつものように朝、開店しようとお店のドアを開けたとき、後ろからにゅっと、伊勢丹の紙袋があらわれたのでした。振り向くとそこには見知らぬ男。
「これ、良かったら食べてください」
ぽかんとしている私に、彼は紙袋を手渡すと、じゃ、と短い台詞を残して去っていきました。
誰?
紙袋の中身を覗くと、ドンキで売っているような外国製のチョコレート箱が裸でごろんと入っていました。

良かったら食べてください。
台詞を思い出す。私のファンの方かしら。
そのあとは、彼が何者なのか、あまり気にも留めないで、スタッフのみんなとチョコレートを頂きました。

翌週。
また伊勢丹の紙袋を手渡されました。そして、じゃ、と彼は去っていきました。
ところが今度は、エルメスの箱がリボンをかけられて入っていました。
きゃーーーー!
いきなりグレードがアップして私のテンションもあがりました。
なにかしらなにかしら。これはスタッフのみんなには内緒で開けました。
中身は石鹸(3つ)でした。んーいい匂い!
匂いを嗅ぎつけたスタッフのお姉さんが駆けつけてきて、ブランドものに疎い私に教えてくれました。
「まあ茶屋ちゃん、これはステキなものをいただいたわねー。これで5000円は下らないわよ。贅沢!」
ひとつ、お裾分けしました。

翌週、また紙袋が届きました。相変わらず彼はほとんど言葉を発しません。ようやく私は、全身の姿をチェックしました。年のころ40後半、服装地味カジュアル、身長低い、顔・・なんだろう、マンボウ。
そして今度の中身はパンツでした。
TOOTというブランドの、ローライズの見せパンツ。
ちょーかわいいー!!
すっかりギャルになってそのあと一人で騒いでいたら、騒ぎを聞きつけて駆けつけたスタッフのお姉さんが教えてくれました。
「あら茶屋ちゃん、これ今もっともゲイに人気のあるメーカーよ。ゲイの人たちがつくっているメーカーではないんだけど、ゲイしか買わないメーカーなの。ほら、わたしも今はいているわ」「あら、ほんと」「このケースは捨てずに取っておいてね。3つ溜まったらパンツ1枚と交換してくれるから!」

翌週、彼は、開店後、手ぶらでお店に入ってきました。
私は溜まっていたお礼を一度に言い、さらにあのパンツがとても嬉しかったことを告げました。
すると、「じゃあ、今度一緒に買いに行く?」
と、ここで初めてナンパをしてきました。

どうしよう。
いっしゅん困ったら、彼は慌てて、「朝、行こう、朝、ね。ここの開店前に」と付け足しました。
なんか、すごく慣れている、この人。

どうしよう。あたし、朝弱いんだけど・・じゃないか。えっと、この人の下心に私は応えられるのであろうか、それとも、30過ぎた私が下着売り場でおじさまに買ってもらう画ってどうよ、という問題か。
「いいっすよ」
気がつくと私は笑顔で答えていました。物欲だわ。
あと、こんなことは生まれて初めてなので、それでどうなるのか、流れに乗ってみたい気もしたのでした。
「じゃあ明日伊勢丹に10時ね」
早口で彼は一方的にそう告げると、そそくさと出て行きました。
ていうかあの人、そもそもこの店のお客さんだったのかしら・・見覚えがない。(続く)

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茶屋ひろし

茶屋ひろし(ちゃや・ひろし)

書店員
75年、大阪生まれ。 京都の私大生をしていたころに、あたし小説書くんだわ、と思い立ち書き続けるがその生活は鳴かず飛ばず。 環境を変えなきゃ、と水商売の世界に飛び込んだら思いのほか楽しくて酒びたりの生活を送ってしまう。このままじゃスナックのママになってしまう、と上京を決意。 とりあえず何か書きたい、と思っているところで、こちらに書かせていただく機会をいただきました。 新宿二丁目で働いていて思うことを、「性」に関わりながら徒然に書いていた本コラムは、2012年から大阪の書店にうつりますますパワーアップして継続中!

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