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捨ててゆく私 VOL.08 パンツさん・2

茶屋ひろし2007.01.18

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話が長くなってしまってすみません。前回の続きです。
そんなわけで、翌日、新宿伊勢丹地下に午前10時、寝起きでぼんやりしたまま向かいました。
下着売り場に着くと、後ろからポンと肩を叩かれました。振り向くとスーツ姿のパンツさん。

あらこの人、仕事は何をしているのかしら?
ふと思ったけれど、それを口に出すまもなく、挨拶もそこそこに、ほとんど言葉も交わさないまま、TOOT(ブランド名)のコーナーへうながされ、「これいいんじゃない? これも好きでしょう。サイズはS? M? Sだよね」といった具合にお買い物は進み、気がつくと、包装されたパンツが2枚入った伊勢丹の紙袋を手渡されていました。
早い。正味、5分も経っていないのでは。
「まだ時間あるよね? ちょっとお茶しようか。平気?」
はぁ。
階段を急ぎ足で昇るパンツさん。後を追って表に出る私。パンツさんが私とお茶をしようと計画していた団子屋は、まだ開店していませんでした。「ドトールでいい?」
へぇ。

ドトールでコーヒーと、なんとかサンドをご馳走してもらいました。なぜかお絞りを3つも渡され、よく手を拭くようにと言われました。言われたとおりに手を拭く私。それからやっと、パンツさんの仕事の話を聞くことが出来ました。北陸から東京に出てきて、某大企業の広報を、もう20年近くやっているそうです。だから時間の合間を縫って、平日でもこうして自由がきくのね。私の仕事についても言われました。
「しかしアレだよね、大変でしょう、あの仕事も。なんだか人生の底辺を見るようで(笑)」
ホモエロビデオ屋の店員が、ですか。
「だってさ、ヘンなヤツがたくさん来るでしょう。大変だよね」
オマエだよ。って、言えないか、コレは。私はパンツの入った紙袋を見ました。
帰り際に今後の話をされました。
「またいつでも(パンツ)買ってあげるよ。僕はそういうのじゃないから・・だからセックスとかそういうのを求めているわけじゃないから」

まだ午前10時台です。私はこれから出勤します。
「来週、仕事終わったら食事しようよ」
はぁい。って、まだ流れに乗るのかよ、私。この人とはセックスできないと思うよ、私。
そんな自己確認も忘れた頃、パンツさんはある夜、私の仕事が終わった頃に車で迎えに来てくれました。ファミレスに連れて行ってくれて、ご飯とビールをご馳走してくれて、入り口の自販機でタバコを3箱買ってくれました。パンツさんは酒もタバコもやらないそうです。

帰り道、「ちょっとドライブしてもいい?」と新宿をぐるりと回り始めました。
車中、パンツさんは突然、助手席にいる私の手を握って来ました。ふにゃ、とした感触。私はパンツさんの手を退けました。「ダメ?」と聞かれて、「駄目です」と答えました。そのあとドライブはすぐに終了し、二丁目まで送ってくれるとパンツさんは謝りました。「ごめんね」「いえ、こちらこそ色々買って頂いてもらっているのに・・」「いや、それは僕がしたいことだから、あなたに謝ってもらうことはない・・」「それじゃあ・・」バタン。

その後、もう一年になりますが、パンツさんになにかをプレゼントされる関係は続いています。
パンツはあれから数枚買ってもらいましたが、今はもっぱら銀座やデパ地下のお菓子やケーキをもらいます。いつも私の職場に持ってきてくれるのです。さすが広報、すべて美味しいものばかりです。デートは久しくしていません。私は、やっぱり、パンツさんと寝ることは出来ませんでした。

パンツさんはまだ諦めていないようです。パンツさんが20年近く二丁目に来ていて、酒場にもハッテン場にも行かず、こんな方法で男の子(キャ)と仲良くなろうとしてきたのかと思うと気が遠くなりそうです。パンツさんに幸あれ、とは思うんだけど・・。

ところが先日、下着姿を見せてくれない? と電話で言われて、すべての謎が解けた気がしました。
オレじゃなくて下着姿が好きなだけだったのかー!! 幸せかも、この人。

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茶屋ひろし

茶屋ひろし(ちゃや・ひろし)

書店員
75年、大阪生まれ。 京都の私大生をしていたころに、あたし小説書くんだわ、と思い立ち書き続けるがその生活は鳴かず飛ばず。 環境を変えなきゃ、と水商売の世界に飛び込んだら思いのほか楽しくて酒びたりの生活を送ってしまう。このままじゃスナックのママになってしまう、と上京を決意。 とりあえず何か書きたい、と思っているところで、こちらに書かせていただく機会をいただきました。 新宿二丁目で働いていて思うことを、「性」に関わりながら徒然に書いていた本コラムは、2012年から大阪の書店にうつりますますパワーアップして継続中!

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