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捨ててゆく私 VOL.012 19さい

茶屋ひろし2007.02.15

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バイト先のお店を開ける前に、私はいつも、コーヒーやらタバコを買いに近くのコンビニに行きます。最近そこの店員の男子(ノンケ・19歳)が、なぜか私になついています。彼のいるレジに商品を持っていくと毎回、「ジブンの髪型ヘンっすか?」とか、「ジブン、昨日彼女にふられちゃいました」みたいなひとことを、いきなり言います。私は、「よく出来ているわよ」とか「そう、残念だったわね」とか、適当に返します。

ある日、「昨日来てないっすよね?」と言うので、「うん、休みだったから」と返すと、「ジブンは日曜が休みなんすよ」と言うので、「なんで?」と聞いてみました。すると、「日曜日はオカマが怖いから」と答えたので、私は初めて、ジブンのひとことで笑いました。

土曜あけの午前中は、夜通し飲んだり踊ったりしていたオカマちゃんたちがまだ二丁目の通りでウダウダしているのです。このジブン男子が普段から、このあたりのオカマちゃんたちによくからまれていることは、想像にかたくありません。それが日曜日には一気に押し寄せてくる感覚なのでしょう。

自称オカマの私でも、飲み明かした後のオカマちゃんたちのテンションについていくことは、なかなかできません。店子(ゲイバーの店員)の子たちが、表に出てきてお客さんを送ったあとに、通りを行く女子をキャッチしていたりします。
「ねえー、これからオレたちとカラオケしない? だいじょうぶ、オレたちホモだから!」
「マジ、ホモなの? 超ウケるんだけどー!」

そういえばそんなキャッチをしていた子が、以前ウチの店でも働いていたことがありました。この子も19歳でした。昼間はビデオショップで働いて、夜はゲイバーで働いて、前カレとよりをもどしてまた別れて・・19歳は忙しい。ウチの店は長く続きませんでしたが、彼の登場はいろんな意味でショックでした。

ギャル男ではないけれど、ビジュアルが超かわいい子でお洒落さん。一週間に一度はお友達の美容師に髪型を変えてもらって、別のお友達のところで服や靴を買ってもらって、また別のお友達の高級マンションに住んでいるような男の子でした。
「実家には時々帰っているの?」と私が親戚のおばさんみたいなことを聞くと、
「しょっちゅう帰ってるよ! オレのパパ、超カッコイーの。ママも超キレイ。オレのこと? 何をしてるかなんて家族全員知ってるよ。いつもしゃべってるもん。弟が2人いるんだけど、ノンケとホモ!」
「まあ! そういう環境はいつくらいから?」
「そんなの子どもの時からだよー。高校でもオレがホモだってみんな知ってて、よくノンケのクラスメートからナンパされてたよー」
あら、まあ。すごい・・時代が変わっていますよ、姉さん。
私はスタッフのお姉さんたちと目を丸くして驚いたものでした。

最近また、19歳の男の子がウチの店に働きにやってきました。12歳の時から同人誌を描いていて、コミケで毎回10万は稼いできた実績を持っているそうです。女子が描くヤオイではなく、ゲイが描くヤオイのほうです(絵のリアル度がちょっと違う)。高校生の時には「メンズエッグ」でモデルもしていました。
「それで、普段はどんなセックスをしているの?」
私の質問も、もはや、いろんなものを飛ばしています。
「セックスですかー? ていうかアレ、めんどくさくないですか?」
そんな・・私の母親世代が言う台詞!
「じゃあ、オナニーはするの?」
「それもめんどくさいから、しないっすね」
マジっすか!

そして19歳は忙しい。週末は、なにかとよく休むようになりました。遅刻も多くなり、寝坊という理由ももう通用しないと思ったか、先日、出勤時刻を数時間過ぎてから電話をしてきて、「昨日、帰り道に2人組みの男に襲われて、やられちゃったんですよ」と言いました。だからショックで今日は通勤出来ない、と。私は信じて動転しました。レイプされた! あたふたあたふた。ところが、嘘でした、とほほ。
あとから考えてみれば、時代が変わったと言っても、なかなかこれは、ゲイの男子にしかつけない嘘だわ、と思いました。

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茶屋ひろし(ちゃや・ひろし)

書店員
75年、大阪生まれ。 京都の私大生をしていたころに、あたし小説書くんだわ、と思い立ち書き続けるがその生活は鳴かず飛ばず。 環境を変えなきゃ、と水商売の世界に飛び込んだら思いのほか楽しくて酒びたりの生活を送ってしまう。このままじゃスナックのママになってしまう、と上京を決意。 とりあえず何か書きたい、と思っているところで、こちらに書かせていただく機会をいただきました。 新宿二丁目で働いていて思うことを、「性」に関わりながら徒然に書いていた本コラムは、2012年から大阪の書店にうつりますますパワーアップして継続中!

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