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「独自の喜劇を上演する喜劇団。1991年に活動を開始。第一回公演から映像を多く盛り込む独自の舞台を展開。スタッフ、キャストは全て女性。しかしそれを全くもって感じさせない、力強い舞台と、広く深い内容の芝居、と評価。ナンセンスでありながらも切れ味の良い風刺、ブラックというよりは真っ黒なユーモアが特徴。役者個人の個性を売ることは全くしない、特異な位置にある劇団。役者個人の個性を全面に出さぬようにする為、また、目まぐるしく展開する作品の構成上、役者は常に早変わりをし、一人の役者が老若男女、様々な性格の役を何役もこなす」(HPの紹介文より抜粋)

ということで、先日友達に誘われて、「げんこつ団」という劇団の芝居を見てきました。
「スウィッチングダンパー」というタイトルで二時間ほどの作品でした。
どんどん切り替えながら(switch)どんどん投げ捨てて(dump)まいります、と上演チラシに書いてありました。怒涛の二時間でした。なんというか、短いコントが立て続けに大量に舞台から噴き出してくるとでもいいましょうか、客席は爆笑の連続でしたが、初めて見る劇団で慣れていなかったせいか、私には早すぎてほとんど笑う暇もないほどでした。ところが、見終わってしばらくして、一緒に見に行った人たちと場面のアレコレを思い出しながら話すと、笑う箇所がいくつもあって、というか、全部の場面が面白かったことに気付きました。

出ていた役者は全部で十一人でしたが、あまりにも登場人物が多いので、その倍はいたのではないかと錯覚するほどでした。冒頭の紹介文にもあるように、一人の役者が何度も早変わりをします。舞台は、ひとつのビルの中で起こっている出来事をいくつも同時多発的に展開していきます。上階に住んでいる様々な家族が何組も登場し、下の階のテナントに入っている不動産屋やカルチャースクール、コンビニなどの店舗での場面も登場します。そのために役者たちは父親を演じたり娘を演じたりサラリーマンになったり何かの先生やその生徒たちになったりして忙しそうです。性別や年齢もコロコロ変わります。あと人間じゃない役もでてきます。虫歯ウィルスのプリンスや、家族団欒ロボット、赤いタイツを穿いたヒーローや、ミッキーマウスのお面をつけた人たちも出てきました。ミッキーは三人出てきて、みんなあの甲高い声で喋りながら、新しく出来る「アダルトなディズニーランド」のオーディションを受けていました。
他に、不動産屋の社員が全員スーツ姿に仏像のカツラをつけて解脱しているとか、そうしたコスプレの面白さも十分味わいました。
ドリフのコントを見るような懐かしさと可笑しさに紛れて、何度も客席に放たれる毒矢のような社会風刺に私は時々怯えました。

ある日本人の家族が住むマンションの一室に三人の米軍兵士がキャンプをしている場面がありました。迷惑な勧誘がくると、兵士たちは家を守ると言う面目で、玄関に向かってバズーカを撃ちます。そのあと、兵士たちはそこの夫を恐喝して金を巻き上げます。その恐喝の演技に、台詞は日本語なのに言葉が通じない感じがよく出ていて怖く、最後に、今まで登場していなかった妻が妊娠した姿で兵士たちによって投げ飛ばされて登場しました。その衝撃で妻は出産をして、なぜか、ミジンコ大の子どもたちが大量に床に散らばるのです。
別の家族の夫は、晩飯の時間に朝飯をつくれと妻に怒鳴ります。妻が疑問を呈するといきなり銃を出して床を打ちます。妻は怯えながら朝飯を準備し始めました。その様子を舞台の隅で、なぜか、宮崎駿がじっと見ています。ジブリの映画音楽が流れました。
ホームページに書かれていた観客の感想に、くだらなさすぎて笑った、とか、そのバカバカしさがいい、とか、気が狂っているとしか思えない、というような感想も多く見受けられましたが、私は、怖いくらいに計算されている、とも言えるのではないかと思いました。けれど、なにが計算されているのかは、よくわかりません。

不動産屋の社員たちは、社内に君が代が流れると起立して斉唱を始めます。後ろの窓から天皇と皇后がゆっくりと左右から現れて手を振りました。音楽が止むと二人の姿はゆっくり左右に分かれて消えます。
カルチャースクールでは、アメリカ人の男女に向けて、アメリカ大統領になるためのレッスンが行われていました。
他のフロアでは、仕事を求めて、中国人の女性たちがずっと怒りながら研修を受けています。
君が代斉唱と天皇夫妻の登場を鳩時計のようにしてしまったり、大統領スクールの講師を日本人のオッサンにしていたり、中国人を男性にしなかったところなどに、なにかを感じました。それは社会風刺というより、もはや社会運動のようです。
後日ゲイの友人に薦めたら、面白かったらしく、見終わったあとに興奮した様子で電話がかかってきました。「やっぱり政治よね!」と、彼は言いました。この台詞を聞くのは二度目です。以前、三谷幸喜の芝居をいっしょに見に行ったとき、「おもしろさがよくわからない、だって政治がないから」と言っていたことを思い出しました。今回、彼はこの舞台に、女性が日常的に押し付けられている様々な事柄を女性が次々に蹴飛ばしていっている、という印象を受けたそうです。
たしかに、「スタッフ、キャストは全て女性」という点においてすでに、この劇団はジェンダーの文脈で語られなければいけないものかもしれない、と思いました。ネタのくだらなさがいいとか、コスプレの様子(それはそれで本当に面白かったけれど)に笑っているだけでは、いろんなものを見落としてしまうような舞台でした。
上演中、客席の私は、後ろの席で何度も大声で笑う男の声をちょっとウザイと思いながら、舞台上の不動産屋の若い社員が私のとても嫌いな話し方をする男で、それは演技で、しかも役者は女性なのに、その男に本気で腹を立てていました。

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茶屋ひろし

茶屋ひろし(ちゃや・ひろし)

書店員
75年、大阪生まれ。 京都の私大生をしていたころに、あたし小説書くんだわ、と思い立ち書き続けるがその生活は鳴かず飛ばず。 環境を変えなきゃ、と水商売の世界に飛び込んだら思いのほか楽しくて酒びたりの生活を送ってしまう。このままじゃスナックのママになってしまう、と上京を決意。 とりあえず何か書きたい、と思っているところで、こちらに書かせていただく機会をいただきました。 新宿二丁目で働いていて思うことを、「性」に関わりながら徒然に書いていた本コラムは、2012年から大阪の書店にうつりますますパワーアップして継続中!

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