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N子さんとS子さん・・図らずも磁極のようなイニシャルになってしまいました。

今回は、二丁目で出会った二人のゲイ男性について書こうと思います。
お二人とも、私が二丁目に来てからすぐの頃にお会いしているので、かれこれ知り合って三年は経ちます。別々に、同じゲイバーで会いました。

お二人とも二丁目に足を踏み入れてから20年は経過していて、二丁目には共通の知り合いがたくさんいらっしゃいます。同世代でもあります。

最大の共通点は、ゲイリブに非常に強い関心を持って生きてこられたところでしょうか。お二人とそれぞれ話をするたびにいろいろと感銘を受けます。

あまりご一緒しているところをお見かけしないので、つながりはよくわかりませんでした。ただ、お互いの存在は知っているようです。
去年辺りから、どうやらN子さんはS子さんのことが嫌いらしい、という話を耳にするようになりました。じっさいに、N子さんの個人的なブログ(のようなもの)で、私も拝見するようになりました。その理由はよくわかりませんが、とにかく「生理的に嫌い」といった印象です。お二人の間になにがあったのかはわかりませんが、「生理的に嫌い」というのではどうにもしようのない感じがしました。

じきにS子さんにもその話が人づてで伝わりました。S子さんにとっては、晴天の霹靂だったようで、意味がわからない、なんでそうなるの? と身に覚えのない様子です。しかも、N子さんに直接言われたわけではないので、これもまた、どうにもしようのない感じです。しかし、周りの人たちはそのことを知っている、という奇妙な状況に置かれてしまいました。S子さんにとってN子さんは好きでも嫌いでもないようです。

さて、N子さんは積極的に二丁目でよくイベントを主催されます。私も時々お邪魔します。S子さんはリブ系のイベントに行くのが好きなひとで、これまでもN子さん主催のイベントに出かけたことがあったようです。その時になにかあったのか、と思いましたがよくわかりません。

そんな先日、N子さん主催のパーティーイベントが、とあるゲイバーで行われました。
私は行きたいな、と思い、事前にS子さんとその話をしていると、S子さんもそのイベントに興味があるようでした。
「N子さんのS子さん嫌い」については、私もN子さんから直接話を伺ったわけではないので、どちらかというと、毎日のように二丁目で会うS子さんの疑問にシンパシーを感じていました。
じゃあ確かめてみようよ、と言ったわけではありませんが、この関係がどうなるのかみてみたい、という興味(悪趣味)も手伝って、私はS子さんを誘って、いっしょにN子さんのイベントに行くことにしました。
前々日に、パーティーが開催されるゲイバーに二人で遊びに行きました。「あの人も来るんだって、面白そうだねー」と他愛のない話をして、そこのママの誕生日をお祝いしてケーキを頂きました。
そのあと、S子さんと別れた私は、もう一軒飲みに行き、またそのお店に一人で戻ってきました。お客は他になく、お誕生日ママと二人で、「N子さんのS子さん嫌い」の話になりました。ママの困った様子を見ているうちに、結構深刻な問題だったのかも、という思いがもたげてきます。

するとそこへN子さんが一人で入ってきました。
「ちょうど、あんたの話をしてたのよー」
とママが誘い水をかけます。
「この子(わたし)が、今度のパーティーにS子と一緒に来るって言うのよー」
とすぐに本題に入られました。
N子さんは、本当に嫌なの、会いたくないの、といったようなことを全身でおっしゃいました。「こんなに嫌いだと周囲に表明してそれを聞いているはずなのに、それでも来ようとするところが、また嫌になる」とも。「だから連れて来ないでね」と、蛇がカエルを、といった様子で私の目をご覧になりました。私は酔ってゆるんでいましたが、そのときだけは、キュッと何かを締めつけらました。「はい、わかりました」と、私は反射的にN子さんに同意しました。
当日の夜、S子さんは私の職場のビデオ屋に誘いに来ました。
「ねえ、これから家に帰って着替えようと思うんだけど、どんな格好をしたらいいかなー」
疑問はさておき、本当に楽しみにしている、といった様子が伝わってきます。
私は、S子さんを表に連れ出して、「行けなくなったの」と事情を話しました。
かなりあからさまに事実を告げたせいか、S子さんはショックを受けました。
その夜はパーティーには行かず、S子さんと韓国料理を食べてカラオケに行きました。
N子さんの生理的に嫌いということに理由はないけれど、S子さんもその「ない理由」がわからないとこの状況に納得がいかない、という展開になり、私もどう言っていいものやら言葉につまり、なんというか、いろいろと言語化しにくい感じがしました。
たしかにN子さんの「ストーカー禁止令」のような話は、本人にしてみれば被害者の立場でしょうし、S子さんにとっては、知らぬ間に周囲に嫌いだと言われ続けて行動を制限される状態は、どちらが有名無名かのパワーゲームを使ったイジメにも似た状況かもしれないと思います。

いっそ、そのあたりをとりなしてしまえば、「S子さんはもうN子さんに近づかない」「N子さんはS子さんのことをもう他所でいろいろ言わない(書かない)」で、年単位の時間を置けば、二丁目の中でだけのお付き合いなのだから、それでなんとかなるんじゃないか、と思います。

というようなことを、なぜか本人たちの前で言えないストレスも感じました。
共感能力を求められるよりも先に同調圧力をかけられたように思い、友情より敵か味方かの判断をしなければいけない気になってしまったせいかもしれません。
そういうのはちょっと苦手です。

同じ組織に属しているわけではないし、同じ目標に向かって動かなければいけない状況にもないので、そう感じる必要もないのにその危険を感じてしまったのは、お二人のリブ魂のようなものに中てられてしまったせいかもしれません。
かといって、現実的にはそれ以上私も割って入ることも出来ないまま、その鬱憤だけがたまったようで、後日、夜中にとつぜんタクシーを飛ばして、いつものゲイバーのママに一連の話を聞いてもらい、パーティー会場となったお誕生日ママの店に飲みに行って記憶をなくしました。

そのとき私は、散々N子とS子の悪口(「バカー」とか「ブスー」とか)を言って、何杯か飲んで、カラオケを歌いまくって、お金を払わないで帰ったそうです。
私が最低です。

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茶屋ひろし

茶屋ひろし(ちゃや・ひろし)

書店員
75年、大阪生まれ。 京都の私大生をしていたころに、あたし小説書くんだわ、と思い立ち書き続けるがその生活は鳴かず飛ばず。 環境を変えなきゃ、と水商売の世界に飛び込んだら思いのほか楽しくて酒びたりの生活を送ってしまう。このままじゃスナックのママになってしまう、と上京を決意。 とりあえず何か書きたい、と思っているところで、こちらに書かせていただく機会をいただきました。 新宿二丁目で働いていて思うことを、「性」に関わりながら徒然に書いていた本コラムは、2012年から大阪の書店にうつりますますパワーアップして継続中!

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