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誰かと付き合いだしてしばらくすると、一緒に温泉に行きたい、と思うものでしょうか。

私にはその発想がありません。付き合い始めより、何年か付き合ったひとたちがたまに行くようなイベントだ、となぜか思っています。
以前にも、仲良くなりかけた男性に、春になったら温泉に行こう、と言われました。
だいたい出会った時期からひとつ先の季節を持ち出すようで、現在私が付き合っているクロも、夏に温泉話を持ち出してきました。
そこで私がOKすることによって、次の季節までは別れないという保証になるのかもしれません。前の男性とは約束できず、関係は春まで持ちませんでした。なので、今回はその案に乗ってみることにしました。
そう、前回も今回も、「ラブラブ」だから持ち出された企画ではなくて、「ラブラブ」であってほしいという願いから持ち出された企画のように思います。それは私たちの付き合い方に原因があることは承知のうえで、それがなぜ温泉なのかについては、ゲイだから? スケベだから? 関東の人の習慣なの? と適当にしておきます。

ということで、この秋、私はクロと日光・鬼怒川へ温泉旅行に行ってきました。費用は折半です。

温泉旅行にかけるクロの期待は高く、事前に、ちょうどテレビでやっていた「日光・鬼怒川特集」のバラエティ番組を二週に渡って録画したものを、クロの家で予習させられました。初めて行く日光東照宮についてほぼわかった気になりました。当日は池袋から朝九時の送迎バスに乗るために、一人で起きる自信のまったくない私は、前日からクロの家に泊まりこみです。前夜、私が二丁目で仕事を終える頃、クロは私の職場のひとたちに菓子折りをもって迎えに来ました。保護者のようです。

どんどん高まるクロのテンションとは逆に私は、その三日間をちゃんとこなせるだろうか、と不安が高まっていきます。それは、朝起きてちゃんとバスに乗れるかだろうか、という遠足前の小学生のような不安から、以前のデートで発覚したクロの「ウンチク」をちゃんと断ることが出来るだろうか、という不安を経て、そしておそらく最大のプレッシャーである、セックスができるだろうか、という不安にまで広がっていきました。

クロとは出会って三週間でセックスレスの関係になりました。クロはレスではなく、私とセックスしたいのに、私がしないからできない、という状況が続いて二ヶ月が過ぎました。

週に一度、休日前に私がクロの家に行くということが習慣化されているのですが、すでに私はクロの家に行っても、食って飲んでシャワー浴びて寝るだけです。しかも翌日もずっと寝ていて、気がついたらクロは仕事に行っていて、また寝て起きたら外はすっかり暗くなっている、というくらい寝てしまいます。そして仕事から帰ってきたクロと会って、私は自分の家に帰るのです。

クロに会いに来ているといえば聞こえはいいですが、私はお酒を飲んでいるか眠っているかなので、なにをしに来ているんだか、よくわからない状況です。

なぜ私はクロとのあいだにセックスを必要としていないのか。自分でもそれを言語化しようとせず、したがってクロにも説明できていない状況で、クロの私への不信感やら、付き合っているという確信がもてない苛立ちや不安、そしてこの温泉旅行でこそセックスをしてみせるぞ! という期待を、私はビシバシ感じていました。

なので、私にとって今回の旅行は、その答えを出さずに酔っ払って睡眠に逃げている日常とは違う、なにか大きな宿題を課せられているような気分にさせられるものでした。
けれど、けっきょくセックスはしませんでした。

私から一応、ローションなどを用意して持って行きましたが、使用されることがありませんでした。
一日目はどうしてしなかったのでしょう。・・あれはきっと、朝早くおきてバスに乗って昼過ぎに到着して、そのまま東照宮を見に行ってアレコレと動き回って、いつもより早い晩御飯を食べてお風呂に入って、部屋でちょっとお酒を飲んだらもう眠くなって寝てしまったからだ、と思われます(私が)。

二日目は、朝から江戸村に行って一日中遊んで、夕食後はホテルの設備でも遊ぼうと彼はダンスホールを見に行って、私はホテル内に設置されていたスナックでおばちゃんの団体客に仲間に入れてもらい散々カラオケをして飲んで、部屋に戻ったらクロが寝ていたので私も寝た、という結果に。

昼間はいっしょに観光をしたからまだいいものを、夜のホテルではけっきょく日常と変わりありませんでした。しかも普段と違ったところは、二日とも別々の布団で寝たことでした。

翌朝、二日酔いの頭のまま不機嫌なクロに起こされて夕べの話を聞くと、私は素直に寝たわけではなく、そのあと一度起きて、クロにたくさん文句を言ったそうです。

何を言ったのか聞いてみると、「クロは私にやさしくない!」と言った、ということを教えてくれただけで、あとは、「ヒロシ(私)が傷付くから言わない」と教えてくれません。
(クロが傷付くからではなく、私が?)と疑問に思いましたがそれ以上は追求できず、それにしてもヒドイ夜にしてしまったわ、と少し反省しました。

事前にクロは、「この旅行でセックスしなかったら、オレ浮気するからね」と私を脅しました。脅されたことにムッとした私は、「そうなったら別れよう。そっちと付き合えばいい」と答えました。クロは脅したわけではなく試したのだと、言い換えるかもしれませんが私にしてみたら同じことでした。それが「やさしくない!」発言になったのでしょう(なんか恥ずかしい)。
付き合っているのにセックスを拒み、じゃあ他でセックスをすると宣言する人に、じゃあ別れよう、と畳み掛ける私は、いったい何様なのでしょうか。ここでクロのいうセックスをしてしまえば、なにか「一方的に解決しまったよう」になる気がして、そしてそうなることを拒んでいる私がいます(ややこしい)。

デート中に目に入るさまざまな風景へのクロの「ウンチク」は、旅行の前にお願いした甲斐があって少し減りましたが、それよりもこんなふうにややこしい私のほうがクロを困らせているのかもしれません。

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茶屋ひろし

茶屋ひろし(ちゃや・ひろし)

書店員
75年、大阪生まれ。 京都の私大生をしていたころに、あたし小説書くんだわ、と思い立ち書き続けるがその生活は鳴かず飛ばず。 環境を変えなきゃ、と水商売の世界に飛び込んだら思いのほか楽しくて酒びたりの生活を送ってしまう。このままじゃスナックのママになってしまう、と上京を決意。 とりあえず何か書きたい、と思っているところで、こちらに書かせていただく機会をいただきました。 新宿二丁目で働いていて思うことを、「性」に関わりながら徒然に書いていた本コラムは、2012年から大阪の書店にうつりますますパワーアップして継続中!

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